新しいテーマ

ここ数年は幾何学の細密表現を主とした表現をしていました。
「光を描きたい」という思いが、ダイレクトに表せて、そして、何より楽しく仕事をしてきました。
今までの表現は、これからも続けるし、発展させますが、少し王道の蒔絵に向かう気持ちも生まれてきました。

蒔絵の王道といえば、「研ぎ出し蒔絵・平蒔絵・高蒔絵で花鳥を描く」くらいのど真ん中の仕事をしたくなったのです。
ただし、現代作家なので、現代的な表現を圧倒的な技術で挑むというのが前提で、
とにかく中途半端な現代性と技術に陥らないように。

では具体的に何をしようとしているかというと、百花図を蒔絵でやってみようと思っています。
日本美術において四季の花を描くというのは王道中の王道ですが、蒔絵で100の花を描くことをテーマに挑戦しようと思います。
で、このテーマ王道だけに、結果、古典よりになりやすいんです。

さてこの挑戦うまくいくのでしょうか。
課題は二つあって、まず

取材量が膨大

花を扱うためには、スケッチがとにかく重要です。
花って、季節のものだから、咲いてる時に頑張ってスケッチしてゆかなければなりません。
昔からためていたスケッチも含めて、百花に挑むには少なくとも500くらいはスケッチの資料が必要になってきそうです。
長い戦いになりそうです。

複合的な技術の難しさ

先にも述べたように、花を蒔絵で描くというのは、王道中の王道で
やり尽くされた感というのがあります。
その中でどうやって現代性を出してゆくの?
そして、浅井康宏の作品らしさを出してゆくのか。
これはもう、やってみないとわからないことですが、
その先に何か重要な発見と
一皮向けた感じの自分がいる気がするんです。

二年後、または三年後にきっと現代の百花図をスタートさせていると思います。
ずーと休みがちだったスケッチの日々が始まりました。