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ふりそそぐ青い光

今年の本展の作品

ふたを開けると三段の飾り箱になっています。

僕の作品にしては珍しく
具象的なテーマです。
花のスケッチはずっと続けていて、とくに藤は毎年のようにシーズンになるとスケッチをしていました。
藤って光みたい見えます。
上から降ってくるように咲いているからなのか
木漏れ日が黄緑と紫に目に入ってくるからなのか、
他の花とは違う、物体としての花というより、藤棚から溢れる光そのものに見えます。

さて、制作を開始する前、さらにスケッチを重ねました。
花の作品を作るときは、その花を見ないでも描けるくらいになるまでスケッチを重ねます。
おおよそ一週間くらい色々な場所へスケッチブックを持って出かけました。


加飾の過程も、時間がかかりました。
始めてすぐに、貝の色分け作業と貼り付け作業に膨大な時間がかかることがわかったのです。
一日におよそ三枚の花びらしか進めることができませんでした。

完成が見えてくるようになると、
作品が色々な表情を見せ始めます。
雨の日の雨粒の光
月明かりや星屑
どこまでも続く藤棚の情景

結局のところ、素材と表現が自己主張し始めて
僕の想像が追いつかない作品になりました。
伝統工芸展のようなたくさんの作品が並ぶ環境よりも
一点を見つめる場所にあると、また違った表情を見せてくれる作品です。

表現的にも、技法的にも新しい発見と気づきのあった大切な作品となりました。

カメラ沼

最近は作品の撮影に色々と苦労しています。
今までは、全部お願いしていたのですが、
作品出来上がるごとに東京に持っていって撮影するのも現実的ではなく、
かと言って、簡易セットで撮るにはサイズ感が微妙で
写り込みがあるから、いい写真が仕上がらなかったんです。

なので、「自前で写真を用意するほかないか」という挑戦を開始しました。
ツイッターでつぶやいているように、スタジオセットを作るのは、
なかなかお金と時間が必要です。
だけど、東京では、撮影のお手伝いのバイトをさせてもらっていたこともあったし、
学生時代からカメラ好きだから、そこに突破口があるのではないかと思っています。

とりあえず
ソニーの高画質のカメラを買いました。
ハイスペックなモデルだけど、現行の一つ前の型だから発売当初よりかなり値引きされています。

レンズはまだ揃っていないけど、
アダプタでニコンのレンズをつけて、数枚撮って見ました。

いやあ、すごいですね。最近のデジカメは
以前もフジフィルムのデジカメ持っていましたが、入門機的なモデルでした。
フジのフィルムモデリングの精度が高くて満足していましたが、
本格的な一眼で数枚写してみると、「やっぱり違うな」という感じです。

で、ここからがと呼ばれる
独特な物欲世界が広がっていて、言われてもわからないような
小さな違いを求めて、機材を揃えたくなるのです。
例えば、レンズの明るさとか画角とか妙に重厚なメカの魅力にどっぷりハマりそうになる。
本来の撮影するという目的よりむしろ物欲としてのカメラが心の中に現れるのです。

まあ、今に限っては、目的がはっきりしているので
沼にはまらずに歩いて行けるような気がするのだけど、
どうでしょうか。。。

何れにしても、画像のクオリティは最高なので作品撮影できる状況になるのが楽しみです。

「漆では食えない」なんて嘘だ

僕も実際に「漆では食えない」と何度も言われてきました。
それはもう言葉の蓄積が断層となって見上げるほどに。
でも、僕はそれを全く信じていませんでした。
なぜそれを信じなかったかというと、
「食えないのには理由があって、それを変えればいいだけ」という、
ある種楽観的な感情を抱いていたからです。
現状を把握しつつも、腐らず自分をアップデートしてやれば、
環境を変えられると知っていたのです。

もう一つ
よく言われる「売れる作品はよくない」
若いうちによく聞くワードですが、
これも、前向きな言葉ではありません。
冷静に考えるとわかるけど、
売れる作品と売れない作品だと、優れている部分は売れている作品の方が多い。ことが多い。
「ことが多い」というのは、ネームバリューとか、作品本来の質以上の要素が加算されるから。
実際のところ、加算される価値を作り上げているのだから、その部分で作品の質と説明することもできます。

つまり、売れるのも売れないのも理由があって
「売れてる作品」を否定するのは、変な前提を自分に刷り込んでいるようなものです。


最近特に思うのは
変な前提を一切捨てて、腐らず作り続けることが重要だということ。
制作は信念の具現化です。
その信念が強ければ、必ず誰かと共有できるものだと信じています。

海外メディアに紹介されたのでご報告

アメリカのサイトに紹介されました。
こちらのサイトは最近できたばかりの新しいニュースサイトで
主にアート関連をまとめているようです。
僕のところには、メールで依頼、インタビューが来ました。
こちらの意図がどれくらい伝わるかわからないけど、見やすいサイトにまとめてもらえてよかったです。

https://cuppawow.com/asai-yasuhiro-lacquerware/

次はフェイスブックのニュースサイト
こちらは動画を編集して紹介してくれています。

こちらのサイトはフェイスブックのファンが多くて、
紹介されてからページの観覧者が一気に増えました。
すごい。。

ただ、動画なだけあって、やりとりがすごく忙しくて
「もっとこういう動画素材をくれ!」
「いや、一年くらいかけて制作しているのだから、そんなに簡単に撮影できない!」
「ならもっと、簡単でいいから」
「少なくとも半年は待ってくれ」
みたいなやりとりを、ずっと繰り返していました。
結局、今ある動画に、作品画像を取り込んでくれて
コンパクトにまとめてくれました。
感謝です。


ここ最近はアートエキスポマレーシア出品や、
今回のようなメディア露出など、海外へのアプローチが増えたことはとても嬉しく思います。
「そもそも漆とは・蒔絵とは」という説明ができる機会をどんどん増やしてゆきたいです。
特異な素材を用いている以上、やっぱりそれを説明する責任もあるのだな、と感じた最近の出来事でした。

よかったら紹介してくれたサイトをのぞいて見てください!!

京都漆芸研究室に興味がある人にお願いしたいこと。

今月から募集を開始した「京都漆芸研究室」
少しずつお問い合わせなどいただいております。
ありがとうございます!ぜひ応募してください。

お伝えしたいことが、一つあります。
一次審査での書類ですが、
くれぐれも力まないでください。
例えば、
履歴書は手書きでなければならない
ポートフォリオはきっちりしたファイリングを行なって。。。。
などなど
(もちろん手書きは嬉しいです)

みなさんが今、卒制シーズンなのわかってます。
だから適当なものを送ってください。
作り込みよりスピードの方が大切です。
まず、履歴書はウェブからテンプレート見つけてパソコンで入力してほしい。
そして写真はスーツじゃなくていいです。適当な写メを貼ってください。
ポートフォリオもしっかりしたライティングとかバックでなくてもいいです。
写メで撮ってくれたらいいです。
内容はそれでわかります。

なぜかというと、僕は一緒に働きたいと思える人、一緒に成長したいと思える人を探しています。
よそ行きの服装より、いつものあなたに興味があります。
履歴書も字の綺麗さより、フットワークの軽さが好きです。
アートは長期戦です、だから決められた時間のうちにどこまで遠くに行けるかという部分に焦点を当てています。


二次審査の簡単な実技の焦点はただ一つ。
集中力の維持です。
デッサンがうまいとか、卓越した技術力など、今の時点で全く気になりません。
僕の作品は一点に膨大な時間がかかります。
単純作業の連続です。
作業内容は数ヶ月貝を貼り続ける。とか、パーツを作り続ける。という内容です。
思っているよりクリエイティブじゃないです。
一日8時間、週に5日どれだけ集中力が保てるか。それを知りたいのです。

結局のところ、どれくらい漆が好きか
それが一番重要です。
僕たちは漆で世界の美術界に挑戦しようとしています。
で、それは可能です。
漆で新しい世界を切り開きませんか。
新しい漆の可能性に飛び乗ってください。

発信源はここ京都です。
気軽にお問い合わせください。

「Art Expo Malaysia Plus 2018」レポート

今回ギャラリー花影抄さんから出品させていただいている
「アートエキスポ マレーシア2018」
実はアートフェアへの出品って初めてで、様子を現地で見たいと思いマレーシアまできました。

マレーシアという国とアートはなかなか繋がりにくいですよね。
実際のところ、めちゃくちゃアートが盛んという感じはしません。
物価の感覚からして見ても、これから国際的な経済競争力とともにアートも根付かせてゆこう。という感じかなと思いました。
市内はまさに建設ラッシュといった感じで、各所に建設中の高層ビルがあります。
これからの国というのはこういう勢いがあるんですね。

アートエキスポ マレーシアは開催前日に招待日がありました。
王族の方が午前中に足を運んでくださいました。
午後からはVIPの招待がありました。僕が期待していたVIPナイトですが
基本的にお酒を飲まないマレーシア。配られるのはジュースでちょっと期待はずれ。ww


さて、一般開催の初日は朝から行列でした。

出品ブースもこんな感じで混んでいます。
作品が小さいのと、長時間見てくれる人の割合が多くて
常にこんな状態でした。

残りの日程はギャラリーさんにお任せして
僕は少しクアラルンプールを回ってみようと思います。

「Art Expo Malaysia Plus 2018」に出品します

来週からマレーシアのアートフェアにギャラリー花影抄さんのブースから1作品出品させていただきます。
前半だけだけど勉強にもなるし現地に行きます。
さて、アートエキスポ マレーシアってどんな感じだろう。
たぶん「アートフェア東京のマレーシアバージョンだよね?」という予想ですが、
それならそれで、蒔絵とか漆は超少数派の出品です。
でっかい立体作品とか、絵画の中でどのようなアプローチができるのか、それは全くわかりません。
場合によっては全くの空振りに終わるかもしれないけど、
それはそれで、次のための経験となります。

今後の活動を日本に限定したいとは微塵も思っていないので
このような機会は本当にありがたいです。
心の中で「蒔絵の美意識は世界に通じるはずだ!」と思っているけど
空振りならば、工夫する必要があります。

世界レベルで活躍してる作家は皆
意識的にしろ無意識にしろしっかりと、戦い方考えているんですよ。
とりあえず打席に立って、勝負してきます。
どうなる「Art Expo Malaysia Plus 2018」

ギャラリー花影抄 紹介ブログ
http://hanakagesho.blog17.fc2.com/blog-entry-2114.html

公式サイト
【art expo MALAYSIA 2018】 2018.10.11〜14
webサイト https://artexpomalaysia.com/

小物制作、すべき?やめるべき?

今年になって周りに「小物制作やめます」と宣言しています。
何を小物というか、この辺りは難しくて
単なるサイズ感ではなく、アイテムとしての性質でいうならば
茶器などは、サイズこそ小さいけど、中サイズの作品となります。
逆に、お椀とか棗より大きくても、感覚としては小さい作品という位置付けで制作してきたように思います。

で近いうちにそれをやめにしようと思っていたのです。
もっと大きい作品、例えば箱物とか、オブジェに挑戦したいという気持ちがあったのです。
ただ、直近で制作しているものは茶器や酒器が多くて、
「この木地がなくなったらいよいよ小物制作も終了だな」と考えていたけど、
いざ、このストック木地がなくなると制作が止まってしまうのでは?という恐怖に襲われている自分もいます。

というのも、半年間かけて棗を一点作るというような制作になってきており
(一日8時間かかりきりで)
工房スタッフは増えたけど、点数だけで見ると制作数は全く増えていない状況です。
「そのクオリティで大きな作品を作る」と言っているのでから
実際問題フル稼働状態でもパンクしているのです。

これから世界で戦ってゆくために
小物制作は、すべきなのか、やめるべきなのか。

結果的に作りたいものがたくさん浮かんでるので
作る

漆の新刊 「URUSHI 伝統と革新」が発売

漆の新しい本が発売されました。
「URUSHI 伝統と革新」というタイトル。
この本は、同名の展覧会の展覧会図録として作られております。

さて「URUSHI 伝統と革新」展は現在石川県立美術館で開催されております。
石川県立美術館 https://www.artagenda.jp/exhibition/detail/2594
その後
横浜そごう美術館 
MOA美術館
と巡回します。

僕も蒔絵玳瑁飾箱「Zipangu」を出品しております。
もちろん図録にも掲載されておりますので合わせてよろしくお願いします。


以下石川県立美術館ホームページより一部転載

日本は世界に卓越する工芸の伝統を有しており、なかでも漆芸は、
日本を代表する工芸として1300年以上の永い歴史を持ち、芸術的にも技術的にも高度の発達をとげ継承されてきました。

1983年より伝統工芸の精神にそって今日の生活に即した創意ある作品を発表する場として、大場松魚・田口善国・赤地友哉・増村益城・塩多慶四郎らが中心となり日本工芸会の専門分野別の組織としての漆芸部会が第1 回伝統漆芸展を開催し現在に至っています。

そして今日、漆芸部会には蒔絵の室瀬和美、中野孝一、
髹漆の大西勲、小森邦衞、増村紀一郎、
蒟醤の磯井正美、太田儔、山下義人、沈金の前史雄、
螺鈿の北村昭斎の10名の重要無形文化財の保持者がおり、
本展はその日本工芸会の漆芸部会展である日本伝統漆芸展が第35回展になるのを記念して開催いたします。

近代漆芸を江戸時代末期から戦前までを近代の名匠、
戦後の重要無形文化財制度により伝統的工芸技術をふまえた上に新たな創作活動の重要性を強く求め日本工芸会の設立、
さらには日本伝統漆芸展の開催と現在活躍している作家を含めて今日の漆芸の世界を4つの章から俯瞰できるような展覧会といたします。

以上石川県立美術館ホームページより


京都漆芸研究室ってこんなところ

先日ブログにて情報をアップしました
「京都漆芸研究室」過去記事はこちら

現在、浅井康宏の制作工房と漆教室を運営しています。
外見はこんな感じです。

写真では下の部分が二台分のガレージになっていますが、一箇所を改築して
漆芸研究室を作ろうと思っています。
建物自体は昨年の3月に完成した新しい漆専門の建物になっていて
三部屋ある作業室にはそれぞれ乾燥風呂を備えています。

さて、実際の研究内容ですが
実践的な作業が主です。
専門の学習期間を終えた人が対象なので
この場でプロレベルになってもらうことが目的です。
そのためにできることは、プロのレベルで作業をすることしかありません。
なので、受け身で学びたい人と、曖昧な意識で漆に向き合ってる人は、今回の研究室募集には向きません。


僕は、京都の地で漆芸の産業としての可能性を感じています。
もっと言えば、日本全体、世界中で漆芸の需要規模の数パーセントも作り出せていないように思っています。
1年に二人でも確実な技術を持って漆芸に関われる人材を育てることができれば、
数年後には漆芸分野の視野は今と比べ物にならない場所を見つめることができます。
卒業後優秀な人には、工房に就職してもらいたいし、外注でどんどん仕事に参加してほしいです。

もし少しでも関心のある方がいらっしゃいましたらご連絡ください。
工房見学も受け付けております。

お問い合わせ
メール studio_zipangu.y@ksj.biglobe.ne.jp
電話 075-468-9487
(電話対応 平日10:00〜18:00 火曜日のみ14:00〜18:00)

616-8157
京都市右京区太秦御所ノ内町26-1

見学も随時受け付けます、お気軽にメールください。