コスト感覚

僕はフリーランスなので、毎月一定の給料を得ていません。
さらに、作家活動をしているので、おこなった作業量に応じて対価をもらう事もありません。
作って、そしてお客様に購入してもらう事でお金が手に入ります。
この辺りの収入の流れがフリーランスとサラリーマンとでは違ってきます。

フリーランスは、実力でどれだけでも収入を増やせるというメリットがある一方で
収入が不安定で、社会保障も自分でつけてゆかなければなりません。
この辺りの不安定さを考えたとき、性格として上に考えれるか、下に考えてしまうかが向き不向きの適性になるように思えます。
具体的に言うと、不安定さをマイナスに考えるとかなりキツいです。
「来月の収入はゼロかもしれない。。。」と考えると絶望的です。
僕はこう考えています。
「不安定?それって、限界がないってことだよね。すごい!!」
つまり、利益の上限が無い事だと考えているんです。楽天的でないとできないかもしれませんね。

さて、もう1点フリーランスとサラリーマンの違いは
コスト感覚だと思います。
先に書いたようにフリーランスは、日給でも時間給でもないので
成果を上げてなんぼの世界です。
仕事単位で考えると、当然効率よく良いものを作ると、仕事単価が高いと言うわけです。
でも、効率を考えると良い作品は作れないので(不思議な事に)基本的には採算を度外視したもの作りをします。

一方で、数ものやスタッフと協力して作る作品に関しては
効率を考える必要があります。理由は複数個作る場合は
作品の熟練度が上がるので、高い品質で効率的に作れるからです。
また、協力して1つの作品を作る場合、完成度もスピードも
単純な足し算で成果を計算してはいけないと思っています。
複数人で協力して作品を生み出しているのだから、成果はかけ算で考えます。
せっかく美しい木地を作ってもらって、完璧な塗をしてもらったのに
僕が最後の加飾をミスしてしまったら何にもならないですからね。


不況が続いていると言われて、全体的に日本が安くなっている。
爆買いなどの言葉が生まれて、外国人がとくにアジア人が日本にものを買いにくるというのは
日本の物価が安くなったからです。もしくはアジア全体が豊かになって、日本の優位性が低くなっているからでしょう。
どちらにしても、日本のもの作りは最小限の利益で何かを作らなければならないという雰囲気が漂っています。

フリーランスはただでさえ不安定要素が高いのに、利益まで最小限にしなくてはならないという日本全体の雰囲気にのまれてよいのでしょうか。
自分がいきてゆくコストやスタッフに支払うコスト、公共料金などのコストを考えるとおのずと自分の時間当たりのコストを割り出せます。
その割り出した金額で仕事が来ない、売れないのなら
それは自分の努力不足と言えます。

時代のせいとか、社会のせいにしてはいけないのです。
自分のコスト以上の仕事ができないのは全て自分の責任なのですから。
会社に勤めている人もぜひ1度大雑把に自分のコスト計算をしてみて下さい。
自分はそのコストに見合っただけの仕事をしているのだろうか。
個人が自分のコスト以上の生産性を出せる社会になってはじめてGDPが上昇してゆくでしょう。
残念ながら日本は何年か前に中国に抜かれてGDP世界第3位になってしまいましたが、
これからも上位国であり続ける事ができるか少し不安です。
成熟した社会を目指してゆく必要はありますが、経済を支える僕たち若い世代が元気を出さなければなりません。
個人個人がコスト感覚を身につけて、社会に対してより良い働きができれば日本はもっともっと元気になります。