感情をデザインする

浅井康宏自己紹介はこちら
作品紹介はこちら
外部サイトギャラリージャパンでも作品がご覧になれます https://galleryjapan.com/locale/ja_JP/artist/9325/


こんにちは漆芸作家の浅井康宏です。
今日は漆芸のデザインで心がけていることを書きます。
先日のYouTubeLiveで質問に答えましたが、少し補足してゆこうと思います。

Youtubeではデザインを生み出す方法について
前提として
「アイデアとは既存のアイデアの新しい組み合わせ」であるという前提のもと。

○インプットを増やす
○アウトプットを増やす
○駄作を愛する

という三つのプロセスを紹介しました。

12:40あたりからデザインについて話していますので興味のある人はご覧ください。

もう一歩踏み込んだデザイン

最初の頃は、表面的な美しさこそがデザインの本質と思っていました。
いや、それ以上のものの発想が難しかったし、そんなことがあることにも気づいていませんでした。
だけど何年も図案を考えているうちに
その先にあるものにうっすら気が付き始めました。
それが「感情のデザイン」です。
この問いは「綺麗なものはたくさんあるけど、それと売れているものと売れていないのは別だよな」
ということから発して、その秘密に近づくために考えてゆきました。

「売れるもの」と「売れないもの」の間には
「感情」があって、その感情をデザインできていないと売れません。

つまり人は用途を買っているわけではなくその先にある
自分自身の心の動きに反応しているのです。
考えてみてください。
僕たちは用途以上のものの価値観に動かされて身の回りの物を買い揃えていませんか?
例えば、食器を買うとき
食事をとるための容器だったら紙皿でいいんだけど
料亭で気の利いた器に季節の食材がのせられているとテンションが上がります。

このように本質的な価値以上に僕たちは感情で動いています。



実際に感情をデザインに落とし込むにはどうすればいいのか

方法論を乱暴に書いてしまうと
人間は本能的に反応せざるを得ない視覚効果がいくつかあります。
例えば

○僕たちは本能的に生まれたての生物に弱い
○僕たちは本能的に輝くものに惹かれる
○僕たちは本能的に性のシンボルに反応してしまう

乱暴に誰かの感情を動かそうとするなら
画面に性器を描けば、一定時間誰かの目をクギつけにすることができます。

これに美的な体験を紐づけることができれば
良い悪いは別として感情をデザインしたと言えます。

このように視覚から共有したい感情を考えることによって僕の作品は構成されていたりします。
そして僕の作品のメッセージの根幹には「信念の具現化」というものがあって
それを形にして共有したいと思っています。
表現方法・形態を変えても「浅井作品ぽさ」が共通してあるのは
この「感情のデザイン」があるからだと思います。