比叡山延暦寺に行ってきた その2

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戒壇院、1678年建造のものが残っています。
現状は紫外線によって、塗装が傷んでいます。

扉や窓などの重要な箇所は漆塗りであったことがわかります。
この土っぽい色は、もともと黒い漆でした。
艶の無い赤色は、朱漆から漆成分が飛んだ状態です。

漆は紫外線によって分解されるので、
長い年月屋外にあるとこのような状態になります。

まずは寄りで見てみると、下地が施されていたことがわかります。
地の粉の粒子が見えます。

全体はこんな感じで、黒い漆だったことはもうわかりませんね。

赤い部分に漆の形跡が見られます。

枠の隅に、いくつかムラが見えます
これは漆を塗った際にできる「ちぢみ」の跡です。
漆は塗りが厚いと表面だけ乾いて、内側が膿んだ状態に乾く場合があります。
この枠も漆が溜まって乾いてしまい「ちぢみ」が出たのでしょう。

長い年月紫外線にさらされて、顔料だけが残ったのですが、
「ちぢみ」の痕跡を見ることができて、漆芸作家としては心踊りました。

寺社仏閣にお参りした際は、建築物や宝物の素材にも注目してみてください。
色々な発見があって面白いですよ。