漆との出会い

僕は一般的なサラリーマン家庭に生まれました。

祖父は農家で父親はNTT社員です。

よく「代々の蒔絵師さんですか?」と聞かれますが

まったく漆とも美術とも関係のない家庭でした。

漆との出会いは高校生のときです

吉備高原学園高等学校という岡山県の全寮制の高校に入学したのがきっかけです

高校は普通科でしたが、特徴的なコース分けがされており

自分の興味のある分野を選べる仕組みでした。

僕が選んだのは「工芸コース」

他にも「陶芸」や「建築」といった興味がもてそうなコースがあったのですが

「工芸コース」を選びました。

実は、なぜ工芸コースを選んだのか今はよく思い出せません。

陶芸コースはとても人気があったのに対し工芸コースは

僕を含めて同級生の女の子が二人の計3人でした。

今でも覚えているのはコースの部屋に飾られていた

黒い漆に色乾漆粉の鮮やかな蒔絵と螺鈿の青い光

それと図書室に数冊あった漆関係の図録です。

純粋にそして単純に、それをきれいだと思ったことを覚えています。

そのようにしてふんわりと高校一年生の僕は漆に興味を持ち

二年生のときに漆を中心に習える「工芸コース」を選択しました。

そこで人生で最初の恩師に出会います。

恩師の話はまた別の日に書こうと思います。