漆の価値を伝える時にしてしまった大きな間違い

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漆の良さを伝えるために僕は過去いくつか間違ったことをしてきました。

それは、「漆っていうのは、制作が大変で、だから価格が高いのです」というメッセージ。
これは本当のことなんだけど、
「手間暇かかってたいへん」=「高価」というのは作り手の都合であって、お客様になんの関係もないんです。
高いものを買ってもらうために説明しなければ!という気持ちがあってそれが見事に空回りした例です。

改善点
改善点は2つあります。
1、前提を変えること。
漆の価値がわかっている人に、苦労話をする必要はありませんでした。
なぜなら、漆に関心を持ってくれる人は100%美しい生活や生き方を実践していたり、その重要性を感じている人です。
苦労話より、夢のある話をしたほうがいい。

2、新規開拓をしない。
これはとても重要です。
「今まで漆に触れたことのない人に漆の良さをわかってもらいたい」という気持ちは無くなりました。
考えてみてください。
街中で「ヘビメタ好きになってくれ!」とストリートライブでヘビーメタル演奏したらどうなるでしょう。
ヘビメタ好きな人はいいかもしれないけど、大多数のヘビーメタルに興味ない人は、関心を示さないし、
騒音になりますよね。




残念ながら漆は全ての人を幸せにできる素材ではありませんでした。
高級だし、簡単に使い捨てられるものでもなく、使う人を選びます。
愛情が深いだけに、多くの人に知ってもらいたかったけど、
路上ライブみたいに、大多数の人に向けて歌ってはダメだったのです。
必要なのは、最高の音質を楽しんでもらえるステージを作り、そこに聞きに来てくれた人だけを幸せにすることでした。

だけど、
子供向けのワークショップとか講演は断ったことがありません。
大多数の人に向けての活動ですが、「子供の時から本物を」と考えているので、
漆のことを好きになってくれなくても全力で話したり、ワークショップします。
きっとそれは、「高い」とか、「使いにくい」というイメージがない彼らに
「漆って綺麗だよね!!!」って心から伝えたいからです。
頭の固い大人に「漆って良いんですよ」って言っても「もっと安かったらねえ」「一般向けに安く作るべき」など、説教されますからね。


ただ、子供がピュアかと言ったらそうではなく
「この作品は何万円ですか〜?」というのがよくある質問です。笑

「○○○万円だよ」
「すげーーーーーーーー!」
と言わせたら僕の勝ち。