カテゴリー別アーカイブ: 展覧会案内

3月6日から始まる日本橋高島屋「美の予感」展について説明するよ

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ツイッターで情報を投稿している「美の予感」展
今回の展覧会は、SNSを通してあらかじめ情報を出していて
制作過程もどんどんアップしています。
一人でも多くの人に見てもらいたいと思う展覧会です。

「美の予感」は今回で4回目?の展覧会で隔年で若手の工芸作家の作品を発表する企画展です。
各地の高島屋を巡回する展覧会で、
日本橋展=2019年3月6日(水)→12日(火)6階美術画廊
大 阪展=2019年3月27日(水)→4月1日(火)6階美術画廊
京 都展=2019年5月8日(水)→14日(火)6階美術画廊
名古屋展=2019年5月29日(水)→6月4日(火)10階美術画廊

上記の日程で巡回します。
この展覧会は、過去に桑田拓郎さんや新里明士さんなど、
僕が尊敬している作家が参加しているので、俄然燃えます。
高島屋さんも図録の制作も行うし、巡回展であることから重要な展覧会と位置付けられています。

たぶん、この企画展は伝統工芸系の作家があまり参加してこなかったように思うんです。
どちらかというと、現代アート寄りの展覧会だったように思うから、ここに入れたことは自分の中でとても重要です。
伝統工芸展に出品している作家て、どこかで線引きされているように感じることが多くて、
「ああ、伝統工芸系の人ね」と、よく言われます。
別にいいんだけど、ただ、機会が少ないこと、展示場所が限られるのがストレスでした。
最近は活動の範囲が広がってきたけど、所属団体とか、出品場所で分けられたくないですからね。


出品数は5点の予定です。
全部渾身の作です。
今後、「美の予感」の情報をたくさんアップしてゆきます。
お近くに巡回してきたら、是非見にきてください!

「URUSHI 伝統と革新」展が、本当にすごかった。

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「URUSHI 伝統と革新」横浜SOGO会場に行ってきました。
この展覧会は、
○石川県立美術館
○横浜SOGO
○静岡MOA美術館
上記3箇所に巡回する展覧会です。
日本伝統漆芸展35回記念に合わせて開催される特別展で
明治の名品から現代までの漆芸作品が一堂に会します。

見所はまず、明治の名品
白山松哉、赤塚自得
僕の大好きな蒔絵師の代表的な仕事が見られます。
数は少ないけど、展示が近くて詳細まで見ることができて勉強になりますした。

続いて
伝統工芸展初期の名品
松田権六や高野松山といった初期の人間国宝の代表作が出品されています。
石川県立美術館会場では松田権六作品が充実していたようですが、
横浜ではバランスよく人間国宝の作品が間近で見られます。

今回僕が驚いたのが、田口善国作の蒔絵の棚です。
この作品は今回の展覧会のチラシに使われている作品で、
僕も図録で何度も見たことがあったので、てっきり実物を見たと思っていた作品でした。
しかし、実物を見るのは初めてで、正直驚きました。
その大きさたるや、2メートル近くあるような大きな棚だったのです。
感覚的に想像の2倍くらいのサイズ感
「伝統工芸というより、これは立体作品だ」田口先生の作品に対する情熱がひしひしと伝わってきました。

最後に
現代の作家作品。
僕の作品も出品させていただいています。
正直にいうと、現代の作品は過去の名品に比べて、サイズは小さくなっているし
手の入り方も違う時間軸で作られています。
4ヶ月に1つの作品を作るという、無理な制作ペースは手数において、問題を感じる部分がありました。
ただ、その中で脈々とつながっているものも、しっかりお伝えできると思います。
技術の伝達もそうなんだけど、一番大切な漆に対する愛情や情熱は、現代作品からもしっかりお伝えすることができると思います。

現代の良い部分と、過去の工房体制の良い部分を掛け合わせて
今後の制作は加速してゆきます。
新しい時代に、圧倒的な作品を作るという目標を改めて思い描くことのできる、
思い出に残る展覧会でした。

「そういえば、高校時代に眺めて憧れ尽くしていた漆の世界はこんな感じだったな」と初心に帰れた時間でもありました。

展覧会情報は下記
https://www.sogo-seibu.jp/common/museum/archives/19/urushi/?fbclid=IwAR3nGVCX6ssPs9pM2SBZg3Qg4IudK06RCxG0e2A2vDQBx4EVf3fHY7QcruI

第70回 正倉院展に行って来たよ (※攻略法アップデート)

みなさんご存知、奈良国立博物館で開催される「正倉院展」のシーズンとなりました。
秋の紅葉の時期に2週間だけ展示される「正倉院展」とはどのようなものか。

正倉院は聖武天皇遺愛の品を収められた倉ですが、
その蔵に納められた品々は美術品的な価値と同時に歴史的な資料としても世界的に貴重です。
天平時代、大陸との交流が盛んに行われ、シルクロード交易の中で流通したあらゆるものが日本に伝来して来ました。
貴重な遺物が類を見ないほど、良好な状態で保たれていて、1200年の時を経ても僕たちに感動を与えてくれます。

遺愛の品からは多様な文化を見ることができます。
例えば、象牙やトルコ石、ラピスラズリなど、日本で入手することができない材料を用いた御物も多く
当時、作られていた国にも遺物が残っていないけど、正倉院に残っていることもいいです。
例えば、ペルシアで作られたガラス製の器ですが、現地で出土したものは変質が激しいけど
正倉院に伝わっているものは透明なガラスの輝きをたたえ続けています。
このように、シルクロードの終着地点として、また美と文化のタイムカプセルとして、正倉院御物というのはとても魅力的です。


このように現代の僕たちを楽しませてくれる「正倉院展」
毎年ものすごく混みます。そりゃあ、驚くほどに。
入場制限の列に加え、メインの作品になると、一点見るだけど、列を作らなければならないほどなのです。

混雑回避の方法を書いた過去記事を参考に
できるだけゆったりと作品鑑賞ができる攻略法をまとめます。(以下過去記事より抜粋)
過去記事はこちら

その1
日曜美術館放送前に行け!
正倉院展は毎年NHKの「日曜美術館」という番組に紹介されます。
丁寧な取材がされているので、その解説を見てから行きたくなりますが、
直後はものすごく混みます。
できるなら、放送前がいいです。
思い出とともに再度「日曜美術館」を見るのがベストと言えます。

その2
「人がいない朝一番に行こう」は超危険!
僕も何度か失敗してしまったのですが、朝一番はお客さんが少ないと考えて
張り切ってオープン前に行ってしまうのです。
しかし、これはかなり危険です。
午前中は2時間待ちとかになっています。行くなら午後!

その3
チケットは近鉄奈良駅で購入!
当日券を購入する場合、奈良国立博物館で買おうとすると地味に混んでます。
なので、事前購入をお勧めします。
近鉄奈良線を使って博物館に行く場合駅の構内(改札出たすぐ左手)に特設ブースがあります。
そこで購入するのがお勧めです。ほとんど混んでないのですぐ買えますよ。


過去記事はここまでですが、
さらに情報をアップデートしようと思います。
実は金、土、日曜日は20:00まで博物館が開いています。
ちなみに「オータムレイトチケット」で入場料が800円になります。
このチケット18:30からの入場チケットなので、入場まで待たなければなりません。
レイト入場がスタートと同時に一定の人がまとまって、館内に入るので、割と混みます。

通常開いていない時間なので、ピーク時よりは空いていますが、
それでもゆっくりは見られないほどに混みます。

すでに日曜美術館で正倉院展特集を行ってしまった後ですが、
やっぱり感動する「正倉院展」
秋の奈良と一緒にどうぞ。

「Art Expo Malaysia Plus 2018」レポート

今回ギャラリー花影抄さんから出品させていただいている
「アートエキスポ マレーシア2018」
実はアートフェアへの出品って初めてで、様子を現地で見たいと思いマレーシアまできました。

マレーシアという国とアートはなかなか繋がりにくいですよね。
実際のところ、めちゃくちゃアートが盛んという感じはしません。
物価の感覚からして見ても、これから国際的な経済競争力とともにアートも根付かせてゆこう。という感じかなと思いました。
市内はまさに建設ラッシュといった感じで、各所に建設中の高層ビルがあります。
これからの国というのはこういう勢いがあるんですね。

アートエキスポ マレーシアは開催前日に招待日がありました。
王族の方が午前中に足を運んでくださいました。
午後からはVIPの招待がありました。僕が期待していたVIPナイトですが
基本的にお酒を飲まないマレーシア。配られるのはジュースでちょっと期待はずれ。ww


さて、一般開催の初日は朝から行列でした。

出品ブースもこんな感じで混んでいます。
作品が小さいのと、長時間見てくれる人の割合が多くて
常にこんな状態でした。

残りの日程はギャラリーさんにお任せして
僕は少しクアラルンプールを回ってみようと思います。

「Art Expo Malaysia Plus 2018」に出品します

来週からマレーシアのアートフェアにギャラリー花影抄さんのブースから1作品出品させていただきます。
前半だけだけど勉強にもなるし現地に行きます。
さて、アートエキスポ マレーシアってどんな感じだろう。
たぶん「アートフェア東京のマレーシアバージョンだよね?」という予想ですが、
それならそれで、蒔絵とか漆は超少数派の出品です。
でっかい立体作品とか、絵画の中でどのようなアプローチができるのか、それは全くわかりません。
場合によっては全くの空振りに終わるかもしれないけど、
それはそれで、次のための経験となります。

今後の活動を日本に限定したいとは微塵も思っていないので
このような機会は本当にありがたいです。
心の中で「蒔絵の美意識は世界に通じるはずだ!」と思っているけど
空振りならば、工夫する必要があります。

世界レベルで活躍してる作家は皆
意識的にしろ無意識にしろしっかりと、戦い方考えているんですよ。
とりあえず打席に立って、勝負してきます。
どうなる「Art Expo Malaysia Plus 2018」

ギャラリー花影抄 紹介ブログ
http://hanakagesho.blog17.fc2.com/blog-entry-2114.html

公式サイト
【art expo MALAYSIA 2018】 2018.10.11〜14
webサイト https://artexpomalaysia.com/

佐野藍さん「獣神達の昼さがり」を見てきた

佐野藍さんの個展「獣神達の昼さがり」が花陰抄 で開催されています。
今日は初日だったのでうかがってきました。

佐野さんは、立体彫刻でも珍しい、石彫の作家です。
作風は爬虫類とか、幻獣、獣神などを精密に造形する骨太な作品群。
石を削り出しているので、素材の持つ重厚感があり、佐野さんの作りたい、もしくは見つめている王国が圧倒的な質量で繰り広げられています。
見てると不思議と時間軸がブレるような気持ちになってきます、ローマ彫刻や、エジプト美術が展示してある美術館にいるような、背後に気配があるんですよね。
こういう感覚って、古い作品から感じられることが多いのですが、佐野さんの新作にはそういう気配があります。

作品1つ1つにストーリーがあり、展示全体に一貫したテーマがある「獣神達の昼さがり」とは、佐野さんの作り上げた王国です。
ストーリーの時間軸、素材の時間軸、佐野さんが持っている時間軸、そんな不思議な時間の流れる空間を体験できました。

会期 2018年5月26日(土)〜6月3日(日)
/休廊28日(月)
13:00〜19:00(最終日〜18:00)

ギャラリー花影抄リンク
http://www.hanakagesho.com/gallery/index.html

「漆の現在 2018展」 展覧会のご案内

久しぶりに展覧会のご案内です。

以下公式HPより

日本橋三越本店
本館6階 美術特選画廊

「漆の現在 2018展」

今日、日本の漆芸作家の作品は海外から大きく注目されるようになりました。この展覧会では工芸評論家・外舘和子氏が監修し、日本各地で制作するベテランから新進気鋭の作家まで、会派や世代を超えた約50名による作品を一堂に展覧いたします。現在の日本の漆芸をご覧ください。

○関連イベント
外舘和子氏と出品作家によるクロストークを開催します。
■5月20日(日)午後2時~
(僕も参加予定です)

○会期
5月16日(水)~22日(火)(最終日は午後5時閉場)

ウェブで図録を見ることができますのでご覧ください。

https://my.ebook5.net/mitsukoshi/arturushi180516/

※僕の在廊予定は20日(日)の午後からです。
どうぞよろしくお願いします。

新作コラボ作品の出品情報「しゅきや」

出品情報
根付作家の万征さんとのコラボ酒器作品を出品しております。
作品を展示している「しゅきや」はチケット無しで入れるので、お酒が苦手な方でも気軽にお立ち寄りいただけると思います。
お時間がございましたらよろしくお願いします。

以下 公式プレスより
中田英寿が代表を務める株式会社ACCA は、2018 年4 月20 日(金)~30 日(月・祝)の11 日間、東京・六本木にて、日本全国から選りすぐりの酒蔵が出店し、日本酒の魅力をあじわい尽くせる“SAKE”イベント「CRAFT SAKE WEEK at ROPPONGI HILLS 2018」内にて日本酒酒器専門店「しゅきや」を開店することを決定いたしました。
日本酒酒器専門店「しゅきや」では、国内や海外から様々な評価を得ている工芸作家を選定・開発し、現代の日本酒をより楽しく、美しく味わうことができる酒器を販売します。
今回「しゅきや」に参加するのは、美しい蒔絵のみならず、独自の世界観
が生み出す造形美が相まって、見る者を魅了する作品を数多く手掛ける浅井康宏氏や、梅花皮や石はぜといった陶芸の技法に基づきながら、ファッション、ダンス、自然の原理からもインスピレーションを得て生み出す、独自の表現が国内外で高く評価されている、桑田卓郎氏など、現代を代表する5 人の工芸作家による“しゅきやオリジナル”の酒器を販売します。
出品作家

■浅井康宏(あさい・やすひろ)|漆器(酒器)
浅井が制作する漆芸作品は、その美しい蒔絵のみならず、
独自の世界観が生み出す造形美が相まって、見る者を魅了します。
重要無形文化財「蒔絵」保持者である室瀬和美氏の元で、蒔絵の高い技術を学びました。
今回は8 ヶ月かけて制作された酒器で、浅井による漆芸制作に並行して根付作家、上原万征氏が浅井のデザインに基づいて脚部の金属部分を手がけました。

■桑田卓郎(くわた・たくろう)|陶磁器(クーラー、ぐい呑)
梅花皮(かいらぎ)や石はぜといった陶芸の技法に基づきながら、
ファッション、ダンス、自然の原理からもインスピレーションを得て、
生み出す独自の表現がアート、工芸といった垣根を越えて、高く国内外で評価されています。
クーラー、ぐい呑ともに新作で、多様性に富む現代の食卓に求められるであろう存在をお題として制作されました。昨年よりLOEWE が主催する工芸賞2018 年ファイナリスト。

■佐故龍平(さこ・りゅうへい)|金工(片口、お猪口)
杢目金は、江戸時代に秋田県で生まれた技法で、何層もの色金を加熱圧着し、
彫りや捻りなどを加え、木目状の模様に仕上げ、刀の鍔などの製作に用いられました。
今回は、「常温または冷酒を楽しむ酒器」をお題に佐故が初めて片口を手がけました。
昨年よりLOEWE が主催する工芸賞2018 年ファイナリスト。

■中川周士(なかがわ・しゅうじ)|木工(クーラー、菓子皿、箸)
檜、椹(さわら)といった木材を用い、桶や指物の高度な技術を用いて、
日常木工品から近年では家具も手がけます。また、ドンペリニョンの依頼で制作したシャンパンクーラーは、高く評価され、現在半年待ちの人気です。
今回は、古来日本酒が杉樽で醸造されていたことから着想を得た杉に竹をタガとして用いたオリジナルのクーラーを制作。LOEWE が主催する工芸賞2017 年ファイナリスト。

■新里明士(にいさと・あきお)|磁器(酒器)
「光器」と名付けた光を透す磁器で国内外から評価を受けている新里の作品は、
ロクロで成形した白磁の生地に穴を開けて、穴の部分に透明の釉薬をかけて焼成します。
グラフィカルな模様は独創的で、ひとつひとつ異なります。
まるで宇宙の風景画を眺めているように感じる美しい酒器シリーズをお題に制作された新作群です。

■「ミラノグラス」|磁器
2015 年ミラノ国際博覧会にて中田英寿プロデュースの日本酒バーをオープンした際に、
特別に制作された日本酒グラス。「曜変天目茶碗(ようへんてんもくちゃわん)」の再現に成功し、
海外で個展を開くなど、陶芸の可能性を追求し続ける林恭助氏と中田英寿がプロデュースしました。
見た目のスタイリッシュさに加え、日本酒の香りを最大限に楽しめるよう形にこだわったオリジナルの
グラス型磁器です。

日時: 2018 年4 月20 日(金)~30 日(月・祝) 11 日間
各日12:00~21:00 L.O. 20:30
場所: 六本木ヒルズアリーナ(東京都港区六本木6 丁目10-1)
参加蔵数: 各日10 蔵 計110 蔵
レストラン数: 延べ15 店
料金: CRAFT SAKE スターターセット 3,500 円(酒器グラス+飲食用コイン11 枚)
料金: 追加コイン 1,500 円セット(飲食用コイン10 枚)、3,000 円セット(飲食用コイン22 枚)
※2 回目以降の来場の際は、酒器グラスを持参いただくと、追加コインの購入のみで、お楽しみいただけます。
尚、販売ブース以外でも会場内で販売員が AirPAY(クレジットカード、電子マネー、Apple Pay 含む)を
使用して追加コインを販売しています。
主催: JAPAN CRAFT SAKE COMPANY
協 賛: ネスレ日本株式会社、BMW JAPAN、デサントジャパン株式会社、HUBLOT
協 力: 薩摩川内市(薩摩川内市竹バイオマス産業都市協議会)、Tropical Disco、株式会社 IDO、Air PAY、
株式会社アルテクナ、株式会社ハーベス
後 援: J-WAVE 81.3F、タクシーアプリ「全国タクシー」
会場構成: dot architects
特別協力: 六本木ヒルズ
後援: J-WAVE 81.3FM
チケット販売: PassMarket にて事前販売中 https://passmarket.yahoo.co.jp/…/s…/detail/01hcy0zdig1m.html
ウェブサイト: http://craftsakeweek.com/rh/index.html
公式アプリ : Sakenomy http://www.sakenomy.net/

漆芸家目線でトーハク「運慶展」を見る

意外と意識しない仏像と漆の関係ですが、
漆芸家目線で眺めると少し違った運慶像が現れます。
運慶の仏像は木造ですが、漆の技術盛りだくさんで、欠損部分から
下地を見ることができます。

ツイッターで書いた通り、基本的な漆芸下地法を施したものから、
少し簡易なサビ下地だけのもの、もっと簡易な代用下地的なものまで幅広く見ることができました。
全体として言えるのは、白木のものはほぼ無くて、何らかの最終処理がされているということ。
制作当時は鮮やかな彩色が施されていたり、金箔が貼られていたり、今見られるシブい状態とは又違った造形物の表情があったのでしょう。

さて、下地処理だけでもあらゆる技法が見られましたが、
そこから当時の制作状況を想像すると面白いのです。
例えば、クライアントによって予算が限られていて、ここは下地を簡易なものにしようとか
完全に本気モードになっているもの。少しずつ差があると思うのです。
下地から当時の大人の事情を垣間見たりできます。

また、現在の作家のイメージと違い
運慶の仏像といっても、運慶一人が制作に携わっているのでは無く
本当に何人、何十人の工房で制作していたことが作品からわかります。
少なくとも木造部隊と、漆部隊は分かれていながら同じ工房内かまたは近所に工房を構えて
制作していたのでしょう。

僕のイメージからすると、運慶というプロジェクトリーダー
感覚的にいうとスティーブ・ジョブズのような厳しいリーダーが制作総指揮にあたり
各制作部隊が専任で一体の仏像を作っていたことでしょう。仕事の内容からめちゃくちゃ厳しい人だったと思います。

今回の図録にコラムとして
「仏像の作者は誰か」
という題で 西本政統氏
以下引用
運慶作と認められている仏像を見る際に、注意したいことがある。それは、仏像に限らず美術作品全般に関わる「作者」に対する考え方の違いである。作者のオリジナリティーが現れたものを「作品」と捉える近代的な作者観に基づけば、作品は一人の人間が作ったものと考えられる。しかし、近代以前の美術の場合、とりわけ彫刻では一人の人間が作品を完成させるということはまずない。なの知られた作家であれば工房を構えるのが普通であり、小品ならともかく大作であれば工房で制作するのが一般的だろう。(運慶展 図録引用)

と記しているように学術的にも仏像における工房体制が研究されています。
運慶というカリスマのもと、多くの職工の中に漆職人の部隊も活躍しており、日々制作に励んでいた鎌倉時代の息吹が間近で感じられました。
東京国立博物館の「運慶展」オススメです。

展覧会のご案内 「三田村有純漆藝展『金彩漆黒』-新たな地平を見つめて-」

銀座和光
本館6階

2017年3月23日(木) ~ 2017年3月29日(水)
最終日は17:00まで

「これまでは〝ものつくり”としての助走期間だったと捉えています。常に変化し続けてきましたが、ここからさらに大きく変化して、新たな〝ものつくり”をスタートさせたいのです」と漆芸家三田村家の三代目であり、江戸蒔絵赤塚派の十代目でもある三田村有純氏。2016年の日展で内閣総理大臣賞を受賞、さらに2017年3月末に東京藝術大学の教授を退任されます。
「ものつくりという言葉には、ものを作るだけではなく、新しい文化をつくっていきたいという願いを込めています。私は、藝術こそが人に生きる力を与え、藝術こそが世の中を強くしていくと考えているのです」。
そんな三田村氏の新たな試みの一つとして、漆と木と和紙でできた空間「MA=間」が会場に設置されます。「ぜひ、中に入ってみてください。きっと、日本で暮らしてきた私たちのDNAに息づく〝何か”が呼び醒まされるはずです」。
ほかに、20代から60代までの各年代ごとに3点ずつ、自らが選ばれた立体作品も展示されます。「いずれも、ある時代の〝あるもの”を抽出した作品です。今振り返ると、時代の予兆を感じさせるものも。あらゆるものに興味があり、表現したいものは絶え間なく湧き上がってきます。この先も、歴史に学び、未来を創っていきたい」。
春の和光ホールで、今後の日本の姿を予見できる作品との邂逅が、待っているかもしれません。

◎会場にて、三田村有純氏によるギャラリートークを予定しております。
3月25日(土) 14:00~

(以上 和光ホームページより引用)