これから漆を植えてみようと思う人へ
漆の木を増やそうと思った時、どの親の木を増やすかというのは重要。
思い入れより、成長と生産量を重視したほうがいい。
「地元に残っていた漆を増やしたい」というのはものすごくわかるけど、成長遅いと平気で10年のロスになってしまう。— 浅井康宏 (@YasuhiroAsai69) 2018年11月15日
うちの15年生の木は2種類あるんだけど、一方の大きさは三分の一に満たない。
もし、遅い木ばかり植えてたら、まだ漆をとることはできなかったし、精神的にもかなり苦しかったと思います。— 浅井康宏 (@YasuhiroAsai69) 2018年11月15日
僕は全国で「漆を植えよう!」という機運が高まるのには大賛成です。
でも、漆を植樹した林が放置されて、雑草に飲み込まれ、枯れた状態を目にするのを見たくありません。
文化的にも意義のある漆の植栽ですが、漆の植栽は林業とも農業とも違った性質があります。
何度も書いていることですが、
漆を栽培して、採取するまでには少なくとも10年以上の時間がかかります。
その間、下草刈りなど、夏場の仕事があります。
漆の木は里の木なので、勝手に自生して繁殖するというよりは
人間に寄り添って、世話をしてはじめて育ちます。
放置していたら高い確率で枯れます。
そして、10年後に採取できる漆の量は
一本から200gから500gくらいです。
その後伐採して、樹木を更新して行きます。
植えること、そして採取することは
難しいけど、できるかもしれません。
だけど、漆を植える目的は、漆を植えることではなく
最終的な目的があるはずです。
それは、使われること
大々的な漆の植樹において、わりと見過ごされる
使われるまでの仕組み。
不思議と漆は素材自体人を惹きつける魅力があります。
縄文時代から人間とともに歩んできた素材だけあって
携わると、前が見られなくなるくらい魅力的です。
でも、僕たちの世代は、漆との付き合い方をアップデートする必要があります。
縄文時代と同じように、木を傷つけて一滴ずつ集める方法はやめるべきです。
植樹に関しても、さらなる研究が必要です。
漆おことにあると、感情的になるけど、
現代を生きる僕たちは、漆の未来を考えるとき
技術の解決が必要だと思うのです。
植樹法のも採取法にもまだ改善の余地はあります。