ゼロをイチに変えてゆく

海外へのアプローチは継続的に続けていて、
特に昨年、京都に来てから情報を集めたり、発信したり、
目にみえにくい活動をして来ました。

海外における漆芸の市場は、ひいき目に見ても大きくなくて、
逆風が吹いているわけではないけど、
無風状態という中での活動でした。
具体的には、図録に英語訳を送って、日本美術のコレクションがある美術館に送ったり、
日本の工芸を扱っているギャラリーに送ったり、
直接話を聞きに行ったりしていました。

ただ、うまくいっていませんでした
直接「伝統工芸ぽい箱はちょっとね、オブジェ的なものを作って欲しい」という要望も多くて、
僕が今まで戦っていたフィールドで戦うのことの難しさを肌で感じていました。
実際何軒かのギャラリーはわざわざ個展に足を運んでくれたし
工房まで来てくれました、だけど、発表の機会にまで発展はしなかった。

最終的に僕がアプローチしていたとは別のギャラリーから問い合わせがあり、
そのギャラリーから紹介される形で作品がコレクターの元へ渡ることになりました。


つまり、僕が今まで行って来た努力は直接関係はなかったのです。
でも、僕が行って来た活動が無意味だったとは思えないのです。
例え関係のないところで物事が動いたとしても、
僕が懸命にゼロをイチに変えようとして来たのは事実です。

制作を通してどのような結果になるかは誰にもわからないけど、
明日また仕事場に入って作品を作ることはできます。
今までだって、無数のゼロをイチにして足したり掛けたりしながら制作を続けて来ました。
これからも信じて歩いてゆこうと思えました。