漆の裾野は広げないほうがいいと思う理由

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漆芸作家の浅井康宏です。
工芸分野はなんとなく衰退産業のようなイメージがあるかもしれません
僕は年々二極化が進んでいるように思います。

どの業界にも言えることだと思いますが、
勝ち始めると資源を投下してより良いモノづくりができる。
結果的にお客様が増えて、さらに勝つ。

逆のパターンではどんどん使える資源と時間がなくなってゆきます。


この負のパターンにはまる第一段階とは何か
それが今回のテーマである「裾野の広げすぎ」だと思っています。

ツイッターでアンケートを取ってみた結果
2020年4月15日現在

1018票のアンケート回答をいただいて
96パーセントの人が
「漆」のことを知っていた
「蒔絵」「螺鈿」を知っていたという結果でした。
僕のことをフォローしてくれている人が中心だからこのような結果になったとも言えますが、
あらかじめ「漆」の知識を持ってくれた上でフォローしてくれているということです。

僕のツイートがきっかけで「漆」のことを知ってくれたのはたったの2パーセントの人。




この結果を現実に落とし込んで「新しく漆を知ってもらう」活動をするということは
96パーセントの興味を持ってくれている人を見ずに新しいお客を探すようなものです。

普通に考えたらすでに知識のある人に向けて
より高いレベルの提案をしたほうがいい場面で
初歩的な提案ばかりしていて、大多数の知っている人への提案がすっぽり抜ける結果になり兼ねません。


新規開拓というのは響きがいいかもしれないけど
けっきょく買い手のレベルを低く見積もっているだけです。

漆の未来を作る方法は
閉じられた扉を開けるのではなく
開いたドアに向かって新しい未来を提案することだと思います。
そう思う結果でした。

アンケートにご協力いただきありがとうございました。