作品のボディーあれこれ

今年最初の買い物は
木です
入谷にある檜専門の材木店に買い出しにいきました。
本日宅急便で到着した木がトップ画像です。

漆芸作品を作るときにそれほどまとまったサイズの材が必要になる事はありませんですので、用途に合わせた小さくて質の高い板材や角材を探してゆきます。

材木屋の写真も撮っておけば良かったのですが
ついつい材料探しに夢中になって、撮り忘れました。
さて、材木屋で木を購入する場合
値札が付いておりません。
なので、目星を付けた材料を並べて見積もりを出してもらいます。
材料の価格は縦×横×厚みで計算されます。
しかし、その計算方法はわからないので
びっくりするような価格の材もあります。
慣れてくれば、目検討でおおよその価格が想像できるようになりますが
たまに、木目のいい角材を見積もりをだしてもらうと、びっくりする事もあります。
節があるのもマイナスポイントなので、そういった要素を加味しながら
価格が出されてゆきます。

ずらーっと檜ばかりが並べられているのですが、木目の詰まった最良の材を見つけると、ほんとうに嬉しいです。
派手ではない檜の材木も僕にとっては大トロです。
木工関係の人もそのような体験をしているのではないでしょうか。

さて、漆芸作品に使われるボディーの材料はとても幅広いです。
少しご紹介します。


木製

お椀のような挽き物木地や
箱もののような指物木地は主に木材で制作されます。
僕の場合、挽き物はケヤキ、指物の場合檜を使います。
木の特性を生かしながら適材を使って作品を作ります。


乾漆

乾漆(かんしつ)展覧会の会場当番の時「乾漆とはなにか」という質問を良く受けます。
乾漆とは漆を接着剤にして布を貼り重ねた漆芸作品のボディーの事を言います。
木材の加工と違って、柔軟な布を使うので、自由な造形が可能です。
古くからある伝統技法で仏像なども乾漆技法で制作されているものがあります。


金胎

金属に漆を塗ったものを金胎と言います。
金属に漆を塗る場合「焼き付け」という方法で漆を強制乾燥させます。
焼き付けにより、非常に強固な塗膜を形成します。


藍胎

これもよくいただく質問です。
藍胎とは竹のヒゴで作ったボディーをいいます。
竹はモノサシになるくらいなので、とても繊維が安定しています。
香川県の漆器で見る事ができる技法です。


陶胎

陶器をボディーにした漆芸作品です。
金継など、漆で陶器を直すくらいなので相性も良いです。
僕はまだ挑戦した事がありません。


縄胎

縄で胎をつくります。乾漆のように型を作っておいて
そこに縄をぐるぐる回してゆきボディーを作ります。


 

以上紹介したように漆はたくさんの素材と相性がよく
特性に応じて多様な制作方法があります。
しかし、1つだけ苦手なものがあります。
それはガラスです。
ガラスに漆を塗ると、食いつきが悪いため
はがれてきます。
現在では、中間で食いつきを良くする素材もあるようですが、
漆とガラスの相性は良いとは言えません。

展覧会に行くと作品タイトルに乾漆や藍胎なども見られますので
ぜひ、その作品がどういう素材でできているのか注目してみてもらえればと思います。