夢を職業なんかにあけ渡すのは勿体無い

「あなたの夢はなんですか?」
僕はよく人にこう尋ねます。
こういう質問を誰かにしたことがあるでしょうか。
よく大人が子供に聞いたりしますね。
「将来は何になるの?」って。

子供の場合、高い確率で答えることができます。
野球選手・サッカー選手・漫画家・アイドルなど。
年齢が上がってくるにつれて、それらの夢は現実味を帯びてくるから
安定的な職業が上位に名を連ねてきます。

ここで違和感を感じませんか?
小さな子供に聞く将来の夢と
高校生や大学生に聞く将来の夢の
意味合いがかなり違ってきています。
小さな子供にとっての夢は「希望」のような意味合いなのに
学年が上がると将来の夢は「職業」に置き換わってしまいます。

最初の話に戻すと
大人に「あなたの夢はなんですか?」と聞くと90%くらいの人が答えられません。
いつの頃か、僕たち大人にとっては夢という言葉の意味が「希望」から「職業」に置き換わってしまって
夢を見ることが難しくなっています。
だって、なんらかの職業についている時点で夢を叶えてしまったか、夢が破れてしまっています。

でも、そうじゃない。
将来の夢を職業なんかにあけ渡すのはもったいない。

人生において仕事は重要です。
僕は仕事が大好きだから、こうして毎日仕事ができるのは幸せです。
ただ「漆芸作家」でありたいわけではなくて
漆芸作家の浅井康宏として叶えたい夢がいくつもあるのです。
つまり「希望」が沢山あります。

例えば
海外で個展をする
国内外の美術館に作品が収蔵される
空間演出まで徹底された展覧会を開催する
など、沢山の具体的な夢があって
漆芸作家という職業は夢本体ではありません。


僕が夢にこだわるのは
明日、来年、10年先の光が欲しいからです。

真っ暗な道を何も持たずに歩くのって怖くないですか
スマートフォンで足元を照らしたいし、
どんなに遠くても、前方に街灯があったら安心です。
少なくとも自分が光に向かって歩いている気持ちになれるから。

誰かに話す夢って合理的で少しかっこよかったりしたいけど、
小さな夢だってもっと沢山あっていいように思います。
そして、それを人に話してもいいように思うのです。

毎日温泉に入りたい。とか
結婚したい。とか
毎日の食費を100円上げることができるほどの収入が欲しい。
これは僕の夢ですが、大きな夢の途中にこういう小さな夢を散りばめています。
そして、これらは現実可能だし、僕はそのために自分の時間を使ってゆきます。


「日本全体に夢を!」みたいなビジョンは全く持っていませんが
「あなたの夢はなんですか?」と聞かれたら綺麗事でもかっこ良くもない夢も語り合える大人でいたいと思います。