場所を変えて変わるもの変わらない物

たまに聞く
「海外に持っていたら売れるよ!」
「地方じゃ売れないよ」
「東京で機会さえあれば」
僕、こういう地理的な要因での売れる売れない論って100パーセント
信じてません。

というか、こういう「海外に紹介しますよ!」
「東京で企画しましょう!」みたいな美術関係でもなくギャラリストでもないプロモーターが、実は大嫌いだったりします。

よく考えてみてください。
地方でも、都会でも暮らしている人は同じ人間です。
日本でも、海外でもくらいしているのは同じ人間なんです。
なのに、いきなり海外に持って行ったら売れるなんて現象を、信じられますか?

例えてみるなら、
地方の駅前で歌っていた路上ミュージシャンが
NYの路上で演奏して、一晩で全米トップミュージシャンになるなんてことがあるでしょうか。
おそらく、無いでしょう。

地理的な要因を外して考えてみると
どんな地方都市だって、ある一定のパーセンテージで
似た思想を持つ人はいます。
それは、一定数、社会に犯罪者がいるように普遍的な人間性みたいなものでは無いでしょうか。
つまり、10万人以上の都市で反応が0パーセントなら、分母を変えても反応に変化は期待できないでしょう。

ただ、大都市や海外に魅力がないかというとそうではなくて、
単純にアクションを起こした時に人の目に触れる機会は多いです。
コミケに50万人動員できるのも、地理的な要因はありますからね。

僕が考える美術の流通って
悲しいけど、わかってくれる1パーセントの人にしか全く響かないものだと思っています。
それは地方であっても、都会であっても、海外であっても同じです。
変わらず、一定の人にしか届かない。
でも、この「一定の人にしか届かない」というのは
つまり「一定の人には届く」とも言い換えることができます。

どんな逆境にあっても、どうしても突き詰めたいものならば
自分が心を動かされたものならば、一定数の人は振り向いてくれるはずです。

だから僕は今まで地理的なリスクもメリットも考えてきませんでした。
見つめるべきは単に自分の信じるものと、気持ちの届く人です。