才能のない奴が生きてゆく方法

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業界にはそれぞれ天才的な才能を持つ人がいます。
残念ながら、僕は天才ではありませんでした。
僕にとっての天才とは、表現と社会との接点を感覚的に掴む能力が高い人。
そして、見つけたきっかけにどこまでも純粋であれる人です。
僕はそうじゃないんです。

でなければ、漆を始めてから15年も作品が一点も売れないなんてことはなかったはずです。
僕の作品が初めて購入してもらえたのが、29歳の時だから、そこまでは社会との接点はありませんでした。

ただ、個展を機に自分と社会、そして作品と現代との接点を見つけたのは確かです。
そのことについて自分なりに考えてゆくと、見えてくるものがあります。
まず、
前提として自分は天才型ではないと自覚していて、努力型の戦い方を模索していた。
美術において、少しの挫折したりはしたけど、漆に関して劣等感を抱くことはありませんでした。
ただ、自分が天才ではないと思っていたので、「漆の努力はなんでもしよう」と言う決意はありました。
僕の作業量はとても多くて、毎日定時に作業を始めてそれを何年も続けてきました。
才能がなくても量でなんとかなるという単純な発想です。今もそれは正しいと思っています。

本をたくさん読む
本は読んでいて良かったと思うことが多いです。
例えば、アイデアが生まれる構造って解明されているので、
脳科学とか、デザイン系の本を読み漁っていると、どのような仕組みで新しいものを生み出せるか書いてあります。
ひらめきを産むために、努力できると知って、僕は随分励まされました。

人を尊敬する
大学に入って専門的に何かを習うと「あれ、今までと何か違うな」という実感があります。
別に大学でなくてもいいんだけど、実地で掴み取った凄みのある人は大学の先生や修行先の師匠という形で人生に登場してくれます。
その人たちの技術はもちろんですが、考え方を学びました。
純粋に尊敬しまくっていたし、今でも尊敬できる人は多いです。
そして、お客様を尊敬しています。
なぜかというと、僕はたまたま漆という素材に出会って、中の人となりましたが、
そうではない目線で漆の魅力を発見してくれた人。
僕はよくご飯に連れて行ってもらったり、逆にお誘いしていろいろなことを教えてもらいました。
純粋に、お客様を尊敬しています。
多くの知識や経験を持った人たちと漆で繋がることができたのは幸運です。


美術の道は長くてこれからも続いてゆくけど、
僕が才能に奢って、何か活動が狭まることはありません。
才能がないを前提にしているから、圧倒的な努力でそれを埋めようともがき続けます。

答えはないんだけど、
明日また、同じ時間に作業部屋に入って、作業することはできます。
毎日淡々と、漆を続けることが、
才能のない奴が生きてゆく方法で、その先には光があると信じているんです。

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