自分の売り物を解像すること

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こんにちは漆芸作家の浅井康宏です。
今日は自分が何を作っているのか、
そして何を売っているのかについて書こうと思います。

プロローグ

あなたの売っているものはなんでしょうか?
あなたの商売はなんですか?

僕は漆芸作家という職業で漆の箱なんかを作っています。
箱の役割はものをしまう蓋付きの容器ですが、
僕の作品の価格は高くて、用途に対して説明ができないように感じます。

今日のテーマでもある「用途の先のもの。物の先にある事」を解像することに触れたいと思います。


先にも述べたとおり僕の作品はいわゆる「漆器」ですが
どうやら用途はそこではないようです。
僕は長年「自分が何を作っているのかわからない」状態でしたが、
少し前に「用途の先にあるもの」に気がつきました。

それは「信念」でした。
僕は作品を通して「信念の具現化」を行っていたのです。

つまり僕の売り物は「物」ではなく「信念」だったのです。
物の価格には上限があります。だけどそこに信念が加わると価値観が変わります。
フェラーリが売っているのは
「早い車」ではなく「生き方」や「スタイル」「ステータス」です。



僕が作っている「信念」
本来形のない物ですが、誰もがそれぞれの「信念」を必ず持っています。

「世界平和を信じる」「平等を愛す」「美しい生き方をする」などなど
このように存在するけど形がないものに、形を与えることが僕たち作家の仕事だと感じるようになりました。

そして「信念」は誰かに同期され、拡張され伝わります。
「伝統」の本質と言ってもいいかもしれません。

上記のように自分の活動の意味合いが
物を作ることから「信念の具現化」へと変わったことによって、
随分と楽になったし、自由になりました。

一歩踏み込んで、自分の職業や商品を
もう一つのフィルターやレンズで解像してやると、
自分はどこまでも自由になれるような気がします。