カテゴリー別アーカイブ: 漆に生きる日々 京都編

浅井康宏漆芸展 情熱-Passion- を終えて

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こんにちは漆芸作家の浅井康宏です。
今日はおよそ5年ぶりの個展「浅井康宏漆芸展 情熱-Passion-」を終えた感謝と感想を綴ってゆこうと思います。
さて、これを書いているのは個展の翌日11/23日の夜です。
京都に帰ってきております。


たぶん、何日かしたら会期中のことやその前後の記憶がぼんやりしてしまうと思うので、
いつかの自分のためにも書き記します。
会期を終えて、今、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
とにかく会場に来てくれた全ての方に、
スタッフのみんな、手伝ってくださった方々、家族、西武池袋の皆様
SNSで情報を伝えてくれた皆様。思い返せばキリがないほどのお力で会期を終えることができました。


「個展を成功させる」という一心で、
あらゆる手立てを打ち、漆芸を中心とした美的体験の現在形を示したつもりです。
もちろん全てが完璧なわけでなく、改善の余地を多く残しております。
しかし、今回の個展タイトル「情熱」を感じていただける展示ができたのではないかと思っております。

結果として今思うことは個展を成功させることは
作品制作そのものに似ているという思いです。
それは作品の小さなパーツを丁寧に作るように
綺麗な一本の線を引くように、
一人ひとりに挨拶をし、作品集にサインをしてゆく。
それは作品を作るか
人間関係や感動を作り出すこととイコールなのだと思いました。


僕が見てきた、そして作り出す
漆、蒔絵の輝きが誰かの心に少しでも残ってくれて
本の一瞬でも心が動いてくれれば、
きっと明日も作って行けるし、
その感情は波紋のように広がる。

きっと誰かがそれを未来に伝えてくれるはずです。
今回の個展はたくさんの同世代や若い人が見にきてくれました。
「空前の蒔絵ブームを巻き起こす、それも世界で」という目標の
大きな節目になると確信しています。

今回は本当にありがとうございました。
またお会いできたら嬉しいです!!

伝統工芸の後継者問題を解決するための方法

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こんにちは漆芸作家の浅井康宏です。
今日は先日いただいた質問箱の回答について書こうと思います。

伝統工芸の課題って「後継者問題」につきると思っているのですが、
この根本にはどんな原因があるのでしょうか。

僕は「原因は二つしかないよね」と思っていて、
それを解決するのが難しいんだ!と言われると、まあそうなのですが今すぐにでもできることもあるので深掘りしてみようと思います。

上のツイートが質問箱と回答となります。
まず、
「食える」ことは前提となるのかなと思います。
伝統工芸ってもともとは産業だったんだけど、需要が減って守らなければならない雰囲気の絶滅危惧種となっています。
もともと漆器は食器産業の一端だったんです。
もともと着物は衣類産業の一端だったんです。
だけど、生活様式によって産業の形態が崩れて需要の後退とともに参加者(作り手も購入者両方)が減って今に至ります。

そして「食える」職業ではなくなりました。
つまり伝統工芸をそのまま継続させようとすることは
「昔の産業のかけらを集める」ようなことでとても難しいと思うんです。

iPodがあればCDが不要になるように
スマホがあれば公衆電話が不要になるように

利便性を求める世界観の場合、利便性を失った物はなくなります。
しかし、ここにきてレコードが少し売れているようです。
僕は1983年生まれでレコードには馴染みがないんだけど、古いロックを聞きたいとき
高校生くらいからレコードを集めていました。
便利でもなく、音質も一般的に良いとは言えないだろうレコードを集めていた理由は
「なんとなくクール」「雰囲気がいい」という感情的なものでした。

レコードの例があるように「便利」なだけではない「感情の動き」に僕たちは反応します。
手で作られている工芸作品には必ず「感情の動き」があるので
これからは現代に合わせた便利な工芸より
「便利じゃないけど美しい生活をともにする器」としての漆器が必要とされると思ってます。




そして「食える」ことより大切だと思うこと
「夢がある」ことかなと。
小学生のなりたい職業ランキング上位にはスポーツ選手や最近はYouTuberなどの
他者評価の高い職業や女子生徒だと看護師や保育士など他者のための職業が入っているように思います。

努力や成果がしっかり評価され、誰かの役に立つ。
そのさきに夢があります。

伝統工芸に携わっているとどうしても
工程の話とか、苦労の話になりがちだけど
もっと夢を語ってもいいと思うのです。

守らなければならない絶滅危惧種ではなく
今伝えるべきかっこいい価値観であることは間違いありません。
市場の拡大には時間がかかるけど、
「夢がある」ことを叫ぶのは今からでもできるので、
今後も自分の仕事についての夢を語って行こうと思います。

こちらの回答は
YouTube liveでも話しているので
お時間ありましたらよろしくお願いします。49分あたりです。

動画時代の美術

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こんにちは漆芸作家の浅井康宏です。
最近「動画面白いな」と思うことが多くて、動画について書いて行こうと思います。
まず、僕が動画を意識したのは6年くらい前です。
高校時代の友人の馬杉雅喜が映画監督になって
軽い気持ちで「動画撮ってよ」とお願いしたのが始まりです。
その頃、馬杉は自分の会社「CINEMA’S GIX」https://www.cinemasgix.com
を立ち上げたばかりでキャンペーンをやっており、その機会を使って制作してもらいました。

その時の動画がこれ

当時驚いたのが、動画用のカメラって肩から担ぐ、バズーカ砲みたいなのを想像してたんだけど、
実際は一眼レフ。
「え、これで動画撮れるの?」という驚きと、映し出されるクオリティの高い動画に驚きました。


【コロナが加速させる動画時代】

上記のように、動画撮影のハードルが機材面でも技術面でも、より身近になっていることを実感しました。
また、スマートフォンの性能が向上して、普通に高画像の動画が撮れたりします。

実は今、また馬杉と一緒に動画を作っていて数年に及ぶ作品制作を記録しています。
その時「撮影も編集もスマホでできるよ」と教わったので、
試しに「金継動画」をスマートフォンだけで制作してみました。



それがこれ

今から見ると改良点はたくさんあるけど、一応はできた。
そしてYouTubeにもアップできたことに驚きました。

今年に入ってから不穏な動きを見せていたコロナが日本でも猛威をふるい始めてから工房の休業を余儀なくされて、
自分一人の作業時間が増えると
「今までやりたかったことをやってみよう」と
動画の生配信を始めてみました。

とりあえずパソコン一つあればYouTubeLiveができるんです。
最初の配信がこれ

4月から毎週土曜日に生配信を続けてみて
いよいよ美術のアプローチに動画が最適だと思えるようになってきました。
コロナの影響も手伝って急速に僕たちは、人との対面の形が変化してきています。
情報の濃度が必要となった今、音声と動きがを付加できる動画は実は美術に向いている気がします。

特に工芸の場合、作品が立体だから一枚の画像より伝えられることが多いように思います。
途中段階の作品を動画で撮影してみると
臨場感があって良い。

現物が良いのはもちろんだけど、伝える手段として動画の可能性は大きいです。

作品サイズ

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こんにちは漆芸作家の浅井康宏です。
「最近、作品をSNSにアップできていないな」と思い
作品のサイズに分けて投稿してみました。

ちなみにアップできていなかった理由は、作品数が少なくて今年まだ2作品しかできていなかったからです。
下半期はもう少したくさんの作品をアップできるように猛烈に仕事してゆきます。





まずは小さい作品。
酒器とか帯留めが自分の中で小さい作品という感じです。これらの作品は数個単位で作ることが多くて、
作っていて楽しいのでどんどん手を入れてサイズの割に密度があります。

中ぐらいのサイズ感の作品は香合とか一点ものの酒器などがあります。
展覧会に出品することもある作品で、造形と意匠の繋がりに気をつけて現代的なかっこいい漆表現を目指しています。


大きい作品は100%「歴史的名作」を狙って作っています。
大方2年くらいかけて作っています。


希望としては年間で大作を3作、中ぐらいの作品が5作品、小さい作品が10作くらいできたらいいな、と思っています。
来年の個展に向けてもっと働かなければ。

金粉が最高値を更新する最中の制作

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こんにちは漆芸作家の浅井康宏です。
最近、金相場が連日最高値を更新して大変なことになって来ました。

ちなみに2006年くらいまで1000円代だったんだけど、現在7000円代後半で8000円が目前です。

実際に材料費が高騰することは、制作を困難なものにします。
「この金額でこれっぽっちしか金が買えないの?」というのが実感です。
だけど、それは作品のクオリィを下げる理由にならないので
これからも金は使ってゆきます。

でも、やっぱり「金のバブルはじけて欲しいな」というのが心情です。

5年間の制作を終えて、次は何をするか

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こんにちは漆芸作家の浅井康宏です。
ツイッターで「大作完成しました!」と呟いておりましたが、
制作期間5年
制作費およそ600万円かけた作品が完成しました。

展覧会出品作品なので、まだ全体像はアップしませんが、
とにかく僕はボロボロになりながらも作品は無事完成しました。

なぜボロボロだったかというと僕の制作規模で考えると
600万円という制作費は莫大で「やり始めてしまったら戻れない」状態が
続いた5年間でした。
その間、グループ展とか公募展は最小限の制作でなんとかやりくりして
頭はパニック状態でした。
完成前年の昨年はこの作品の制作ウェイトが大きくなり
公募展に落選しまくりでした。



なんというか世間から取り残された「浦島太郎状態だな」という気持ちです。
でも、この作品はそれだけ賭ける意味があると思って走り続けました。

完成してみて本当に自分は正しい方向に走っていたのか
今のところは判断できません。

でもそこには意味があると信じています。少なくとも
僕の生き方は変わったように思います。

「次はどんなものを作るの?」
そう聞かれれば「1000万円使って現代の狂気を蒔絵の光で表します」
と言って、また信じているけど見えない未来に一歩踏み出します。

勝算はあります。

手の中にある技術

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こんにちは漆芸作家の浅井康宏です。
今日は技術について考えていることを書いて行こうと思います。

最近「蒔絵の細かい研ぎが上手くなったな」と思うことが多くて、
例えばこういう

小さい範囲の蒔絵の研ぎは、周辺も知らないうちに研いでしまうことが多かったのです。
だけど、どんなに小さい部分でも研ぎ落とすことなく面を作れるようになった。

これはなぜだろうと考えたときに「彫刻刀の研ぎの感覚」と似ていて、
役に立っていると体感的に感じられました。
体が覚えている刃先の小さい彫刻刀の研ぎと針炭という細かい炭で金粉を研ぐ時の感覚が似ているのです。




もともと刃物の研ぎが苦手でした、特に細い彫刻刀は数ミリの先端を平らに研ぐことが難しく
いつもブレて丸く砥げてしまっていました。

30代はじめの頃、輪島の恩師のもとで厚貝の象嵌を習っていたことがあって、
そのとき最初に教わったのが「彫刻刀の研ぎ」でした。
僕が持っていった彫刻刀は全部「研ぎ直しましょう」ということで
研ぐんだけど、一向に上手くならなくて丸二日間ずっと研いでいました。

こういう技術って書籍を見ても、言葉で教わっても、YouTubeで見ても
体得することのできない「手の中の技術」なんです。


埼玉から輪島に通って「二日間砥ぎで終わってしまった」と思ったけど
不思議と残念な気持ちはなくて、自信につながりました。

そのときの先端に神経を集中させて0.1ミリ単位で砥ぐ感覚が金粉の研ぎに繋がるとは思いませんでした。

改めて手の中の技術の大切さを感じました。

漆芸活動のコロナ被害

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こんにちは漆芸作家の浅井康宏です。
今日はコロナの活動への影響を書こうとおもいます。


2020年5月21日に関西圏の緊急事態宣言は解除されました。
ゴールデンウィーク明け解除予定が延長され5月中は自粛が続くかと思っていましたが
早めの解除となり少し町の緊張感も緩んできたようにおもいます。

さて、今回のコロナの件で僕の活動への心配の声を多数いただきました。
影響があったのは大きく四つです。

○工房を休みにする
○教室休校
○入金ストップ
○事務仕事

一つずつ解説してゆこうとおもいます。

○工房を休みにする
東京と大阪、兵庫に緊急事態宣言が出た段階で工房を休みにしました。
理由は毎週大阪から通っているスタッフと電車通勤のスタッフがいるため
移動中の感染リスクを減らすためでした。

○教室休校
緊急事態宣言が出て、工房と同時に教室も休校にしました。
県外から通ってくれる生徒さんも多くて、継続が難しいとおもい判断しました。

○入金ストップ
コロナが全世界的に猛威をふるっており海外に送る予定だった作品が納品後
発送できなくなってしまいました。
したがって3月からの入金がなくなりました。
ただ、その少し前にまとまったお金が入っていたので工房運営は滞ることなくやり過ごせそうです。

○事務仕事
実はこれが一番しんどかったことでした。
制作は一人で続けていたのですが、一人になると事務仕事も多くなり
コロナの保証や情報収集などで忙殺されていました。もうしばらく続くと思うけど
税理士さんをはじめ多くの人に助けてもらいながら切り抜けようとおもいます。




一方で今回の件でよかったこともありました。
一人で仕事をする時間が増えて制作に向かう初心が取り戻せたような気がしました。
改めて「俺はこの仕事が好きだな」とおもいながら仕事部屋に入る毎日に
懐かしい充実感を感じました。

緊急事態宣言が解除されたことにより
大阪出身のスタッフはテレワークにして京都のスタッフは来週から通常通りの制作現場となります。
来月からは教室も再開しようと思っています。

いろいろなことがあるけど、それでも作り続ける日々に変わりは無く
一歩ずつ進む先に夢見る世界があるはずです。
コロナウィルスは季節性の特徴があるのか、アジア人には耐性があったのか、判明するまでには時間がかかるだろうけど
日常とは何かのきっかけで崩れてしまうものだと知りました。

地域密着型のもろさ

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こんにちは漆芸作家の浅井康宏です。
今日は「地域密着型の弱点」について書こうとおもいます。
この記事を書こうと思ったのは、
コロナの影響を受けたビジネスと受けにくいビジネスがあってその違いは何なのかを考えたからです。

おそらく今回の件で一番ダメージを受けたのは
飲食業界やホテルなどサービスを提供する「場」のある商売ではないでしょうか。
さらにインバウンドや地元周辺といった顧客の層を限定している場合
何かのきっかけで動線が断たれると、たちまちピンチに陥る形になりました。

ビジネスは水物なので、流れが滞りなく豊富な水量がある場所が正解なんだとおもいますが
何らかの影響で水の流れが変わったり、なくなってしまうとたちまち危機的状況におちいります。


この流れは僕のような美術作家も意識しなければならないところで
発表の場はいつもあるものでは無いという現実を突きつけられたようにおもいます。
とにかく4月から5月の展示は全てなくなってしまいました。
(僕の場合公募展が二つ中止)

このような事態は前例がないのですが
今後は何らかの対策を考えて活動する必要が出てきそうです。


最初に書いた通り
「場」と「流れ」がポイントなので
活動範囲を地域密着型にしてしまうと対応できなくなってしまいそうです。



では、美術の活動においての
地域密着とはどのようなことでしょうか。

それは活動の場が
○一つのギャラリー
○一つの公募展
○一人のお客様
○年齢、性別の偏った客層

以上のようなことかとおもいます。
地方にいると思うことが多いのですが、
「その地域では有名だけど全国では知られていない」ことはよくあります。
それは悪いことではないし、地域で認められる活動というのに憧れもあります。
ただ、そこに甘んじてはいけないことが今回のコロナの件ではっきりしました。


美術だけではなく、複数の「場」と「流れ」を作ることを意識することが
結局は長期的に活動を続けるポイントのようです。
ネット時代になって、より「地域」という感覚はおろか
「国籍」という意味も薄くなってゆきます。

仮に「地域密着」を狙うなら「日本」という大きな単位の地域で考える必要がありそうです。

【浅井康宏】漆芸制作室スタートしました!

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こんにちは漆芸作家の浅井康宏です。
先日から申請していたCAMPFIREコミュニティ「【浅井康宏】漆芸制作室」が認証され、晴れてリリースされました。
内容についてはページをご覧いただければとおもいます。

多くの方に共感いただき、とても励みになりました。
今後制作工程を紹介したり、書籍をお届けできればとおもいます。
今月は書籍をお送りしたいのでブックサポートの登録していただけると嬉しいです。

引き続きよろしくお願いします。
サポート、いいね、リツイートなど
お気持ち本当にありがとうございます!