公募展に少し距離を感じた。

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こんにちは漆芸作家の浅井康宏です。
今日は、ちょっと愚痴というか、
「活動をこのままの形で継続して良いのか?」という超個人的な、迷いとか思いみたいなのを日記のように書きます。
ほぼ自分用なので、
「多分興味ないな」と思う方はこの辺りでページを閉じてもらえればと思います。


昨日は漆芸展の初日だったので、
会場に行きました。(1月に書いた記事だけど、結局公開しようか、やめようか迷って3/21に公開)
Webページにも受賞作の情報などが出ていないので、
今回が初めて全体を見る機会だったわけです。

正直な印象、
「展覧会の価値観が美術の価値観や市場の価値観と乖離してる」と感じました。
公募展は出品者が減っていることに加えて、売り上げも下がっています。
はっきり言ってこのままでは先細りして継続が難しくなるような気がします。

公募展には、戦後の工芸文化を発展させ、存続させてきた側面があります。

僕自身、伝統工芸展には熱狂的に憧れて続けてきた漆芸活動です。
高校生のとき伝統工芸展を見ていなかったら、今の僕はいません。

だけど、ここにきて
少し「このままでいいのか?」という思いが芽生えてきました。
理由はいくつかあります。



○評価基準が市場と乖離しているのではないか
○制作ペースが漆芸に向かなくなってきている
○作品を動かすことのできない期間が長い
○価格帯の問題

まず、これを書いてしまうと、今後僕は公募展で賞をもらうことができなくなるかもしれないけど、書きます。

○評価基準が市場と乖離しているのではないか
受賞の基準を含めて価値観が独特になりすぎている気がします。
伝統工芸展という長い歴史の中で育まれた形式美とも言えますが、
市場と美術業界との価値観の違いが大きくなりすぎて
公募展の外で活躍できる作家が少なくなってきています。

○制作ペースが漆芸に向かなくなってきている
日本工芸会の公募展は
本展、支部展、部会展合わせると年間3回あります。
つまり4ヶ月に1作品を作るペースです。
これはかなり厳しくて、自分一人で制作していると

休みなく仕事して2ヶ月塗りをして1ヶ月加飾する

上記のようなペースになります。
このペースで歴史的な名作を作るのはかなりきついです。

○作品を動かすことのできない期間が長い
公募展に入選して作品が巡回は結構長くて
半年から一年くらい、巡回してゆきます。
これはとても嬉しいことなのですが、慢性的に作品が足りていないので活動にとって致命的なことが増えてきました。

○価格帯の問題
僕の作品価格は年齢やキャリアを考えるとかなり高額に見えてしまいます。
でも毎作品「売れなければゲームオーバー」みたいな危ない制作をしています。
実際にかなりの自転車操業です。

工芸作品の価格帯は現代アートの市場と比べると
かなり安めの価格ですが、(正確にいうとトッププロの価格が安くて、工数が多いぶん若手の価格が高い)日本を代表する表現として世界に挑戦するためには周りに合わせた価格帯では挑戦や制作の拡大が望めません。


以上のような問題にぶち当たっており、
「キャリアを積み上げて伝統工芸展全体をよくする立場になろう!」と思っていましたが、
作家としての活動スピードと公募展との相性が合わなくなっているように感じました。

じゃあやめればいいのかというと、
心のそこから憧れて挑戦してきた舞台なので、そこまで簡単に去ることができません。

挑戦の舞台を拡大させながら公募展にも挑戦し続ける方法を探してゆきます。

数年後この記事を読み返してどう思っているのでしょうか。
自分でもまだ答えは出ないです。