母と暮らす その2

先日からの続き
(過去記事はこちら

約2ヶ月間、個展準備の手伝いをしてもらうことになったのだけど
そのあいだに一週間仕事をすることで、勤め先を辞めなくてもよくなった。
この記事を書いているのは、母が鳥取に帰っている一週間のうちの真ん中あたりです。

母親がいてくれて助かること

料理が美味しい!
これが一番助かることかもしれません。
前回も書きましたが、締め切り前になると僕は痩せてしまうことが多いのです。
だけど、個展前の締め切りの連続だけど痩せていません。
逆に太ってきた?

作業に集中できる
家のことを全部自分でやっていると
地味に時間が取られてしまいます。
朝のルーティン(散歩と掃除機、トイレ掃除)以外の家事を母親がこなしてくれているので
食事の後すぐに作業ができて、とても助かります。
作業時間が最大化されている気がします。

理解者が身近にいてくれる安心感
一般的に漆芸作家という聞いたことのないような職業ですが
漆と出会ってからずっと理解してくれている家族がそばにいてくれるのは
心強いものがあります。

仕覆を作ってもらえる
僕の作品を所蔵してくれている方ならご存知だと思いますが、
作品のほとんどに仕覆(作品を包む袋または布)が付いています。
日中母が作品の仕覆を作ってくれています。


あまり意識しないようにしていますが
個展のプレッシャーって強くて、体も精神もギリギリの状態だと思います。
そんな中、この歳になって母親と暮らすこと。
これも漆がくれたプレゼントのような気がします。
ただの迷惑な息子かもしれないけど、
漆を通して家族と過ごせる時間が多くなりました。

普段は別々に暮らしているから
人生のうちであと何日、母親と暮らすことができるのでしょうか。
あと何回、母親の手料理を食べることができるでしょうか。

まだまだたくさんあるような気がしていても
数えると、実は少ないのかもしれません。

漆は僕にたくさんのものをくれたけど
家族で過ごすことのできる時間はその中でも大切なことのひとつです。


トイレに入ると
空き瓶に菜の花が活けてありました。
「春だね」って笑う母親のそんなところが好き。