お金の話を書かなくなった訳。

当初、僕のブログは、お金の話が多かったようです。
ブログを通してお会いした人に
「お金の話多いね」と言われて気がつきました。
今はどうでしょうか?
自分では意識していませんが、
美術とお金はとても密接な関係があると思っていて
ブログの内容が自然とお金の話寄りになっていたのかも知れません。

それと、
個展前までは電子書籍で
「美術家の歩み方」というような趣旨の本を書こうとも思っていました。
いくつかのステージに分けて何冊か。
例えば
「0円から100万円まで」
「100万円から200万円まで」という具合に
作家としてどのように歩んでゆくか、僕の考えと具体例とともに書籍化して
ステージごとの若手作家の役に立てばと思っていました。

しかし、
今はそのような内容の本を書こうとは全く思いません。
というのは、僕自身が色々考えて作家の歩み方を自分の人生を使って歩んでいる訳ですが、
全く再現性がないような気がしてきたからです。
じゃっかんの教訓みたいなものと、失敗例を記すことはできるかも知れないけど、
成功している部分というのは、すでに語り尽くされているようなことだし、例えば朝から仕事するとか。
それに、自分ではコントロールできないことだったりします。

結局のところ
答えはないみたいです。
で、この何もないところから1になるみたいな部分が
一番難しいような気がしますが、
どの美術家の著書にもそのあたりのことが書かれていません。

努力した話や苦労した話はあるけど、
あるターニングポイントだけすっかり抜けてしまって
誰も語ってくれていないような気がします。
そして、今の僕が客観的にどのようなポジションにいるのかは
わからないけど、
なんとなく、
話したくないことが増えて来たのも事実です。
それは、美術の汚い部分とかコネにまみれた部分を漏らしたくないとか
そういうことではなくて、(実際僕はかなりクリーンに活動しています)
ある部分でたくさん傷ついて来たこと、苦しんで来たこと
そこの部分にそっと蓋をしておきたいような気分とでもいうか
「誰にもわかってもらいたくない」気持ちがあるのかも知れません。

美術業界で生きてゆくために色々考えて来たけど
テクニカルじゃない心の部分っていうのもあって、
そこは誰にも話したくない気持ちなのです。