最近の制作コンセプト

浅井康宏自己紹介はこちら
作品紹介はこちら


最近の制作のコンセプトは
「光の造形化」です。


前回の個展が「光をめぐる」というタイトルで、
「どうやら自分は蒔絵と螺鈿表現のについて執着しているな」という気づきがありました。
「では、光に形を与えるならばどんな形で色なのだろう。」という単純な発想です。
ただ、この光の造形化、コンセプトはシンプルなのですが、作業量がとんでもないことになります。
実労時間計算で一日8時間、専属でやっても半年近くかかります。
それも棗という小さな茶器のサイズで。

なぜこんなに時間がかかるかといえば、
精度の追求をして正確なものを作ろうとしているからです。
人間が極限まで精度を追求した先にある揺らぎに美があるので、
今ある限りの精度で作業にあたります。

それと、単純にパーツを置くのも作るのも時間かかります。
貝のパーツは一枚の薄いシート状のものから、ほしい色だけを切りだします。
全体の5パーセントほどしか得られません。
貼ってゆくのもだいたい、一日で親指の爪ほどの面積しか貼れません。

結果的に半年近く時間がかかるシリーズとなりました。


このシリーズは僕一人で作業をしているわけではありません。
デザインと造形は全て僕が行いますが、貝の色選別や貼る作業はチームで行います。
一人で制作していたら年間棗が2点しか制作できないのと、体調とか気分によってクオリティにムラが出てしまうからです。
チームで作ることによって、それらの人間的な弱点が平均化されて結果的にクオリティを上げることができました。

さて、このシリーズ
サイズの割に制作費が高くスタッフから「作る前にちゃんと考えてください」と言われます。
でも、僕に色彩表現の扉を開いてくれた表現だし、今後も展開してゆきたいシリーズです。
利益はないけど。。作りたいんです。