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2017年 初個展までの道のり

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2年前の2017年4月
僕は念願の初個展を開催することができました。
高校生の時から漆芸を始めているから、個展までに15年以上の時間がかかってしまいました。

もともと百貨店で個展がしたいと思っていたので
初個展はギャラリーではなく、百貨店の美術画廊の一択でした。
その道のりを書いてゆきます。


◆活動の舞台
僕の活動の舞台は「日本伝統工芸展」という公募展です。
知っている人も多いかと思いますが、日本工芸会という公益社団法人が主催する展覧会です。
毎年NHK「日曜美術館」で紹介されます。65回を数える古い展覧会です。

この伝統工芸展はわりと百貨店の美術画廊とつながりがあり、
伝統工芸展入賞→百貨店での個展
というのはよくあるパターンです。

ただ、
漆の場合、狭き門なのです。
理由は2つ
1、作品数が少ない
2、作品単価が高く若手の作品を売りにくい
若手の作品でも最初から高いので、販売するのが難しく
個展の機会もベテラン中心になる傾向があります。

◆漆芸若手の活路は?
上記のように、漆芸の若手で個展の機会をもらうにはどうしたらいいのだろうか?
答えが全く見つけられず、先輩作家に聞きまくる日々が始まりました。
まず恩師に相談して「紹介してください」と頼んでも「わかった機会があったら紹介するよ」
となるも実際に話は進まない。
他のベテラン作家に相談したら「営業しなさい」とのこと。
だけど
「営業!?」美術での営業ってなに?て感じでわかりませんでした。

◆実際に営業する
いざ営業といっても、百貨店の美術って組織なので
誰になにをプレゼンテーションすればいいのかわからない。
実際にどんなポジションの人に話せばいいのか、今でもわかりません。
その頃僕はとにかく個展したいオーラを出していました。
(実は、百貨店での個展がハードル高くて、いろいろなギャラリーにもアプローチしました。
しかし、まだまだ個展できるレベルじゃないね。って感じで、全然話が進みませんでした。)

◆転機
転機が訪れたのは僕が30歳の時、日本伝統漆芸展で最高賞の「文化庁長官賞」を受賞した時でした。
関東にいる若手作家は展覧会の作品撮影の際、桐箱から作品を出す仕事を行います。
その日撮影の当番に行くと「浅井くん、賞とってるよ」とその場で知らせてもらいました。
めちゃくちゃ嬉しくて、その場にうずくまってると。
「最高賞とったんだから、浅井くんに個展させてあげてよ」とベテラン作家さんが西武の担当者に進言してくれて、
そこにいた担当者も「検討してみます」という流れになりました。
「ついにきた!!」

◆その後の平行線
だけど、そこから話が進みませんでした。
その時にいた担当者は直接的な決定権がなかったので、ちょっとしたノリで話したような感じで具体的な話になっていませんでした。
そこで、「西武で行う小さなグループ展に参加させてもらって、実績を積み上げよう」という感じで年末の「おわん展」に参加させてもらいました。
とにかく一生懸命作品を作って、できるだけ会場にいて作品を買ってもらいました。
作品がいくつか売れたので、改めて担当者に「個展の話を進めたいんですが」と決定権のある人に紹介を頼みました。

◆期待値ゼロからスタートする
先方としてはあまり乗り気ではないけど、漆芸展、おわん展とつながりができ他のでゆっくりと話が前に進み始めた気配がありました。

全然スムーズではない僕の個展までの道のりはこんな感じです。
個展というのは多くの人と時間とお金が関わってきます。
(例えば池袋のスペースを1週間借り続ける、そして問い合わせに対応する。ホームページを更新するなど、
多くの時間がかかるのが個展です。「大丈夫かな?」腰が重くなるのも納得)
自分の作品が、世間とつながるための商売になるかが試されるハードルというのを実感しました。

個展が決まってから、制作、個展スタートまでの物語はまた書きます。

作品が完成した時の気持ち

作品が完成する気持ち、僕の場合
複雑です。
1作品に長く関わり過ぎていると、いろいろな意味で客観的な目線を失います。
最初に「これはいいぞ!」と考えて制作をスタートさせるわけだけど、
期間が長くなるほど、スタート地点の気持ちから時間的な距離が離れてゆき、
「完成してくれ」という祈りみたいになってきます。
特に、一粒ずつ貼ってゆく作業は修行みたいで、
途中から無心になります。

このシリーズは前作の棗と今作で2つ目ですが、

作業的には単純です。
ただ、長時間の集中力と執念が必要で
「光を具象表現する」ことを目指して実験しています。
ある程度成果は出ていると思っているんだけど、
時間がかかりすぎるからリスクが大きくて、制作費用が高い割に作品価格を上げにくいです。
制作期間が長いと、そういうことを悶々と考えることになって、
「完成した!わーい」という気持ちはありますが、
1つの日常が終わって、「さあ、次の日常へ向かいましょうか」という自分もいます。

あとは、完成した時の雰囲気を作ることについて最近わかってきたことがあって、
それは見えない部分の完成度が作品が纏う空気感であるということです。
この完成度に関して、少し前なら自分にしかわからないことだと思っていました。
だって、裏のツヤって写真ではわかりませんからね。
でも、それが作品の完成度に関わってきて、しかも、見る人にも伝わるのです。
自分で「絶対これで完成!」と言い切れる作品でないと、人の心が動かせないのです。


今だに作品の完成って複雑な気持ちになります。
「やりきった」という気持ちと「寂しさ」が入り混じります。
寂しさは、作業時間があまり長かったので、どこかで無気力になってしまうことだと思います。
自分の手を離れた作品を見るのが、人生で最も感動的な瞬間だけど、
その感情はちょっと切なくて、でも何度でも味わいたいものです。


ちなみに僕は作品を擬人化しません。
だから作品が売れても「嫁入り」という表現を使いません。
誰かに喜んでもらいたいと思って作ってるけど、
最前線で作品と向き合えるんだから、幸せな仕事です。

卒業制作中の学生さんに買ってもらいたい本「漆芸の伝統技法」

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いよいよ卒業制作展の時期が近づいてきましたね。
全国の漆専攻の学生さんは、皆頑張っていることでしょう。


漆の仕事は学校で教わったことで完結することが難しいです。
その後の人生でも勉強し続ける必要があって
実技的なこと、学問的なこと、歴史について。勉強に終わりはありません。

学校を卒業してしまったら、
当然先生はいないし、ネット上に漆芸技法が書いてあるページなんてありません。
そんな時、僕は一冊の本をススメます。

佐々木英著「漆芸の伝統技法」

この本を買ってくみてください。
漆芸専攻の人に超おすすめです、お金ないというなら僕がプレゼントするのでメールください。贈ります。
この本には技法的なことから、産地の特色、漆工史まで全てが含まれています。
僕は今だに年間何回かはこの本を開いて調べごとしています。
漆芸歴21年でもこの本は学びがあるんです。

何よりも著者の佐々木英は作家なので、
作り手の目線で技術的な内容が記されている。
実践的な漆芸制作において、これほどありがたい本はありません。


もう一冊
「日本漆工の研究」という名著もあります。
この本は沢口吾一さんの著書で、一生物の漆芸バイブルです。漆関連だと座右の一冊におすすめしています。
ただ、高い。
この本は漆芸を専門書として
内容が豊富なので間違いなく一生学びがあります。
巻末の索引はとても有用で、調べごとで何度も開いている一冊です。
相場が上がっていて、今は60000円代ですね。

相場が高めなアマゾンはおすすめできません。
ヤフオクなら2〜3万円代なので、そちらで購入してみてください。
ちなみに僕が学生だった頃の相場は35000円なので、アマゾンは順調に値上がりしています。
復刻も見込めないので、プロ志向の人はぜひ何処かのタイミングで入手してください。

上記に紹介した二冊は一生物の本です。
もちろん卒業制作中の調べごとにも最適な本です。
毎年この時期になると、この二冊はブログで紹介しています。
どうぞ作業机の隣に「漆芸の伝統技法」をおいて作業してください。

「URUSHI 伝統と革新」展が、本当にすごかった。

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「URUSHI 伝統と革新」横浜SOGO会場に行ってきました。
この展覧会は、
○石川県立美術館
○横浜SOGO
○静岡MOA美術館
上記3箇所に巡回する展覧会です。
日本伝統漆芸展35回記念に合わせて開催される特別展で
明治の名品から現代までの漆芸作品が一堂に会します。

見所はまず、明治の名品
白山松哉、赤塚自得
僕の大好きな蒔絵師の代表的な仕事が見られます。
数は少ないけど、展示が近くて詳細まで見ることができて勉強になりますした。

続いて
伝統工芸展初期の名品
松田権六や高野松山といった初期の人間国宝の代表作が出品されています。
石川県立美術館会場では松田権六作品が充実していたようですが、
横浜ではバランスよく人間国宝の作品が間近で見られます。

今回僕が驚いたのが、田口善国作の蒔絵の棚です。
この作品は今回の展覧会のチラシに使われている作品で、
僕も図録で何度も見たことがあったので、てっきり実物を見たと思っていた作品でした。
しかし、実物を見るのは初めてで、正直驚きました。
その大きさたるや、2メートル近くあるような大きな棚だったのです。
感覚的に想像の2倍くらいのサイズ感
「伝統工芸というより、これは立体作品だ」田口先生の作品に対する情熱がひしひしと伝わってきました。

最後に
現代の作家作品。
僕の作品も出品させていただいています。
正直にいうと、現代の作品は過去の名品に比べて、サイズは小さくなっているし
手の入り方も違う時間軸で作られています。
4ヶ月に1つの作品を作るという、無理な制作ペースは手数において、問題を感じる部分がありました。
ただ、その中で脈々とつながっているものも、しっかりお伝えできると思います。
技術の伝達もそうなんだけど、一番大切な漆に対する愛情や情熱は、現代作品からもしっかりお伝えすることができると思います。

現代の良い部分と、過去の工房体制の良い部分を掛け合わせて
今後の制作は加速してゆきます。
新しい時代に、圧倒的な作品を作るという目標を改めて思い描くことのできる、
思い出に残る展覧会でした。

「そういえば、高校時代に眺めて憧れ尽くしていた漆の世界はこんな感じだったな」と初心に帰れた時間でもありました。

展覧会情報は下記
https://www.sogo-seibu.jp/common/museum/archives/19/urushi/?fbclid=IwAR3nGVCX6ssPs9pM2SBZg3Qg4IudK06RCxG0e2A2vDQBx4EVf3fHY7QcruI

漆の価値を伝える時にしてしまった大きな間違い

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漆の良さを伝えるために僕は過去いくつか間違ったことをしてきました。

それは、「漆っていうのは、制作が大変で、だから価格が高いのです」というメッセージ。
これは本当のことなんだけど、
「手間暇かかってたいへん」=「高価」というのは作り手の都合であって、お客様になんの関係もないんです。
高いものを買ってもらうために説明しなければ!という気持ちがあってそれが見事に空回りした例です。

改善点
改善点は2つあります。
1、前提を変えること。
漆の価値がわかっている人に、苦労話をする必要はありませんでした。
なぜなら、漆に関心を持ってくれる人は100%美しい生活や生き方を実践していたり、その重要性を感じている人です。
苦労話より、夢のある話をしたほうがいい。

2、新規開拓をしない。
これはとても重要です。
「今まで漆に触れたことのない人に漆の良さをわかってもらいたい」という気持ちは無くなりました。
考えてみてください。
街中で「ヘビメタ好きになってくれ!」とストリートライブでヘビーメタル演奏したらどうなるでしょう。
ヘビメタ好きな人はいいかもしれないけど、大多数のヘビーメタルに興味ない人は、関心を示さないし、
騒音になりますよね。


残念ながら漆は全ての人を幸せにできる素材ではありませんでした。
高級だし、簡単に使い捨てられるものでもなく、使う人を選びます。
愛情が深いだけに、多くの人に知ってもらいたかったけど、
路上ライブみたいに、大多数の人に向けて歌ってはダメだったのです。
必要なのは、最高の音質を楽しんでもらえるステージを作り、そこに聞きに来てくれた人だけを幸せにすることでした。

だけど、
子供向けのワークショップとか講演は断ったことがありません。
大多数の人に向けての活動ですが、「子供の時から本物を」と考えているので、
漆のことを好きになってくれなくても全力で話したり、ワークショップします。
きっとそれは、「高い」とか、「使いにくい」というイメージがない彼らに
「漆って綺麗だよね!!!」って心から伝えたいからです。
頭の固い大人に「漆って良いんですよ」って言っても「もっと安かったらねえ」「一般向けに安く作るべき」など、説教されますからね。


ただ、子供がピュアかと言ったらそうではなく
「この作品は何万円ですか〜?」というのがよくある質問です。笑

「○○○万円だよ」
「すげーーーーーーーー!」
と言わせたら僕の勝ち。

美術で食ってゆくのが難しい理由

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いつの時代も「美術は食えない」と言われています。
実際に美術だけで生活してゆくことが難しいのは身をもって感じてきました。
(ただ、全然不可能じゃありません!食えるし、そういう人を増やすためにブログ書いてます)

ではなぜ難しいのでしょうか。
理由は複雑で、時代性とか、そもそも作品のクオリティの問題がありますが、
今はクオリティが高い作品を作っているのに「食えない」理由を考えてゆきます。


◆美術業界も資本主義の尺図
美術にも市場というものがあります、つまり夢のある業界ですが、ビジネスとしての側面があります。
物とお金と人が動くので、どうしても避けて通ることができません。
ビジネスの市場には80対20の法則というものがあります。
パレートの法則とも呼ばれる法則で、例えば

商品の売上の8割は、全商品銘柄のうちの2割で生み出している。
売上の8割は、全従業員のうちの2割で生み出している。

(出典 wikipedia)
引用のように、少数が多くのものを生み出す構図。
つまり、極めて不平等な状況であるということを表しています。

美術の業界も売れる人と、そうでない人の差がありますよね。
そして、売れる人はより高額になり、そして売れ続ける。このような構図は80対20の法則で説明ができます。


◆ビジネスとしての難易度
美術をビジネスとして考えた時の難易度はどうでしょう。
実はビジネスには難易度があって、効率的な事業とそうでないものがあります。
残念ながら美術は難易度が高い分野といえます。

ビジネスの難易度の条件
・小資本 
・無在庫
・高利益率
・ストック性
・成長産業

上記がビジネスの良い条件です。美術を実際にビジネスに当てはめると
◯資本について。
美大に行って、工房を構えて、などなど、資本のかかる分野ですよね。ただ、紙と鉛筆だけあればいい表現もある。
◯在庫について。
物を動かす仕事なので、在庫は必要です。在庫のいらないビジネスは例えば、電子書籍とかウェブサービスは在庫ゼロですね。
◯利益率
作家の前半戦の利益率はかなり低く設定されています。売れても次の材料費になるかならないかの自転車操業が現状だったりします。
◯ストック性
ストック性とは、例えば著書が何作もある場合、そのキャリアは残ります。つまりストック性があります。
1つのコンテンツ(作品)が継続して利益を生むストック性でいえば、小説とか画集も少しはストック性があり、
賞歴などのキャリアも後の作品発表に影響するのである意味ストック性があると思っています。
◯成長産業
どの分野の美術に関わっているかが大きいですね。
現代アートだったり、工芸だと竹工芸はまさに成長産業です。
この分野で長期的に発表することは他の分野より条件がいい気がします。
他の分野だと産業を成長させるところから始める必要があるから、もう少し助走期間が長くなります。
漆工芸は成長産業ではないので、乗る波を作るところから始めなくてはなりません。


以上のように
美術をビジネスと考えた時、難易度の条件として高い分野といえます。
したがって成功までに時間がかかるし、成功確率が低くなるのも仕方がありません。
ただ、その難しさを克服するために時間をかけることができるなら挑戦する価値があります。
キャリアがストックされやすい分野でもあるので、実績を積めばそれだけ長期的に活動できます。
また、何人も人を雇ってスタートするプロジェクトやサービスでもないので、何億円も借金して事業をする必要もありません。
つまり、資本は低くはないけど、莫大ではありません。

長期戦と考えて、腰を据えて作品のクオリティを上げることができれば
時間を味方にできるのが美術です。
短期的な評価に惑わされず、淡々と毎日、仕事するのが鍵ですね。

2019年 今年の目標

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あけましておめでとうございます。
今年も「漆に生きる日々 京都編」をよろしくお願いします。

みなさん今年の目標を立てましたか?
去年のカレンダーを見返して、「全然目標達成してないな。。」と思いつつも、また目標を立てますよ!
前進はそこから始まるはずです!!!

◆目標その1
作品数を増やして、クオリティを上げる!
今年は優秀な新卒スタッフが増える予定なので、作品数と当時にクオリティも上げてゆきます。

◆目標その2
海外発信を活発にする
昨年は、ドイツでの展示、そしてマレーシアのアートフェア参加させていただきました。
そして!作品が初めてアメリカのお客様のもとへ渡りました!!
今年も引き続き、海外発信を続けて「蒔絵で世界へ」というテーマのもと活動します。

◆目標その3
太らない!
昨年は忙しさにかまけて、体重が増加しました。
今年はジムにしっかり行って、健康維持しようと思います。

◆目標その4
英語の勉強をする。
まあ、これは毎年言っていることなんだけど、海外の仕事も増えたきたとことだし、必要性があるから勉強します。
そして、実践的な勉強のためにアクションを起こします。

◆目標その5
漆を植える
今年は実家の鳥取に漆を増やすことになりそうです。
現在、約200本ありますが、新たに栗が植わっていた土地を漆に変えてゆこうと思います。
なんせ、漆は採取まで10年以上の時間がかかるから、適切な植樹が大切です。
15年後のために漆を植えよう!

◆目標その6
テーマを持って展覧会に挑む
今年は3月に高島屋の企画展「美の予感 2019」展に参加させていただきます。
この展覧会は
日本橋展=2019年3月6日(水)→12日(火)6階美術画廊
大 阪展=2019年3月27日(水)→4月1日(火)6階美術画廊
京 都展=2019年5月8日(水)→14日(火)6階美術画廊
名古屋展=2019年5月29日(水)→6月4日(火)10階美術画廊
以上4会場を巡回します。
出品点数は6点くらいと少ないけど、どれも展覧会制作並みの力を入れた作品を発表します。
この展覧会から少ない点数でもテーマ性を持った発表を意識しようと思います。
今回は「光の造形化」です。
会期が近づいてきましたら、またご案内しますのでよろしくお願いします。

◆目標その7
健康維持
去年はたくさん風邪をひいてしまいました。
今年はしっかり健康を維持して、毎日良い状態で仕事に取り組みたいです。


以上作家としての今年の目標でした。(痩せるのも作家としての目標か?笑)
今年も作家として力強く成長してゆきます!

皆様にとっても良い一年になりますように!

「作家は一人で作らなければならない」を論破

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作家や職人はどのような体制で制作しているのを想像しますか。
多くの人のイメージの中では、一人黙々と作業を続けている光景が頭に浮かぶと思います。

僕は漆芸作家ですが、工房体制(チーム)で制作しております。
このブログでも工房体制で制作していることを書いてきましたし、実際仕事場に見学にいらっしゃった方は仕事の内容から、複数人で一つの作品を作ることを自然に捉えてもらえていると考えます。
だけど、人によっては個人の作家が実は一人で作っていなかったとなると違和感を持たれるかもしれません。

例えば、ゴーストライターとか、アシスタントの作品盗用みたいなネガティブなイメージ。


でも、考えてみてください。
本質的に、完全に一人で作られた作品なんてこの世に存在しているでしょうか。
例えば、画家ならキャンバスを作る人がいて、絵の具を作る人がいて、額縁を作る人がいます。

アニメ映画なら、アニメーターがいて、声優がいて、背景を描く専門の人、色指定専門の人。。。このように、一つの作品にたくさんの人が関わってくるわけです。
漆の場合、本来は木地師・塗師・蒔絵師と3つの職業が必要ですが、なんとなく一人でこなさなければならない流れになっています。
「若いうちは一人で制作しなさい」と実際に言われることもあります。
でも、僕はクオリティを上げる挑戦ならなんだってした方がいいと思っています。
20代の頃は、すべて一人で作っていたんだけど、展覧会制作の年間3点が厳しすぎて
不本意な仕事の連続でした。
何より時間がない。年間三回の展覧会があるということは、4ヶ月に1つのペースで制作が必要とういことです。
現在の制作内容と比べて見るとわかりやすいですが、
今は棗という小さな茶器の制作に半年かかります。
クオリティを追求すればそれだけ時間とお金がかかるんだけど、
1つの作品に半年間かけることができるようになったのは、チームで作る発想があるからです。
つまり、一人で制作していれば見れない夢を見ることができるようになったことになります。


そして、もう一つ重要なことだと思っている
チームでの制作は人を育てる意味もあります。
僕の工房はホワイト企業を目指していて給料を得て技術が学べる仕組みを作っています。
まだ給料は高くないけど、社会保障とか年金に加入して賃金体系もクリーンです。
作家制作だけで雇用を生み出せるはずという目標を達成しさらに加速するために日々努力しています。

◆作品のクオリティが上がる
◆雇用を生み出せる
◆技術の伝達ができる

誰に何を言われようとも、この3つは事実ですし
作られたものは僕が発想したオリジナルの作品です。
僕が死んでしまえば、作った本人のパーソナリティなんて関係なく
作品が残り、時代のふるいにかけられます。
アーティストとして、歴史的名作を作ることが目標ならば、
今を精一杯生きて、作品のクオリティを上げ続ける発想は正義なのです。

2018年 僕がオススメしたい本10選 本音と建て前 (後編)

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前回は建前として、僕が近年読んだ中でも気づきとかヒントが多かった本を紹介しました。(前編はこちら
今回は本音編と言うことで、よりビジネス書的だったり、自己啓発色の強い本を紹介します。
前回がヒントだとすれば、今回は答えを出してくれる本と言えます。

本音編

◆オススメ5選◆

今年読んだわけではないけど
嫌われる勇気

これは良い本です。
現代人の対人関係における悩みを、優しく、そして的確に解決してくれる本といえます。(ストーリー形式なので読みやすい)
「相手の感情は相手に責任がある」と言うキーワードが特に印象的です。
僕たちはついつい相手に嫌われないように、相手がどう思っているか気にしながら生きてしまいます。
思いやりは必要ですが、いつも誰かの心の中を気にしていると自分が消耗して疲れ切ってしまいます。
そんな時、自分らしく生きて、誰かに「こいつ、うぜえ」と思われるかもしれないけど、
「自分が変わって、「うぜえ」と思われないようにしなければ」と言うマインドを否定します。
「相手の感情は相手に責任がある」のだからその責任は相手に任してしまいましょう。
だいたい同じ発言をしても人によって受け取り方違うし、気にしなくなりました。

革命のファンファーレ

芸人キングコングの西野さん
絵本の執筆や無料公開で大いにネットを騒がせた西野さんの本です。

内容で印象的だったのが
◆絵本の分業制
◆信用の数値化
◆人が行動する理由
まず、絵本制作という作家業を分業した理由、僕たち漆芸分野における問題点と絵本制作の問題にかぶるところがあって、
その解決が分業制であるという考え方。クオリティに関する考え方とお金の流れを作る部分でとても共感しました。

信用の数値化は僕も以前ブログに書いたことがありますが、ネット時代では嘘がないことと、信頼の数値化が重要という内容。

最後に人が行動する理由について面白いと感じたのが、それは「確認作業」であるという考え。
確かに、僕たちは「フェルメールの絵が日本でまとまった数見れる」となると嬉しくなりますが、
実際フェルメールの絵って教科書で何十回も見ています。実物を見ることに意味はあるけど、初見の感動というよりは
感動を「確認しにゆく」という方が近いかもしれません。

多動力

堀江貴文さんの本はとても読みやすくて面白いです。
「多動力」というのはその名の通り、多くのことをこなすこと。
日本的な「石の上にも三年」的な感覚を否定します。
僕の業界ほど「石の上にも三年」的な業界はない気がしますが、それでもうなずける部分が多い本です。
印象的なのがスキルの掛け算を行なって、レアな人材になれということです。
どういうことかというと
堀江さんは元ライブドア社長とかロケット開発とか受刑経験といった、キャラクターが多い人です。
会社社長だけだったらたくさんいるけど、そのほかの要素をたくさん掛け合わせてその人にしかなれないレア人材になれば、
代わりがいないぶん重要なポジションを作れるということです。
読みやすくてうなずけることの本です。

人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている

ここまで書いてしまっていいんですか?というくらいわかりやすい本でした。
世の中の不思議を「勘違いさせる力」で説明しています。
美術の世界の話だと、「実力はそんなにあると思えないのになんであんなに売れているのだろうか」という疑問思うことありませんか?
音楽の世界だってそう感じること多いですよね。
でも、それにはきちんとした理由があって、それをコントロールしている人がいるようです。
つまりマーケティングなのかなと思うのですが、マーケティングを「勘違いさせる力」という言葉に置き換えてわかりやすく説明しています。

これからの世界をつくる仲間たちへ

落合陽一さんの本です。
人間がAIに勝る部分とはなんでしょう「モチベーションのない人間はやがて発達したコンピュータに飲み込まれる。逆にモチベーションのある人間は、コンピュータが手助けしてくれる」
正確性や記憶力など、人間個人がコンピューターに勝る部分なんてきっとないけど、
僕たちにはモチベーションという人間らしい感情があります。その人間らしさが世界を輝かせることのできる唯一の力ではないでしょうか。
コンピューターVS人間という構図ではすでに僕たちはコンピューターに使われる側にいる部分もあります。
Uberなどの配車アプリは、アプリの指令に沿って人間が運転する車が利用されている点ですでに
コンピューターに人間は使われる側です。
労働がなくなる未来や、やりたいことでなければ仕事として成り立たなく未来。
そんな未来が少しだけ見える本でした。


今年は読書量が少なかったけど、
落合陽一さんと西野亮廣さんの本はほかの著書も数冊読みたくなる、良い出会いでした。
来年もオススメの本があったら、たまにアップしようと思います。

展覧会に「買わなくても見に行くだけでもいいんですか?」という質問に対して「見にきてください!」と心から言うよ

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たまに
「作品買うことできないですが、見るだけでもいいですか」と言う質問があります。
僕は100パーセント本心で「ぜひ見にきてください!」と言っています。
百貨店で行われる企画展とか個展って、ちょっと入りにくい雰囲気ですよね。
店員さんに話しかけられたり、作家がいたら目線が気になるかもししれません。


実のところ、展覧会は作品を売るためだけに行っているのではありません。
僕の中では、僕が信じた世界を共有できる場所なのです。
15歳のとき蒔絵に出会って、その美しさに魅了されて、自分でも作りたいと思って歩いて来ました。
少年時代の僕には、蒔絵は光そのものでした。
長い間不登校だったから、否定されることが多い人生だったけど、
蒔絵に関わることをしている限り、全てが肯定されるように感じました。
まさに光だったから、僕はその光にしがみつきました。


そして、その気持ちを心のそこから共有したいと思っています。
綺麗事ではなくて、美は絶対に平等です。
どんな立場の人や国籍の人、性別の隔てなく視界を通して誰かに美を届けることができます。
だから、機会があったら僕の作った作品を見に来て欲しいです。


最近ツイッターを通して僕の作品を見て「涙が溢れました」と言うメッセージをいただきました。
また、「今はお金がないけど、いつか奥さんにあなたの作った箱をリングケースにしてプレゼントしたい」とメールいただきました。
売るとか、売らないとかじゃなくて、僕は誰かの心にほんの小さな光でも、そこに届けることができたのかもしれない。
そう思えるだけで幸せだったりします。
僕はプロの漆芸作家だから、作品を売ることを仕事です。
だけど同時に、僕を励ましてくれて、人生を輝かせてくれた蒔絵の輝きを一人でも多くの人に届けたいんです。それも僕の仕事です。
だから、機会があったらぜひ作品を見にきてください。