カテゴリー別アーカイブ: 漆に生きる日々 京都編

11月13日は「漆の日」

11月13日は「漆の日」です。
由来は上記のツイートが詳しいです。
全国の大学や、教育機関はこの日の前後に
「漆祭り」とか「ろくろ祭り」を行い、日々の制作に感謝します。

起源である法輪寺は工房にとても近く車で約10分ほど
嵐山の渡月橋を渡ったすぐにあります。
こちらのお寺、ロケーションが素晴らしく、階段を上がって本尊にたどり着くと、
少し高い場所から京都を北から一望できます。紅葉シーズンにどうぞ!

法輪寺では11月の13日午前11時から
お経があげられ、その後、狂言が行われます。
漆関係者が全国から集まる日です。

昨年買ったお札と技芸上達お守りをお返しして
今年の新しいものを手に入れました。
漆の神様今年も一年よろしくお願いします!

「漆では食えない」なんて嘘だ

僕も実際に「漆では食えない」と何度も言われてきました。
それはもう言葉の蓄積が断層となって見上げるほどに。
でも、僕はそれを全く信じていませんでした。
なぜそれを信じなかったかというと、
「食えないのには理由があって、それを変えればいいだけ」という、
ある種楽観的な感情を抱いていたからです。
現状を把握しつつも、腐らず自分をアップデートしてやれば、
環境を変えられると知っていたのです。

もう一つ
よく言われる「売れる作品はよくない」
若いうちによく聞くワードですが、
これも、前向きな言葉ではありません。
冷静に考えるとわかるけど、
売れる作品と売れない作品だと、優れている部分は売れている作品の方が多い。ことが多い。
「ことが多い」というのは、ネームバリューとか、作品本来の質以上の要素が加算されるから。
実際のところ、加算される価値を作り上げているのだから、その部分で作品の質と説明することもできます。

つまり、売れるのも売れないのも理由があって
「売れてる作品」を否定するのは、変な前提を自分に刷り込んでいるようなものです。


最近特に思うのは
変な前提を一切捨てて、腐らず作り続けることが重要だということ。
制作は信念の具現化です。
その信念が強ければ、必ず誰かと共有できるものだと信じています。

海外メディアに紹介されたのでご報告

アメリカのサイトに紹介されました。
こちらのサイトは最近できたばかりの新しいニュースサイトで
主にアート関連をまとめているようです。
僕のところには、メールで依頼、インタビューが来ました。
こちらの意図がどれくらい伝わるかわからないけど、見やすいサイトにまとめてもらえてよかったです。

https://cuppawow.com/asai-yasuhiro-lacquerware/

次はフェイスブックのニュースサイト
こちらは動画を編集して紹介してくれています。

こちらのサイトはフェイスブックのファンが多くて、
紹介されてからページの観覧者が一気に増えました。
すごい。。

ただ、動画なだけあって、やりとりがすごく忙しくて
「もっとこういう動画素材をくれ!」
「いや、一年くらいかけて制作しているのだから、そんなに簡単に撮影できない!」
「ならもっと、簡単でいいから」
「少なくとも半年は待ってくれ」
みたいなやりとりを、ずっと繰り返していました。
結局、今ある動画に、作品画像を取り込んでくれて
コンパクトにまとめてくれました。
感謝です。


ここ最近はアートエキスポマレーシア出品や、
今回のようなメディア露出など、海外へのアプローチが増えたことはとても嬉しく思います。
「そもそも漆とは・蒔絵とは」という説明ができる機会をどんどん増やしてゆきたいです。
特異な素材を用いている以上、やっぱりそれを説明する責任もあるのだな、と感じた最近の出来事でした。

よかったら紹介してくれたサイトをのぞいて見てください!!

京都漆芸研究室に興味がある人にお願いしたいこと。

今月から募集を開始した「京都漆芸研究室」
少しずつお問い合わせなどいただいております。
ありがとうございます!ぜひ応募してください。

お伝えしたいことが、一つあります。
一次審査での書類ですが、
くれぐれも力まないでください。
例えば、
履歴書は手書きでなければならない
ポートフォリオはきっちりしたファイリングを行なって。。。。
などなど
(もちろん手書きは嬉しいです)

みなさんが今、卒制シーズンなのわかってます。
だから適当なものを送ってください。
作り込みよりスピードの方が大切です。
まず、履歴書はウェブからテンプレート見つけてパソコンで入力してほしい。
そして写真はスーツじゃなくていいです。適当な写メを貼ってください。
ポートフォリオもしっかりしたライティングとかバックでなくてもいいです。
写メで撮ってくれたらいいです。
内容はそれでわかります。

なぜかというと、僕は一緒に働きたいと思える人、一緒に成長したいと思える人を探しています。
よそ行きの服装より、いつものあなたに興味があります。
履歴書も字の綺麗さより、フットワークの軽さが好きです。
アートは長期戦です、だから決められた時間のうちにどこまで遠くに行けるかという部分に焦点を当てています。


二次審査の簡単な実技の焦点はただ一つ。
集中力の維持です。
デッサンがうまいとか、卓越した技術力など、今の時点で全く気になりません。
僕の作品は一点に膨大な時間がかかります。
単純作業の連続です。
作業内容は数ヶ月貝を貼り続ける。とか、パーツを作り続ける。という内容です。
思っているよりクリエイティブじゃないです。
一日8時間、週に5日どれだけ集中力が保てるか。それを知りたいのです。

結局のところ、どれくらい漆が好きか
それが一番重要です。
僕たちは漆で世界の美術界に挑戦しようとしています。
で、それは可能です。
漆で新しい世界を切り開きませんか。
新しい漆の可能性に飛び乗ってください。

発信源はここ京都です。
気軽にお問い合わせください。

小物制作、すべき?やめるべき?

今年になって周りに「小物制作やめます」と宣言しています。
何を小物というか、この辺りは難しくて
単なるサイズ感ではなく、アイテムとしての性質でいうならば
茶器などは、サイズこそ小さいけど、中サイズの作品となります。
逆に、お椀とか棗より大きくても、感覚としては小さい作品という位置付けで制作してきたように思います。

で近いうちにそれをやめにしようと思っていたのです。
もっと大きい作品、例えば箱物とか、オブジェに挑戦したいという気持ちがあったのです。
ただ、直近で制作しているものは茶器や酒器が多くて、
「この木地がなくなったらいよいよ小物制作も終了だな」と考えていたけど、
いざ、このストック木地がなくなると制作が止まってしまうのでは?という恐怖に襲われている自分もいます。

というのも、半年間かけて棗を一点作るというような制作になってきており
(一日8時間かかりきりで)
工房スタッフは増えたけど、点数だけで見ると制作数は全く増えていない状況です。
「そのクオリティで大きな作品を作る」と言っているのでから
実際問題フル稼働状態でもパンクしているのです。

これから世界で戦ってゆくために
小物制作は、すべきなのか、やめるべきなのか。

結果的に作りたいものがたくさん浮かんでるので
作る

京都漆芸研究室ってこんなところ

先日ブログにて情報をアップしました
「京都漆芸研究室」過去記事はこちら

現在、浅井康宏の制作工房と漆教室を運営しています。
外見はこんな感じです。

写真では下の部分が二台分のガレージになっていますが、一箇所を改築して
漆芸研究室を作ろうと思っています。
建物自体は昨年の3月に完成した新しい漆専門の建物になっていて
三部屋ある作業室にはそれぞれ乾燥風呂を備えています。

さて、実際の研究内容ですが
実践的な作業が主です。
専門の学習期間を終えた人が対象なので
この場でプロレベルになってもらうことが目的です。
そのためにできることは、プロのレベルで作業をすることしかありません。
なので、受け身で学びたい人と、曖昧な意識で漆に向き合ってる人は、今回の研究室募集には向きません。


僕は、京都の地で漆芸の産業としての可能性を感じています。
もっと言えば、日本全体、世界中で漆芸の需要規模の数パーセントも作り出せていないように思っています。
1年に二人でも確実な技術を持って漆芸に関われる人材を育てることができれば、
数年後には漆芸分野の視野は今と比べ物にならない場所を見つめることができます。
卒業後優秀な人には、工房に就職してもらいたいし、外注でどんどん仕事に参加してほしいです。

もし少しでも関心のある方がいらっしゃいましたらご連絡ください。
工房見学も受け付けております。

お問い合わせ
メール studio_zipangu.y@ksj.biglobe.ne.jp
電話 075-468-9487
(電話対応 平日10:00〜18:00 火曜日のみ14:00〜18:00)

616-8157
京都市右京区太秦御所ノ内町26-1

見学も随時受け付けます、お気軽にメールください。

京都漆芸研究室 研究生募集要項 一次募集

来年度より開始します漆芸研究機関「京都漆芸研究室」の研究生募集のご案内です。

趣旨
京都において実践的な漆芸技術をプロの水準まで上げ、漆芸で自立することのできる人材育成を目指します。
また、卒業後当工房への就職など、長期的に漆芸に取り組むことのできる環境を作るため京都漆芸研究室を主催します。

条件
1、専門学校、研究所または大学において漆芸の基礎を学んでいること。
2、京都市右京区太秦の研究室に週3日以上通うことができること。

研究内容
1、漆芸の下地作業(乾漆制作・木地の塗)
2、蒔絵
3、螺鈿

研究期間
2年間

研究開始
2019年4月

募集人数
2名

道具
工房制作に用いる消耗品、材料は全て支給する。

成果物買取について
当研究室では、工房制作課題の成果物の買取を行います。
サイズやデザインにより買取価格は変化します。(産地における一般的な作業費を基準とする)
基準になる価格は以下

箱の塗 12万円
香合の塗 4万円
お椀・酒器の塗 8千円
小物の加飾 25万円

選考
一次試験 ポートフォリオ提出 履歴書提出
二次試験 簡易な実技 面接

一次募集期間
一次試験提出締め切り10月30日

面接、実技の日程は書類精査後に連絡致します。

お問い合わせ
メール studio_zipangu.y@ksj.biglobe.ne.jp
電話 075-468-9487
(電話対応 平日10:00〜18:00 火曜日のみ14:00〜18:00)

616-8157
京都市右京区太秦御所ノ内町26-1

見学も随時受け付けます、お気軽にメールください。

自尊心を失わないために、あなたができること

僕が長期的に漆工芸の世界で活動することができた理由の一つに
自尊心を失わなかったことがあります。
自尊心とは

自尊心(じそんしん)とは、心理学的には自己に対して一般化された肯定的な態度である[注 1]。英語のままセルフ・エスティーム(英: self-esteem)とも呼ばれる。
ここでは社会心理学における自己の概念に関して、育み維持される自己評価や、あるいは「ありのままの自己を尊重し受け入れる」態度とする。

(引用:wikipedia)

簡単にいうと、自分を肯定する力だと思います。
よく言う「根拠のない自信」もすなわち自尊心でしょう。
美術に限らず、自尊心を持って生きてゆくことは、仕事においても、生活全般においても大切です。
ところが、保ち続けるのが難しいものなのかもしれません。
かもしれないと言うのは、僕自身が、過度に自尊心を失いにくい性格だからです。
漆において、自分が「この仕事をやっていくのは難しいかもしれない」と思ったことは一度もなくて、
「必ず成功する」と言う確信は高校生の時に抱いた感情と一切変化していません。
まさに根拠のない自信です。

しかし、フリーランスで活動している人や
これからフリーランスを目指している人には、将来への不安を抱えている人
なかなかスタートがきれない人が多いように思います。
確かに不安定な立場に身を置くのは勇気がいるかもしれません。
なぜかと言うと、自尊心は得ることより失うことの方が簡単だからです。
例えば、
貧困や失敗によって自尊心は失われます。
やたら貧乏で食べるものにも困っている状況で
「自分は必ずできる!」って言うのは難しいのかもしれない。
何度挑戦してそれが失敗している最中に
「俺って天才じゃん」て思いにくい。

周りの目を気にしたら、結構恥ずかしい状況において
ポジティブな自分でい続けるのは、ハードル高いですよね。
ただ、はっきり言って周りの人間は自分が思っているより、誰かのことを気にしたりしない。
ユニクロを着て安いご飯食べてることなんてどうでもいいことです。
貧乏でも頑張ってたら誰かがご飯食べさせてくれるし。色々助けてもらえます。そう、自尊心さえ失わなければ。

とは言っても、自尊心ってただ存在しているものでも、保たれるものでもなく
努力という栄養で育ち、保たれるものです。
「根拠のない」と言っていても、そこには根拠があります。
毎日の努力と、積み重ねてきた時間が自尊心における自分ができる唯一の再現性です。

成果を出せるまでには自尊心が必要で、自尊心は努力によって保たれ、育てられる。
うまくいかない時はあるけど、それでもまた明日、嬉々として休まず仕事するのが大切。これからもずっとそう。

初心は忘れてしまうもの

初心を忘れないでいたいものだけど、
それってとても難しい。
僕自身、高校生の時みたいな好奇心に満ちた毎日で漆に向き合うことはできません。
だから作品一つ一つに新しい挑戦を埋め込んで、チャレンジし続けているのだと思います。

僕は工房制作を加速させています。
つまり、数人で一つの作品を作っています。
工房制作については、いろいろな意見があって
「一人のアーティストが全て作らないなんて!」と思われるかもしれないけど、
どんな個人作家だって、キャンバスの布織りから始める人はいないわけで、
アナログな伝統工芸の世界で、作品のクオリティを上げるために多人数で取り組むというのは
今後さら必要になってくるように思います。

話が逸れたけど、工房制作をしていると
いろいろな悩みが生じてきます。
お金の悩み人間関係の悩みに終始しますが、
お金の悩みよりは人間関係の悩みの方が、後を引きます。
人間はどんな環境だって、慣れが生じ、初心を忘れ
その環境にどっぷりと浸かってゆきます。
それがいい場合もあるけど、大抵は怠惰になったり
いらないミスをしたりします。

僕がそうでした。
憧れ尽くして弟子入りしたけど、初心を保つことの難しさと戦い続けた修行期間でした。
結局、体調を悪くしてしまったのは、気持ちの整理をできないまま走り続けたからです。

先日、村上隆さんのトークイベントを聴きに行きました。
村上さんのキャリアの説明と、多人数制作の説明。それと、日本における現代美術市場への諦めという内容でした。
村上さんのスタジオは多くの部門があり総勢250人前後のスタッフを抱えています。
著書を読むと、初期は給料もなく、スタッフが突然いなくなったりするような厳しい環境だったようです。
今でもきっと新しい人が夢を持ってスタジオに入っては、いろいろな理由から去って行っていることでしょう。

どんなに強く思い描いても継続して努力をしてゆくことは難しいのです。
欲が出て、怠惰になり、現状に不満を感じます。
その中で努力し続けることができる、ほんの一握りの人だけしか生き残れません。
初心なんか忘れてもいいけど、努力を忘れてしまって、続けられる世界じゃない。
美術の世界は時に輝いて見えるけど、中の人は生身の人間で
毎日、地を這うような活動をしています。
京都の活動も一年が過ぎて、また新しい葛藤の中で作っています。

チームで作るという壁に毎日挑んでいる今日この頃。

友人5人の平均が自分である

本を読んでいるとたまに出てくる
「身近な五人の友人の年収の平均が自分の年収である」
これ、おおかた当てはまっているのではないでしょうか。
ここではお金のことをいっていますが、他にも考え方や、言葉遣いなど
細かなことも、自分の友人5人の平均のように思えます。

実のところ、この仮説は理にかなっていて
自分の居場所によって周辺の人間関係って変化してゆきます。
例えば、学生時代は毎日、牛丼を友達と食べに行ってたのに
今ではあまり食べなくなった。とか
趣味や嗜好なども、タバコ吸う人の周りは喫煙率高いし
お酒の趣味や音楽の趣味もふんわりと固まっていたりします。

なぜそういうことが起こるのかというと
単純に似た者同士が集まるという理由や、経済状況による趣味や
住んでいる場所などが関係しているのでしょう。

ということは、自分よりお金持ちの友達が周辺に5人いれば
自分の年収も上がってゆくはずです。
単純にその通りで、手の込んだ料理やエンターテイメントに触れる機会が増えれば
それだけ発想が豊かになるし、
何より自分の限界値が上昇してゆきます。

無理することはないけど、
環境を変えたいと思ったら自分の周りの人間関係を見直してみることは大切です。
実感として
愚痴の多い作家の飲み会に行かなくなったら随分と楽になったし、
そのうち夢に満ち溢れた作家としか話が合わなくなりました。
自分の周りの人間関係を含め
現在の状況は、ある意味自分が選び取ったいつかの未来だから、
環境を変えることも、自分が変わることもできるんですよね。