工芸作家2.0時代

これから本当に工芸が面白くなって行くと思います。
だって、著名人がこぞって工芸に関心を持ってくれているんですよ。
例えば、現代美術の村上隆さんや
スポーツ界では中田英寿さん。
ブロガーのイケダハヤトさんとか。

長年工芸に携わっていると
「ん?何が起こり始めたの?」
という感覚と同時に
「やっと気づいてくれましたか」という思いもあります。
というのも、ここ7年くらいで工芸を取り巻く環境というのが急速に変わってきてて
少しだけ追い風が吹いています。
これは別に政府や大きな団体の後押しがあるということではなくて、
イケてる人が、イケてる工芸に注目してくれはじめたということ。

で、ここにこれからの工芸を考える上で重要な伏線があると思っていて
まず、今までの権威の中から何か新しいものが生まれるってことは、きっともう無い。
あとは、旧来の工芸のイメージを良い意味で持っていない作家が生まれはじめている。

「公募展の時代は終わった」と何十年も言われていたそうですが、
やっぱり引きずり続けていたんですよ。権威の構造を。
でも、それではどうも行き詰まりだと気がついていたのだけど、
今まで続けてきてしまっていた。
バブルを知らない世代の作家はある意味で
憧れるものは素材と作品だけしかなかったんですよ。

「売れてる作家さんかっこいい」みたいな感覚がないから、
純粋であれたし、
経済的なリスクを負ってでも勝負をしたいと思う、
気骨のある作家しか挑戦しようのない土壌が自然と作り上げられていたのでしょう。

結果的に僕たちの年代の作家には、いい意味で前提がないから
より自由だし、程よくふるいにもかけられているから、
スピード感もあるんだと思います。

これからの工芸は権威によらない
面白い状況になってゆくと思います。
近いうちに、工芸は日本を代表する芸術表現として世界に認めらるでしょう。
その時に「蒔絵」も日本代表のイケてる工芸分野だと認識してもらえるように
日夜努力をしているわけです。

工芸作家という職業の意味合いはここ三年くらいで急激に変わります。
工芸作家2.0はもう始まってますよ。