「なんでも鑑定団」新発見!曜変天目の続報

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外部サイトギャラリージャパンでも作品がご覧になれます https://galleryjapan.com/locale/ja_JP/artist/9325/


以前記事にした
なんでも鑑定団に現れた
曜変天目について

(過去記事はこちら↓)
https://asai-urushi.com/wp/なんでも鑑定団で国宝級が出た!?/

放送当時から
ネットで「偽物」疑惑が持ち上がっておりましたが
その勢いがいよいよ加速しているようです。

まず、中国陶磁専門家である
大阪市立東洋陶磁美術館の小林仁先生が異を唱えると
まとめサイトがいくつも立ち上がるような騒ぎに

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さらには制作面でも
長年曜変天目の謎に迫っている陶芸家・九代目長江惣吉氏
が参戦。

「番組を見ていて思わず絶句しました。どう見ても中国の商店街で売っているまがい物にしか見えなかった」

曜変天目の美しさに魅了された長江氏は、製造方法が未だ解明されていない「幻の陶器」の完全再現に親子二代にわたって挑んでいる。これまで長江氏は中国に28回赴き、現地研究者との交流を重ねてきた。昨年、NHKがその活動を番組で特集したほどの「曜変天目のプロ」である。

その長江氏が鑑定品を「偽物」と判断する最大の根拠は「光彩」だ。

曜変天目茶碗は、鉄分などを原料とする釉薬をかけて焼かれる。最大の特徴は、前述したように茶碗の内側に広がる鮮やかな光彩であり、光と見る角度によって輝き方がガラリと変わる。

徳川家康など時の権力者にも愛でられたとされる逸品だが、今回鑑定された茶碗には「肝心の輝きがない」と長江氏は指摘する。

(NEWSポストセブンより転載 http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20170123-00000007-pseven-ent&p=1



さらに
長江氏は動画でも解説

こうして学識面、技術面から疑いをかけられることになったわけです。
長江氏のいう「光彩がない」という視覚面での主張だが、実際に見てみると。。。
国宝の曜変天目の碗

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そして、これが新発見の「なんでも鑑定団曜変天目」
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確かに、白黒写真かと思えるほど
「光彩」はありませんね。


さらに、所有者がいる
徳島県が文化財指定を検討し所有者に外部への情報提供をもとめたところ
それを拒んでいるという。
(本格的に調査・分析しましょうよ)

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「なんでも鑑定団」の歴史の中でも
これだけ問題視されている作品はなかったのではないでしょうか。
これだけネットや世間が騒然となる理由は多分二つ。

まず、本物と新発見の作品があまりにも違っていること。
放送を見ていませんが、ネットで見る画像では
「これはちょっと。。。」という印象を持ってしまいます。
陶芸家ではないですが物作りの目線から見ると
曜変部分が窯の熱でできた自然な反応というより
前もって筆で仕掛けを作っておいた、釉薬の反応に見えます。
つまり作為的な曜変ぽさがある。

さらに、これが一番話題になった理由ですが
相手が悪すぎます。
「曜変天目」と言えば
陶芸史の中でも幻のスーパースターなのです。
例えるならば、

圧倒的な知名度と人気を誇るのに作品数が極めて少ない作家
例えば、ダ・ヴィンチや
フェルメールの作品が
「世界に〇〇枚しかないダ・ヴィンチの作品が農家の納屋から新発見された!」
というようなものなのです。

美術史は時代が移ることによって評価が定まってくる作家がいる一方で
高評価され続けて現代に至る作家、または作品があります。
国宝の曜変天目に関しては後者で、来歴はかなりはっきりしており
常にスターであり続けています。

なので新発見!には胸が踊ると同時に
「やっちゃったな。。」という感情も同時に起こります。


現存の曜変天目が歴史的な名品であることは変わりません。
もしその線状にある作品が発見されたのならば
しっかりと検証される必要があります。
それが、どのような経緯で発見されたにしても。。