カテゴリー別アーカイブ: 作品紹介

金継動画その2 「刻苧埋め」

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こんにちは漆芸作家の浅井康宏です。
前回の金継動画で割れた陶器の接着を行いました。
過去記事はこちら

今回は割れて欠損した部分に漆のパテである
「刻苧(こくそ)」を埋めて修理してゆきます。

刻苧の比率は
水ねり小麦粉と漆を等量混ぜたものに
木粉を適量入れてやります。
分量は動画を参考にしてください。

ポイントとしてはできるだけ多く入れてやるとしっかりと中まで乾きます。

今回の道具類は前回とあまり変わりません。
木粉はノコギリで木を切った時に得ることができます。
または麻布を細かく棉クズのようにしたものを加えて刻苧を作ることもできます。
手に入れやすいものを使ってください。


漆は40g入りのものからスタートしてもらえればいいと思います。
amozonで取り扱いのある播与漆行さんは僕もよくお世話になっている東京の漆屋さんです。
品質は確かなのでオススメです。

日本産の漆で金継ぎしたいという方は浄法寺漆産業の生漆を試してみてください。
10gチューブは金継にぴったりの分量だと思います。

※注意※
今回の動画では天然の漆のみを使用してゆきます。
漆を扱うとかぶれという肌が痒くなる症状が現れます。徐々に免疫がつきます、その点ご注意ください。

アマゾンなどで「新漆」というかぶれない塗料などもみられるかと思います。
こちらの正確にいうと漆ではない場合があります。本格的な漆による金継をご希望の場合、お気を付けください。




ヘラ

ヘラはホームセンターなどで販売しているものを使ってもらえればと思います。
30mmくらいのものが2本あれば十分作業ができます。


定盤

定盤は漆を練ったり、筆を洗ったりする板です。
動画ではガラス定盤を使っておりますが、紙パレットで代用ができます。


無水エタノール

こちら現在コロナウイルスのせいで価格が高騰しております。
通常は1000円代で購入できるものなので3000円以上の価格で購入することはオススメしません。
灯油でも代用できるので灯油を使ってください。


今後数回に分けて完成まで動画に収めてゆこうと思います。
チャンネル登録していただき、作業の進行を追っていただけると嬉しいです。

ソムリエナイフが完成したよ

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こんにちは漆芸作家の浅井康宏です。
「実用品は作りません!」と言いつつ、お酒関係のものは好きでいつも作っては喜んでいます。

今日の記事では
今回完成した新作のソムリエナイフについて書こうと思います。


(Photo by Tadayuki Minamoto)

黒檀という木のハンドル部分に漆を塗って蒔絵と螺鈿を施しました。
研ぎ出し蒔絵という技法と高蒔絵という技法を併用しているので、
ブドウの模様が立体的で、手にした時に重厚な輝きがあります。

ブドウを描いたのは
ワインがブドウでできているからという理由もあるのですが、
加えていくつかの理由があります。




実はブドウというのは
日本の伝統的な吉祥模様でもあります。

吉祥模様というのは
おめでたい図柄という意味合いです。
例えば、連続模様である七宝つなぎ

(webより引用)

この模様は永遠につながってゆくことから
子孫繁栄や円満という意味合いを持っており愛され続けています。

ブドウの模様もたわわに実る様から繁栄の象徴でありますが、
もう1つ
「ブドウ」を「武道」と読む語呂合わせの面白さもあることから
武家に親しまれていたようです。

このようにブドウを描くというのは
日本文化的にも系統だっていると言えます。


作品の制作にあたって、ブドウの苗木を買ってきて
葉のスケッチを重ねました残念ながら昨年、
実をつけるまでは行きませんでしたがブドウの成長も楽しみにしています。
葉の美しさやツルの形状など蒔絵のモチーフとしてブドウは魅力的です。
今後も作品に登場してゆくと思います。

短大時代の卒業制作 海月蒔絵硯箱

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およそ16年前に作った卒業制作

クラゲをモチーフに硯箱をつくりました。
今から思うと形もデザインもどことなく無難で、こじんまりしてる。

ただ、技術習得と挑戦を感じられます。
高校時代に出会った蒔絵をさらに学びたいと思い富山県へ行って
短大という短い時間が漆に集中できる充実した時間でした
その時に現在表現の幅を与えてくれる富山の技法である杣田と青貝螺鈿との出会いがあったので
なんとなく一本の道でつながっているようにも思えます。



この作品にもいくつかこだわりがあって
○蒔絵と塗りは日本さん漆を使う
○錆びない材料を使う
○貝には徹底的にこだわる

という今と変わらない制作の基準を設けていました。
この時点で塗りに使う漆は日本産にこだわっていて、
クラゲの表現は通常銀を使いたいところだけど、その当時金粉の三倍の価格だったプラチナ粉を蒔絵に使っています。
青貝も鳥取の漁港を巡って特に色の良い貝を見つけ出して自ら薄貝に加工した思い出があります。
今見ても色の良い貝を使っています。

その時から明確に
「歴史的名作を作る」という意識があって
自分の回顧展の最初の部屋にある作品を作る意図というのは強く持っていたから
自ずと使用する材料にこだわっていたのだと思います。

今から見ると作品のクオリティで追及するべきところはたくさんあるけど
やろうとしていることは見えます。

それに「漆が好き」というのが滲みてている作品でもあります。
見えない未来に向かってがむしゃらに突き進んでいるスタートの作品に
海上に光るきらめきを求めて上昇する自分の姿を少しだけ重ね合わせたりします。

天然素材の色彩表現

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近作の螺鈿を使った作品は
伝統技法の色彩表現を意識して制作されています。
例えば

金彩螺鈿平棗 「午前6時」

金彩螺鈿平棗 「午後6時」

この2つの作品は2018年に制作した
「青貝棗」の展開となります。

これらの作品は全て貝の真珠層が持つ天然の色と金の板を使った表現です。
天然のものだから、真珠層は複雑な色味が入り混じって輝きます。
色の変化も面白いのだけど、その中から欲しい色だけを選んで使っています。
螺鈿の材料の薄貝の中から欲しい色を選んでゆくと全体の5パーセントくらいしか使うことができません。
マグロでいう大トロって感じです。

初めて青貝棗を制作したとき
「こうやって色を選んで作業してるけど、最終的に色の違いが出なかったらどうしよう」という思いがありました。
パーツごとに色を見極めていたけど、それでも開始数ヶ月はどこまで色彩表現できるかわかりませんでした。
第1作は制作に8ヶ月かかりました。
結果、目指していた色が得られたので、僕の中の表現が花開いたような気持ちでした。

「午前6時」
「午後6時」は前作の発展形で、
より微妙な色彩を得るべく、貝の種類を増やし、そして金属を使うことで
表現の幅を広げました。

この仕事はやはり、時間のかかる表現で
何よりも完成してみないとイメージがつかみにくいのです。
最終的な表現はツルリとした輝く棗という印象ですが、
途中段階は人間の限界へ向かう息遣いそのものという表情です。

このザラつく微細な素材を漆で塗り込めて
最後に研ぎつけ、磨くことで素材本来の魅力を最大限まで引き出せます。


小さな作品でも一日8時間作業をしたとして6ヶ月以上かかります。
毎回「このシリーズは今後作ってはダメだ」と思うんだけど、
「欲しい色のためなら挑戦しなくては」という馬鹿な自分がいます。

高速に進歩している現代で、アナログな色彩表現を求めるのは愚かだけど、
挑戦する価値を感じます。

蒔絵螺鈿舟形箱「海路」

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作家という生き方は、時に孤独なもので、
それは夜の海に小さな舟を浮かべ、
見えない目的地を目指すようなものです。

真っ暗闇だけど、心にはぼんやりと光が灯っていて
それが進路を照らしてくれているように思います。
暗闇に灯る美という小さな光を手がかりに
見たこともないような景色を見たい。

Yasuhiro Asai 浅井康宏
Photo by Tadayuki Minamoto

箱の蓋を開けた時、心の中を満たしている光があふれ出すような作品ができました。

美術が好きだ。
漆が好きだ。
蒔絵が好きだ。

1日でも長く、僕は作品を作っていたい、
そして一人でも多くの人に作品を見てもらいたい。

いい作品ができました。

蒔絵螺鈿高坏「菊華」「光華」はこうして生まれました。

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先日twitterにアップした作品
蒔絵螺鈿高坏(まきえらでんたかつき)「菊華」「光華」
多くの方に見てもらえて嬉しいです!

今回の記事では、この作品を作った経緯について書こうと思います。


プロローグ
この作品は
元サッカー日本代表の中田英寿さんが主催している
日本酒のイベント「Craft Sake week」のために制作しました。
http://craftsakeweek.com/rh/
僕が参加させてもらったのは2018年。

日本中の酒蔵から中田さんが選んだお酒と料理を楽しめるイベントで
六本木ヒルズで毎年開催されています。
併設イベントとして「しゅきや」という工芸作家が酒器を作り展示します。
2018年は
桑田卓郎さん
佐故龍平さん
中川周士さん
新里明士さん
上記の皆さんと一緒に参加させていただきました。

浅井康宏 蒔絵高坏 「光華」
浅井康宏 蒔絵高坏 「光華」

経緯
このイベントの10ヶ月ほど前に
キュレーターの方にお話をいただきました。
でも、
最初ちょっと戸惑ったんです。
「六本木の野外イベントに何を作ろうか、そもそも蒔絵が合うのか?」と
キュレーターさんから
中田さんがこのイベントへかける情熱と
「ライフスタイルを変えるような酒器があってもいいのではないか」
という提案をもらって
「よし!作ろう」と決めました。


日本酒で僕が提案したい新しいイメージって
「圧倒的な美」としての器でした。
具体的に言うと、正倉院御物のような
幾年も伝わる祭器のような、
日本酒のイメージをどこまでも高めてくれる物を作りたかったんです。

そこから8ヶ月間かけて2つの酒器を作りました。

それまで僕が作ってきた酒器の価格は最高13万円代で、
「この作品を作ったら100万円を超えてしまう」という覚悟が必要でした。
何しろ最高の素材を使って8ヶ月間かけての制作だったから、
「売れなくてもいい!!とにかく最高の作品を作るんだ!!」と思い切って
制作に飛び込みました。


結果的に根付作家の万征さんとの共同制作も成功し、
自分の制作を前進させてくれるような作品が完成しました。
あの時、思い切って飛び込まなければこの作品はありませんでした。

人生において成長の機会はたくさんあるけど、
迷った時に「えいや!!」と歩み出す勇気が自分を成長させてくれることがある。
そんな大切な作品になりました。

ちなみに、この作品は無事、所有者が決まり
今は手元にありません。

中田さんからは
「技術力ありすぎですよ!今度は浅井さんのもうちょっと日常使いの作品やドロドロした側面が見たいですね」という感想をもらいました。
それ以外に話したことは機会があれば書きますね。

これからもいい意味で期待を裏切るような作品を作って行こうと思います。

浅井作品の価格

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よく「作品価格はどのくらいですか?」と聞かれることがあります。
確かに、個展やグループ展以外では価格が出てないので、謎ですよね。
そもそも蒔絵の相場観も分かりにくいものがあります。
今回の記事では僕の作品価格の目安を書いてゆこうと思います。
ちなみに、今回書くのは個展やグループ展で販売された作品の価格を基準に書きますが、
作品によって仕事内容が異なるので、あくまで目安と思ってもらえれば嬉しいです。



まず、
今後あまり作らないと宣言した
酒器について、次の個展に向けて少量制作しようと思います。
今までの価格帯は、8万円から14万円でした。
新作はまだ構想中ですが、15万円くらいになるかと思います。

次に棗や中次などの茶道具です。
このあたりの作品は貝を貼り詰めた作品は
160万円代で中次は120万円から160万円です。平棗は少し大きいのでもう少し高いです。

最後に箱物です。
箱物は形状によって様々ですが、伝統工芸展に出品した作品は
現在300万円から400万円です。
小さい箱は120万円代で制作しました。
来年に向けて制作している作品の価格はまだ未定ですが、2年間ずっと蒔絵し続ける予定なので、きっと高くなります。

 

素材に関してはこだわっていて
漆は自家製の日本産を使い
蒔絵には全て金粉を使っています。銀粉は錆びるのでほぼ使いません。
銀色が欲しい時はプラチナ粉を使います。
僕の作品は立体なので、それぞれの素材の持つ美しさが見る角度によってきらめきます!


最後に作品ではありませんが、
2017年の個展の時に出版した作品集は3360円(送料こみ)で発売しております。
お問い合わせは メール yasu69689@hotmail.com
タイトル「図録希望」でお問い合わせください。A4サイズ58ページ

(完売しました。ありがとうございます)

本気の作品を実際に見ていただけたら嬉しいです。
現在作品販売はしておらず、個展まで作りためてゆきます。

蒔絵玳瑁宝石箱 「刻」

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僕の出世作とも言える作品
蒔絵玳瑁宝石箱 「刻(とき)」
この作品は僕が31歳くらいの時作った作品で、
日本伝統漆芸展で賞をいただきました。


さて、刻というタイトルですが、
光が刻む記憶や、人間の鼓動の記憶みたいなものを描く作品を作りたいと思いつけました。
中央に刻々と連なる光は、宇宙の光、そして人間の鼓動を表して、
一点の出発点からどこまでも続く光のイメージが箱に表されています。


宇宙には長い時間を経て僕たちの目に入ってくる光があって、
何万光年の旅を経て僕たちが目にする時、その光を発した星は存在していないということもあるでしょう。
それって少し不思議じゃないですか、
タイムラグがあるにしても、単位が大きすぎてよくわかりません。

でも、そのタイムラグの中間地点には確かに光として
その光を発した光景が残っているわけです。
そして終わってゆく様も。
それって少し不思議。
光源はすでにないのに、光は残っていて、旅をし続けている。


僕たち生きている人間にも、
伝えきれない気持ちや、言えなかった思いをそっと抱えながら、
長くても100年くらいの命を生きてゆきます。
誰にも見えないかもしれないけど確かにある気持ち。


光や想いに形はないけど、
確かにそこにあって、
刻々と時間の中に消え去ってゆきます。
いや、消え去ったように見える。

もしそれらに形を与えることができるならば、
「ああ、僕は漆でできるかもしれない」
そう思って作りました。

作品紹介 蒔絵螺鈿六角香合「雫」

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蓋の中心にある金具(上原万征さん作)の中に水晶が一つ。
水晶を雫に見立てて、そこから広がる波紋や、集う蝶を光をテーマに制作しました。
技法、素材が多様な表情を見せてくれる、造形的な作品に仕上がりました。

実は、撮影時作品は完成していませんでした。
今日も蒔絵を続けております。

蝶の翅の横に「毛うち」とか「上絵」という蒔絵の細い線を描いているところです。
蝶が飛ぶ時の空気の動きや、水面を揺らす波紋を表現しました。
この後、磨いて完成します。
完成作品はぜひ展覧会場でご覧ください。

◆展覧会詳細
【会期・会場】
日本橋展=2019年3月6日(水)→12日(火)6階美術画廊(A・B)
大 阪展=2019年3月27日(水)→4月1日(火)6階美術画廊(A・B)
京 都展=2019年5月8日(水)→14日(火)6階美術画廊(東・西)
名古屋展=2019年5月29日(水)→6月4日(火)10階美術画廊

【出品作家】
浅井康宏(漆)佐々木類(ガラス)染谷聡(漆)高橋賢悟(鋳金)
丹羽シゲユキ(陶)津守愛香(陶)前田恭兵(七宝)山本優美(陶)
(五十音順、敬称略)

サイト
https://www.takashimaya.co.jp/nihombashi/departmentstore/topics/detail.html?category=art&id=7261#contents

作品紹介 「午前6時」「午後6時」

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日本橋高島屋からスタートする「美の予感2019 -∞ directions -」
来月の6日から始まるので、出品作品をご紹介して行きます。

金彩螺鈿平棗の2作品
「午前6時」「午後6時」というタイトルをつけました。
まず画像をご覧ください。

金彩螺鈿平棗「午前6時」

スライドショーには JavaScript が必要です。

◆金彩螺鈿平棗「午前6時」
朝の柔らかい光が広がってゆく情景をイメージして制作した作品。
貝を色分けして使っていますが、求める色が一枚の貝のうち少量しか取れないので、小さな作品ながら100枚以上の貝を使用して作りました。
全て手作業で作るので、およそ1000時間の時間をかけて光を表現しました。
「光の造形化」というコンセプトの作品です。


金彩螺鈿平棗「午後6時」

スライドショーには JavaScript が必要です。

◆金彩螺鈿平棗「午後6時」
太陽の光から、人類が生み出した街の輝きに移り変わる時間
微妙なグラデーションで、夜の闇と幾何学的な光の対比を描きました。
素材それぞれの特徴をぜひ会場でご覧いただきたいです。


◆展覧会詳細
【会期・会場】
日本橋展=2019年3月6日(水)→12日(火)6階美術画廊(A・B)
大 阪展=2019年3月27日(水)→4月1日(火)6階美術画廊(A・B)
京 都展=2019年5月8日(水)→14日(火)6階美術画廊(東・西)
名古屋展=2019年5月29日(水)→6月4日(火)10階美術画廊
【出品作家】
浅井康宏(漆)佐々木類(ガラス)染谷聡(漆)高橋賢悟(鋳金)
丹羽シゲユキ(陶)津守愛香(陶)前田恭兵(七宝)山本優美(陶)
(五十音順、敬称略)