ビジュアルとコンセプト

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今回参加させてもらっている「美の予感」展ですが、
参加作家はみなさん同世代の作家です。
ギャラリートークや懇親会などでたくさん話すと、
つくづく「みんなすごいな!」と思うことが多かったです。

とにかく、30代半ばまで作家として生き抜いているので、
表現はもちろん、コンセプトががっちり構築されているという印象を強く持ったのです。
で、その部分って伝統工芸には弱い部分なのです。
僕のように伝統工芸の世界で生きていると、どうしても誰かに自分の仕事を伝える時に
「技術」と「材料」の話になってしまいます。
いや、それに終始してしまうことがほとんど。
もちろん愛情が強いだけに、そうやって伝えたいし、
受け取る人もその部分に重きを置いてくれていると思うのです。

ただ、もう少し広く「表現内容」や「コンセプト」と言った、美術寄りの話ももう少し話す必要があると感じました。
伝統工芸だからコンセプトが弱いというわけではなく、
話のウェイトが「技術」と「材料」に寄っているだけで
伝えたい、表現したい「コンセプト」もあります。

僕の理想とする表現の形は
圧倒的なビジュアルの中にコンセプトが内在する作品です。
コンセプトはある。だけど、それを前面に押し出す必要はないくらいの圧倒的な美を蒔絵で表現したいんです。
2017年最初に刊行した図録には作品のコンセプトを記したつもりです。
作品をきっかけにその中にある作者の想いも届けられたら良いなと思います。

今回の展覧会に参加したことにより、
もっと自分にとって、そして見てくれる人にどのように僕が作品を通して伝えたいことを
全身で表現することを学びました。