伝統工芸の後継者問題を解決するための方法

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こんにちは漆芸作家の浅井康宏です。
今日は先日いただいた質問箱の回答について書こうと思います。

伝統工芸の課題って「後継者問題」につきると思っているのですが、
この根本にはどんな原因があるのでしょうか。

僕は「原因は二つしかないよね」と思っていて、
それを解決するのが難しいんだ!と言われると、まあそうなのですが今すぐにでもできることもあるので深掘りしてみようと思います。

上のツイートが質問箱と回答となります。
まず、
「食える」ことは前提となるのかなと思います。
伝統工芸ってもともとは産業だったんだけど、需要が減って守らなければならない雰囲気の絶滅危惧種となっています。
もともと漆器は食器産業の一端だったんです。
もともと着物は衣類産業の一端だったんです。
だけど、生活様式によって産業の形態が崩れて需要の後退とともに参加者(作り手も購入者両方)が減って今に至ります。

そして「食える」職業ではなくなりました。
つまり伝統工芸をそのまま継続させようとすることは
「昔の産業のかけらを集める」ようなことでとても難しいと思うんです。

iPodがあればCDが不要になるように
スマホがあれば公衆電話が不要になるように

利便性を求める世界観の場合、利便性を失った物はなくなります。
しかし、ここにきてレコードが少し売れているようです。
僕は1983年生まれでレコードには馴染みがないんだけど、古いロックを聞きたいとき
高校生くらいからレコードを集めていました。
便利でもなく、音質も一般的に良いとは言えないだろうレコードを集めていた理由は
「なんとなくクール」「雰囲気がいい」という感情的なものでした。

レコードの例があるように「便利」なだけではない「感情の動き」に僕たちは反応します。
手で作られている工芸作品には必ず「感情の動き」があるので
これからは現代に合わせた便利な工芸より
「便利じゃないけど美しい生活をともにする器」としての漆器が必要とされると思ってます。




そして「食える」ことより大切だと思うこと
「夢がある」ことかなと。
小学生のなりたい職業ランキング上位にはスポーツ選手や最近はYouTuberなどの
他者評価の高い職業や女子生徒だと看護師や保育士など他者のための職業が入っているように思います。

努力や成果がしっかり評価され、誰かの役に立つ。
そのさきに夢があります。

伝統工芸に携わっているとどうしても
工程の話とか、苦労の話になりがちだけど
もっと夢を語ってもいいと思うのです。

守らなければならない絶滅危惧種ではなく
今伝えるべきかっこいい価値観であることは間違いありません。
市場の拡大には時間がかかるけど、
「夢がある」ことを叫ぶのは今からでもできるので、
今後も自分の仕事についての夢を語って行こうと思います。

こちらの回答は
YouTube liveでも話しているので
お時間ありましたらよろしくお願いします。49分あたりです。