今こそ漆採取方法に改革を

漆の採取方法をご存知でしょうか?
「そもそも漆ってなによ?」という方もいるかも知れないので簡単に説明します。
漆とは漆の木(そのままですね!)から採取される樹液のことです。
その樹液を使って作られた作品が漆器です。



樹液の採取方法は漆掻きと言われていて
その名の通り掻きとる方法がとられています。
伝統技法であり専門の道具を使った採取には
熟練した技術が必要と言われています。

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このように漆の幹に傷をつけて

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にじみ出てきた漆の樹液を一滴一滴集めます。

六月から始まる漆掻きシーズンは秋まで続き
そのシーズンで樹液を取り尽くし
伐採してしまいます。
採取量は200gが平均と言われています。

ちなみに、、、植栽から採取できるまでの木に育てるために10年以上かかります。。

僕は
10年かけて200gの樹液を集めるというのはとても非効率な気がします。

確かに、漆掻きという文化と技術はとても大切です。
東南アジアには漆が分布していますが、各国で採取方法が違います。
純粋な樹液の採取に特化した日本の漆掻きにもメリットがあります。
しかし、コストがかかりすぎている上に、樹木のパフォーマンスが最大化されていると思えなくなってきました。
これは12年間漆を育ててきて、採取にたどり着いた僕の気持ちです。

もっと漆の木を大切にしながら、漆の樹液を集める方法はあるはずです。

例えは悪いですが、今の現状は牛乳を手絞りに頼って集めているようなものです。
しかも育ててきた乳牛をワンシーズンで処分しているようなものではないでしょうか。

漆の採取技術としての伝統の漆掻きは大切ですが
後継者不足の今、技術開発の方向性も探ってゆかなければならない時期に来ているのではないでしょうか。

政府の方針で今後文化財修復における国産漆の使用が義務化されて
今まで見向きもされなかった国産漆が突如として注目を集めています。
国産漆バブルとでもいう状況で、漆が足りないという事態になっています。
しかし、需要に追いつくためにたくさん漆を採取していると
木が足りなくなります、採取までに10年かかるのですから
これは明らかでしょう。

明日に続きます。

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