専門分野に特化するメリット

浅井康宏自己紹介はこちら
作品紹介はこちら


専門分野に特化してよかったことがあるので、理由を紹介します。
まず、

「僕の専門は漆です」

こう聞いて何を思い浮かべますか?
漆器、蒔絵、お皿、お椀。などなど
では、こう言うとどうでしょう。

「蒔絵で箱を作っています」
蒔絵という技法をご存知なら、
蒔絵というキーワード
箱というキーワードを重ねて
玉手箱みたいなイメージを持っていただけるのではないでしょうか。
日本においては、
だいたいこれで言葉から仕事内容がイメージしてもらいやすいですね。


他の職業だとどうでしょう。
「デザインをしています」
これでイメージできるのは
プロダクト、ウェブデザイン、キャラクター、など

「私の仕事はロゴデザインです」
このように、デザインでもロゴ限定とするとわかり安いですよね。


実は、最近専門的な仕事においても
もっと特化したアプローチが現代において必要になります。
これはインターネットのおかげで、ニッチ市場が埋もれないということと、
何より「なんでもできること」に価値がなくなってきているからです。

つまり、
「色々なデザインができます」
というのは「ただの便利屋」=「安い仕事」になってしまいました。
ネット上で検索するとき「なんでもできるデザイナー」は検索しません。
今自分が必要としている分野に特化した検索をするはずです。

例えば、表札を考えているなら
表札+デザインという具合に。


漆の場合も
「漆」だけでは、はっきり言って何のことかわかりません。
僕が名乗っている「漆芸作家」というのも、微妙だと最近は感じています。
(良い職業名のアイデアがあったら是非教えてください!)

そして、大切なことは名称以上に、活動自体も特化する必要性です。

実は、自分が思っているよりずっと狭い範囲で特化して初めて誰かに認知されます

例えば、僕の活動で言うと
お椀などの食器を発表することはありません。
茶道具も作らなくなります。

「蒔絵の一点もの美術作品のみを作る活動を行います。」
ここまで言って、やっと活動が認知されたと思っています。


活動の焦点を絞るというのは、実は勇気がいります。
「今流行っている、金継ぎの需要を捨てていいのか?」
「漆の子供椀とかあったらいいよな」
というように、やってみたいことや未来のお客様を捨てることにもなります。

でも、
実際は、枝葉を伸ばすより
一点集中したほうがいいんです。従業員が何人もいたらいいけど
一人とか、少人数で活動する場合、大企業と同じことはできません。

強力な1つの武器を握りしめて
世界にアプローチするほうが、八方美人な何でも屋より勝率が上がります。

専門分野なら「この分野のプロ」に仕事頼みたいですからね。