工房制作

漆の仕事は分業制です。
個人作家が登場したのはわりと最近で
昭和に入ってからだと考えられます。
それまでは、ほとんど例外なく多数の工程を分業でこなしていました。

漆にはたくさんの工程があり
それぞれ熟練の域に達するまで、とても時間がかかります。
ですので、各工程のプロフェッショナルがいて
効率的に物を作ってきました。

昭和に入り公募展に出品する作家が増えてゆきます。
産業としての工芸も時代の流れとともに衰退し
従事する人が減ってゆきます。

1度分業制の循環の輪が切れてしまうと
なかなか元に戻るのは難しいですが、
僕は分業制にとても憧れています。

たくさんの人が工房で漆の作品を作っている
そんな光景きっとすばらしいと思います。
それぞれのプロフェッショナルが、得意な事をして
次の工程へ作品を流して行く中で
それぞれ高い意識で切磋琢磨する事ができたら
とてもすばらしいものができると思います。

一点物を制作しているとできるだけ
自分で最後まで作りたくなってしまいますが
それより、各工程のプロフェッショナルが
1つの作品に技を集結させた方が良いものが仕上がると思うのです。

金銭的な問題や
一点物に特化したプロフェッショナルを育てる難しさなど
課題はたくさんありますが
僕は将来、大きな工房で漆芸制作をするのが夢です。

200人の工房で毎日最高の作品を完成させて
海外に最上級の日本美術を紹介したいです。