日の目を見ない作品たち 試作に思うこと

僕はよく試作を作ります。
本当は試作品なんて作りたくありません。
だって、お金がかかるから。

特に挽物木地の試作は膨大な量になっていて
実際に作品になったのは10パーセントくらいな気がします。
それくらい試作を繰り返し
完成へと向かいます。

なんでそれほど試作が多いかといえば、
図面のイメージと実際の立体イメージが合わないからです。

図面は二次元ですが、作品は立体なので、
図面を描いていいる段階でそこまで正確なイメージになっていないということですね。
かくして、立体に上がってきたものを見て、「ここをこうして」「ここはもう少しこうで」という具合に
手直しを繰り返してゆくのです。
そのため、プロトタイプが増えてゆき
日の目を見ない木地が試作として
生まれてゆきます。

指物木地の試作は、というか、完全に完成させるために作った
木地でもなんとなく気持ちが乗らなくて、眠ったままになるものも多い。
さらには、塗りが上がっていても、そこから眠ってしまうものもあります。

年々、イメージの精度は上がっているのですが、
未だに減らない試作品。
作りたい形を作るのにこれほど苦労し続けるなんて
思ってもみなかったですよ。
とほほ。