アカウント数だけの「噂話」の洪水

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最近特にネットでもテレビでもネガティブなニュースばかりですね。
そのネガティブなニュースに対する対応や反応がさらに拡散されていって、
収集つかなくなっているように思います。

多分これは人間に備わった本能の部分が刺激されているからだと思うんんです。
サピエンス全史という、面白い本があって
冒頭部分から僕たちホモ・サピエンスがどのように世界に分布し
他の人類種を絶滅に追いやったのかまたは緩やかに絶滅したのかを記しています。

人類種は今1つしかいませんが、進化の過程でいくつかの種に派生していて、
ホモ・サピエンスだけが生き残っていますが、他の人類種、例えばねアンデールタール人などが
ホモ・サピエンスに対して劣っていたかというとそうではなかったようなのです。細かい話は本を読んでもらえればと思います。

僕たちホモ・サピエンスの強みは「群の力を最大化させられる能力」
つまり1つの目標に向かって巨大なチームを形成することによって、
力の強いものを倒す力が他の人類種より強かったようです。


その力をこの本では「噂話の力」と表現しています。
つまり周囲と共通の情報を持ってそれを前提に活動することにより力を最大化させるのですが、
現代に当てはめてみても、老若男女みんな噂話が好きですよね。
これはきっと僕たちが持っている本能に近いからです。

そして、その噂話の内容はポジティブなものよりネガティブな方が拡散力があるのもわかります。
そもそも防衛本能としての情報共有という機能だと思うので、
ポジティブな話題よりネガティブな話題の方が脳に残りやすくて拡散したくなるのです。

ネット時代となって情報が簡単に得られるようになっても
根本的な人間の欲求は変わっていなくて、
情報が欲しくてたまらないのです。それもネガティブな情報が。

ネガティブな情報に対してネガティブな感情をかぶせて発言してしまうのも同じことだと思います。
例えば「〇〇の不倫は悪い!」という情報に対して「〇〇の不倫は悪い!と言っている暇な人は悪い!」という言動をネット上で見かけますが、
どちらもやはりネガティブな情報に反応してしまって、お互い違う持論での話でも「反応」と「拡散」していることには変わりはありません。

結局のところ、僕たちの本質的な部分は進化してない本能に占領されています。
それを否定することはできないけど、その本能を理解した上でどのような情報を集め、誰に何をいうかは選べます。

アカウントの数だけの「噂話」の洪水にさらされている現代の僕たちの本能を飼いならすには
幸福な現実の感度の目盛を上げることしかないのかなと思います。

家族と話すとか、
週末にハーゲンダッツを食べるとか。