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「日本はダメだ」という前に

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外部サイトギャラリージャパンでも作品がご覧になれます https://galleryjapan.com/locale/ja_JP/artist/9325/


こんにちは漆芸作家の浅井康宏です。
最近ツイッターではコロナウイルス関連のツイートで溢れています。
いつかこの記事を読み返したとき「ああ、あの頃はコロナで世界中が大変だったな」
と思い返せる日が1日でも早く来て欲しいと思います。

さて、いまの状況を見て
「人間的な感情が短い文書の中に溢れ出しているな」と感じています。
具体的には
いつも怒っている人はいつもより怒っているし
いつも批判的な人はさらに批判的になっている気がします。
美術界でも
日本の美術振興は終わっているという発言をたくさん目にするようになりました。
発端となった記事はこちらだと思います。
https://jazztokyo.org/news/post-50875/
コロナウィルス ー ドイツ文化大臣、文化施設と芸術家に支援を約束
「自己責任のない困窮や困難に対応する」というタイトルで
2020年3月11日に発表されたものの抜粋記事がアップされました。
内容は
コロナウイルスによるイベントや展示などの中止によって
アーティストが大きな経済的打撃を受けている現状に対して

「芸術家と文化施設の方々は、安心していただきたい。私は、文化・クリエィティブ・メディア業界の方々の生活状況や創作環境を十分に顧慮し、皆さんを見殺しにするようなことはいたしません! われわれは皆さんのご不安をしっかり見ておりますし、文化産業とクリエイティブ領域において、財政支援や債務猶予に関する問題が起こるようであれば、個々の必要に対して対応してまいります。」(引用)

具体的な支援としては
記事内で粂川麻里生氏
慶應義塾大学文学部教授、同大学アート・センター副所長の解説で

「数十億ユーロの救済プログラムが芸術・文化・メディアのフリーランス事業者のために立てられる。当面投入される具体的な金額は、今月中には発表する予定だ。」(引用)

と説明されていることから、具体策が3月中にまとめられるのでしょう。

上記の内容がツイッターで話題になった直後に宮田文化庁長官がコロナウィルスによるイベント自粛に伴う芸術家へのメッセージを発表しました。
「文化芸術に関わる全ての皆様へ」と題し

(出典 https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/sonota_oshirase/20032701.html
上記のメッセージが文化庁公式HPで発表されました。

このメッセージには具体的な施策がふくまれていないため、ツイッターのタイムラインは
ドイツ・日本の文化対策の対比が鮮明に現れたことでさらなる炎上を見せる構図となりました。

僕が感じたのはドイツ文化大臣発表の文中

グリュッタース文化相は「文化事業の経済的な重要性」にも言及し、「文化産業は2018年には1055億ユーロ(約12兆6000億円)を生産しており、化学産業、エネルギー産業、金融業よりも大きな業界である」(引用)

という部分です。

つまりドイツでは明確に文化を産業と捉えており、その産業が脅かされる状況を打開するための措置を具体的に行うということ。

あらかじめ言っておくと、僕は何らかの支援を国から受けているわけではないので
「国はもっと美術を奨励しろ!」と怒ってもいいのかもしれないけど、
あまり思いません。

それは
政府に守られながら美術の世界で生きてゆくというのが前提にないからです。
僕たちに今必要な行動とは、文化産業を日本の重要な資産として成り立たせるべく
果敢に作品を流通させ、国内需要を最大化させ外貨を稼ぐことだと思います。

つまり「好きなモノづくり」という範疇から飛び出して
文化産業の担い手としてのプロ意識かなと。
もちろんそこには強烈な美術への愛があります。
僕は伝統工芸の最前線で未来を好転させるための舵を切りたい
だから「日本はダメだ」という前に走り出していたいと思うのです。

土曜日の漆教室生徒さん募集

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土曜日コース・遠方チケットコースに興味がある方は
yasu69689@hotmail.com
教室希望 というタイトルでメールをください。


今年の2月に新設した漆教室土曜日コース
新設ということで、教える側の僕がいっぱいいっぱいになって
教室の内容が薄くなるのが嫌だったので少人数から始めました。

2ヶ月経過して少し落ち着いてきたので
漆に挑戦してみたい生徒さんを1名募集したいと思います。
4月からは基本的に僕と補助講師の2名体制で教えてゆこうと思うので
かなり細かく技術を学んでいただけると思います。

漆には「かぶれ」という皮膚が痒くなる症状が出ます。
だいたい3回ほどかぶれたら免疫ができてその後はかぶれが落ち着いてゆきます。
その辺りを理解いただき、挑戦してくれる人が増えると嬉しいです。


教室では最初に「拭き漆」という木目を生かした塗りからスタートします。
だいたい4回くらいで艶が出てきますので生活に取り入れていただきながら
次の作品に挑戦してもらいます。
2作品目は「蒔絵」を行うことが多くて
下の写真のような蒔絵と螺鈿の作品の完成を目指します。
みてください、最初の蒔絵とは思えないような完成度です。

現在通ってくれてる生徒さんの作品は
拭き漆のお椀の艶にこだわってくれていて10回拭き漆を行い
見事な艶のお椀が完成しそうです。
完成した作品はお母様にプレゼントされるとのことです。

漆教室詳細

土曜日コース

○場所 京都市右京区太秦のStudio Zipangu
○費用 入会金(スタートセット代 ※道具をお持ちの方は不要)
    月謝 16,000円+材料代
○講師 浅井+補助講師
○コース内容 蒔絵・漆コース
○時間 14:00〜16:00
○回数 1ヶ月に4回開講
教室のスタイルとしては、簡易な方法は一切行わない方針です。
本格的な漆芸技法を1から学びたい方、
専門の学校を卒業した後、より深く蒔絵技法を習得し、プロの技術を身に付けたいという方が対象です。

技術、道具共に本格的なものを使ってゆくため、
1作品の制作には時間がかかります。そのあたり考慮に入れて検討いただければと思います。
時間はかかりますが、完成する作品はすごいです。

「一人でも作品を作れる技術を得てもらう」というのが目的なので、
長期にわたって漆を楽しんでゆけると思います。


遠方チケットコース
遠方の方数名の方からメッセージをいただきまし。
「毎週は来れないのですが、漆に挑戦してみたい」というご要望に対して、
月謝をいただくのが申し訳ないと思って、近くの教室をご案内しておりましたが、
遠方チケットという仕組みを作り、遠方の方にも無理なく参加してもらえるように考えました。

◆遠方チケット

半年チケットコース

○価格 19,000円(4回分半年間利用可能)+入会金5000円(スタートセット代)
○場所 京都市右京区太秦のStudio Zipangu
○講師 浅井+補助講師
○コース内容 蒔絵・漆コース
○時間 土曜日14:00〜16:00
    火曜日19:00〜21:00
※授業の1時間前に来ていただいて結構です。合計3時間作業していただけます。
○回数 半年に4回ご都合にあった開講日を選択していただけます。

一年チケットコース

○価格 20,000円(4回分1年間利用可能)+入会金5000円(スタートセット代)
○場所 京都市右京区太秦のStudio Zipangu
○講師 浅井+補助講師
○コース内容 蒔絵・漆コース
○時間 土曜日14:00〜16:00
    火曜日19:00〜21:00
※授業の1時間前に来ていただいて結構です。合計3時間作業していただけます。
○回数 半年に4回ご都合にあった開講日を選択していただけます。

見学も受け付けておりますのでご相談ください。

土曜日コース・遠方チケットコースに興味がある方は
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教室希望 というタイトルでメールをください。

【割れた陶器募集】日本産漆と本金粉で無料金継します

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最近、エポキシを使った金継や、化学塗料を使った蒔絵ぽい技法が、
まるで「これが伝統工芸です」みたいに出回っているのが目に入ります。

僕は技法や伝統は素材とともにあると考えていて、
漆という素材にはこだわりを持って活動してきました。
だから、漆ではないものを使って「伝統」と言われるのが嫌です。

なので漆の教科書的な動画を作ろうと思います。
最初に「本漆を使った金継」を作ります。

そこで割れた陶器があって、思い入れがあるために残している方がいらっしゃいましたらお知らせください。
お知らせいただいた中から1つを動画撮影用に金継をしたいと思います。


○応募方法と条件○

1、ツイッターの下記ページの返信で陶器の画像と思い入れを書いて投稿してください。

2、修理費用は無料です、送料はご負担ください。

3、撮影に使用させていただきますので、動画に残ること、時間をいただくことをご理解ください。
※エピソードもご紹介させていただくかもしれません。

4、決定しましたら直接DMにてお知らせします。

5、リツイートしていただけると嬉しいです。

<注意>DMやメールでの問い合わせはしないでください。


大切な思い入れと器のご協力よろしくお願いします。
一人でも多くの人に漆芸に興味を持っていただけると嬉しいです。

時間をかけることと価値があるというのは別の話

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工芸の魅力を伝える際に「これだけの時間をかけて作りました」と言ってしまう場合があります。
僕も以前は「これだけの時間をかけて作ったので、、高くてすみません」と20代の頃、
知り合いにお願いして小さな作品を買ってもらったりしていました。


だけど、これは根本的な部分で間違っていました。
時間がかかるのは事実だとしても、その事実に対して購入者に責任を取ってもらうのはよくありません。
だって、手作業にこだわってものを作ってるのはこちらの事情なのですから。


ここまで書いて「おいおい、今だって〇〇ヶ月かけて作りましたって言ってるじゃん」と思われる方いらっしゃるでしょう。
実際僕はツイッターなんかに「〇〇ヶ月かけて完成しました」「○年かけて作ってる作品です」とツイートしています。
でもこれは以前のように作品価格の裏付け説明をしたいためではありません。

最近は「価値」のある作品を作るために
膨大な時間を費やしています。

つまり、作品の価値またはクオリティを上げるために使える時間が飛躍的に向上したことを伝えています。
以前は年間三回ある公募展作品を作るのに、単純に4ヶ月しか使えなかったのですが、
現在は工房制作の元で一年以上かかりきりで作ることができるようになってきました。
「価値」を創造する挑戦ができるようになったともいえます。


さて、価値とクオリティを求めるための時間について書きましたが、
価値を創造できるならば極端な話で言えば時間は関係ありません。
何年もかけて制作してきたものが、何らかの技術によって一日で作り上げることができれば、それでいいわけです。

とうぜん機械で作るものと人が作るものには差があって、今は人が作るものの方がいいと感じているから
手作業にこだわっている部分もあります。

最終的に大切なことは完成したものにどれだけの価値があるかということです。
目的のための手段であって、手段が目的になっては伝わりにくいものになってしまいます。
手の中の仕事の場合、愛情が強ければ強いほど気づかないうちに手段に偏ってしまうことがよくあります。

「価値」を作るために、手の中でものを作るということは時に難しいものです。

制作スタッフ募集

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2021秋の個展と新たにフィリピン工房オープンを目指しています。
そのため制作スタッフを募集します。


仕事内容 
1、浅井康宏の制作助手
蒔絵、螺鈿を主とした作品制作の助手

2、フィリピン工房オープンの手伝い
フィリピンで漆工房を始めたいと思っております。
駐在していただき制作を進めていただきます。

資格

特にないですが下記の項目に当てはまるとありがたいです。

1、大学や研究所で漆を扱ったことがあり、将来的に漆を続けてゆきたいと思う人。

2、英語ができてフィリピンでの生活と制作がスムーズに行える人。
特に、フィリピン人スタッフとのコミュニケーションがスムーズに行えるとありがたいです。
(フィリピンでの住環境ですが、タガイタイという高級住宅地での活動となります。一年を通して気温が20度代と日本の夏より過ごしやすく漆制作に適しています。僕自身も年間数ヶ月生活しながら制作を進めるので悪い環境にはなりません。)

活動の流れ

1、京都工房で半年ほど修行していただき、一緒にフィリピンへ渡航します。

2、英語に不安がある人は現地で英語学校で毎日4時間の授業を受けていただけるので、長期的に心配はありません。

給与

1、京都での研修期間 時給909円 
厚生年金 社会保険加入

2、フィリピンでは宿舎と語学学校の学費を提供し生活費を支払います。金額は相談して決めます。
すみません、まだ現地での体制や住環境の費用など決定しておりませんので、京都研修中に相談しながら決定させてください。
京都では年金や社会保障を完備しておりますので、フィリピンでもその点で心配ない体制を作ります。

応募方法

1、〒616-8157
京都市右京区太秦御所ノ内町26-1
浅井康宏あてに履歴書を送ってください。

2、メールにて実技試験と面接の日程を相談させていただきます。
日程決定のうえ二日間の実技を行なっていただきます。

応募締切

2020年2月29日


注意事項
メールにて応募の問い合わせをいただいております。
IDでしかやりとり出来ない方がいらっしゃいますので、今後はメールのやりとりは行わず
履歴書を送っていただいた方の中で実技に進んでいただく方に返信する流れとさせていただきます。

メールの返信ができなかった方、大変申し訳ございませんが履歴書を送っていただけるようお願いします。

一緒に蒔絵で世界に挑戦できる仲間に会えることを楽しみにしています!

未来のためにできることなんて、たった1つしかない。

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こんにちは、漆芸作家(シツゲイサッカ)の浅井康宏です。
今日は僕が先生達から教わった成功の方法を書こうと思います。


結論から言うと
成功のため、未来のために今の自分ができることは、
続けることのみだと思います。
「当たり前じゃ無いか!」
「続けるだけじゃ意味がない!」と言われそうですが、
何かを続けることって、単純ではありません。

継続して何かを行うっていうのは、
実は日々変化しながら、前進し続ける意味もあります。
例えば、何かを作っているとして、
同じものを何年も何十年もただ継続してゆくのは難しいのです。
物のクオリティを常にあげてゆく努力をしなければ
その業界、企業、個人への仕事は無くなります。

つまり、続けると言う言葉の中には
確実に変化と努力が含まれています。
長期的に活躍している企業や、個人というのは、
変化を繰り返しながら継続的な活動を行なっているはずです。

それに、単純に続けることって難しいです。
先にも述べたように変化を必要とするので、
周囲がどんどんと消えてゆきます。
なので単純に続けた者勝ちみたいな側面もあります。


僕が展覧会に出品しはじめたとき僕のお世話になっている
先生達全員に言われたことがあります。
出品しはじめたら絶対に休むな
半信半疑でしたが、あまりにも多くの先生達に言われたので
「きっと本当のことなのだろう」と思って、頑張って続けてきました。

僕の場合、制作と発表を半ば強制的に続けてきたのですが、
今になって、先生達がなぜあそこまで続けることを強要してきたのかわかる気がします。
昭和的な根性論も少しは含まれているんだけど、
そんな根性論が必要な時もあるのです。

苦しいことや悔しいこともたくさんあるけど
続けるということが前提であるだけで、
走り続けれるのです。

誰にも見られていなくても、小さな一歩で誰よりも長く走り続けられれば
その分だけ、遠くに行ける可能性が伸びます。
細かいことは走りながら考えて、その場その場で知識や技術を現地調達してゆくのです。
ただ続けるってことだけど、それは自分の力を最大化させてくれるたった1つの方法です。

やっと、先生達が僕に語りかけてくれたことの意味が少しずつわかるようになってきました。
こんな単純なことだけど、どうか
今まで思い描いてきたもの、明日から始めたいもの、
どんな小さなことでも、好きなこと続けてみてください。

海外で風邪をひく

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フィリピンへ来て2週間目先日から三日間ほど、風邪をひいてダウンしていました。
奥さんが荷造りの時「風邪薬入れとこうか?」と言ってくれていたのに、
「大丈夫、大丈夫」と断って、薬類は何も持たずに来たことをひたすら後悔していました。

海外で風邪をひくと、日本にいる時と違う不安感があります。
すぐに病院に行けない。
療養食が日本と違う。
病院へ行ったところで症状を伝える自信がない。

など、日本にいたら感じない不安があります。
今回は身近な友人に救われました。
風邪をひいたと聞いた友人が、薬と飲み物をたくさん買ってきてくれて、
本当に助かりました。

今のフィリピンは雨季のため、出かければいつ大雨にあうかわからなくて、
ただでさえ辛い中、出かけることができなかったんです。

とにかく、水分をとって、薬を飲んで寝ようということで、
金曜日から日曜にかけて、しっかりと休養をとりました。
今は割と体調が良いので、明日には復活できるかな。

今回の風邪で友人とAmazonプライムビデオにはずいぶんお世話になりました。
ありがとう。

物を通して心を伝える

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「漆器は高くないと売れなくなるな。」
そう思うきっかけがありました。

数ヶ月前に食洗機を買いました。
「食洗機ってしっかり洗えるのか?」少々疑っていたのですが、
使ってみて生活のストレスが1つ減るレベルで良い商品でした。
手洗いよりキレイに洗えます!まさに時短。
これは各家庭に必ずあったほうがいい家電です。
洗濯乾燥機と食洗機は忙しい時代に時間を提供してくれる必需品といえます。

さて、食洗機を使い始めたことで、
「あ、これは食器としての漆器を考え直さなければならない」と感じたのです。

食洗機に漆器を入れるのは抵抗があります。
食洗機は熱湯と熱風で洗い、乾かしてくれますが、
それが漆器にとって良くない気がします。(実際に試していません)
蒔絵とか、螺鈿が入っているともっと気がひけるので、手洗いします。
すると、漆器が気軽なものではなくなってしまいました。
食器洗いの自動化が起こると、漆器だけ個別に洗わなければならない。

つまり、手間がかかります。

物事が便利になると、前まであったものが急速に廃れてしまうのが常です。
漆器も機械洗いが普及すれば、より数を減らしてゆくのは容易に想像できます。

食洗機でも大丈夫な漆を作れば?という発想が生まれるかもしれません。
でも僕はそれはあまり良くないと思います。
食洗機でも使えるという食器の一般性能に追いつこうとするのは
つまり、ライバルを陶器やガラスやプラスチックに設定していることになります。
その戦い方が現状の漆器業界の苦戦の原因なので、
便利なことや安価なことを追求してはダメだったのです。

解決策は、
○顧客を絞る
○商品ラインナップを絞る
○無理のない価格設定をする
そして、一番大切な
○文化を作り、売る

まず、陶器やプラスチックと張り合って
どこにでもある大量の食器を作るという戦略はこれからもっと厳しくなります。
身近さや手軽さから離れるのは辛いですが、
もはや日常の器として漆器のポジションは無いです。

漆の食器がこれからも使われるとしたら、
それは大切な文化として食とよりそう事しかできないと思います。
つまり、丁寧な料理を丁寧な器に入れて楽しめる人にだけ伝える。
そして丁寧に扱ってもらう。

漆の食器は
便利ではありません。
だけど、丁寧で美しいものです。
それは日本の食文化に寄り添ってきた大切な心です。

僕たちは物を通して心を伝えたいのです。

酒器を作る

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実は僕、漆の作品を作っていますが、
食器類を作ることが少ないのです。
お椀とか、お皿は今までほとんど作ってこなかったし、
作っても身近な人に頼まれたものだったり、写真も残っていないものがほとんどです。

ただ、酒器は数種類作ってきました。
1点ものもあれば、15個くらいの数ものもあります。
酒器を作るのは好きで、アイデアはたくさんあります。
僕自身がお酒が好きなのも相まって「これにお酒を入れたら」と想像して
ニヤニヤしながら作っております。

だけど酒器は特に使ってほしいものだけに
価格を上げにくかったです。
1点制作の場合は、作品としての要素全開で、美術作品としての位置付けなので高価ですが、
使ってほしいシリーズは20万円以下に抑えて作りたい。
そうすると、利益が出ないばかりか、売れても赤字になる事態が発生してきました。

こだわって、クオリティを上げて赤字になるなんて、
経営者として最悪です。
なので、昨年あたり酒器卒業宣言をブログ内でふんわり行なった気がします。
(よく覚えてませんが)
でも、それを前言撤回して
個展に向けて新しいシリーズを10作品くらい作ってみようという気になってきました。

なぜそう思うようになったかというと、
今まで酒器を作って表現のきっかけを得ることが多かったのです。

例えば、

浅井康宏 蒔絵高坏 「光華」
浅井康宏 蒔絵高坏 「光華」

浅井康宏 蒔絵螺鈿高坏 「菊華」
浅井康宏 蒔絵螺鈿高坏 「菊華」

この2つの作品
蒔絵螺鈿高坏 「光華」「菊華」
は根付作家の万征さんとのコラボ作品で、
作品として極限のバランスを追求できたと思います。
現代における最高の仕事で美を追求することに一定の自信を得ました。

そして、

2017年の個展で最後に作っていた作品
この酒器は撮影時に完成していない状態でした、
それでも作品集に載せてます。
個展の追い込みの中、色彩表現のきっかけをつかめた作品の1つでした。

ここから

この棗のような色彩表現に繋がってゆきました。


次の個展に向けて作る酒器が僕にどのような表現のきっかけを与えてくれるか、
それは、まだわかりませんが、小さな作品の中に今持っている技術と現代性をそそぎこみます。
そのさきにきっと見えてくるものがあるでしょう。

残念なのが、その作品を僕は使えないことです。
作り手は1番長くその作品を触れているけど、使い手にはなりません。
その寂しさを、他の作家さんの作品を買って癒します。

制作が動き始めたらアップしてゆきます!!

工房体制、体育会系からの離脱

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工房体制で制作を続けようと思った時、
美術系でも、熱狂やスピード感が必要だと思っていました。
イメージとして体育会系のノリです。

というのも、僕の仕事は締め切りの連発で
定時きっちりで活動するというより
締め切り前のスパートをかける日々、そしてそれを乗り切るための体力は
体育会系のノリがあっていると思っていたし、
自分もそのような意識で制作を続けていました。

つまり、チームスポーツのような統制のとれた組織
自分を追い込む気合いと熱狂。
昭和っぽい体育会系ですよね。

働く時間と給与体系は完全にホワイト企業を目指していたけど、
制作に向かう姿勢は体育会系を求めるというアンバランスな状態でした。


でもそれではうまくいかないことがたくさんありました。
別に現代特有の問題というわけではなく、
試行錯誤した結果「気合より習慣が勝る」と感じたからです。
僕は過去、過労によってウツ病になったことがあるので、
自分を含めたチーム全体を
「健康であり、成果を最大限にするためにはどうするか」というのが重要な課題でした。

結果からいうと
チームは定時に仕事を終わるようにして
作品の制作以外での人間関係をできるだけ平坦にしたいと思っています。
チームが大きくなるとまた改良が必要な部分は出てくるだろうけど、
いわゆる弟子制度みたいなのの真逆を歩もうと思っています。

当然、そこにはお互いの尊重と尊敬が必要で
今のところうまくいっています。
自分の制作のクオリティと業界の将来を考えたときに
クリーンな工房体制が技と文化をつなぐたった1つの可能性だと感じます。