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蒔絵螺鈿舟形箱「海路」

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作家という生き方は、時に孤独なもので、
それは夜の海に小さな舟を浮かべ、
見えない目的地を目指すようなものです。

真っ暗闇だけど、心にはぼんやりと光が灯っていて
それが進路を照らしてくれているように思います。
暗闇に灯る美という小さな光を手がかりに
見たこともないような景色を見たい。

Yasuhiro Asai 浅井康宏
Photo by Tadayuki Minamoto

箱の蓋を開けた時、心の中を満たしている光があふれ出すような作品ができました。

美術が好きだ。
漆が好きだ。
蒔絵が好きだ。

1日でも長く、僕は作品を作っていたい、
そして一人でも多くの人に作品を見てもらいたい。

いい作品ができました。

蒔絵螺鈿高坏「菊華」「光華」はこうして生まれました。

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先日twitterにアップした作品
蒔絵螺鈿高坏(まきえらでんたかつき)「菊華」「光華」
多くの方に見てもらえて嬉しいです!

今回の記事では、この作品を作った経緯について書こうと思います。


プロローグ
この作品は
元サッカー日本代表の中田英寿さんが主催している
日本酒のイベント「Craft Sake week」のために制作しました。
http://craftsakeweek.com/rh/
僕が参加させてもらったのは2018年。

日本中の酒蔵から中田さんが選んだお酒と料理を楽しめるイベントで
六本木ヒルズで毎年開催されています。
併設イベントとして「しゅきや」という工芸作家が酒器を作り展示します。
2018年は
桑田卓郎さん
佐故龍平さん
中川周士さん
新里明士さん
上記の皆さんと一緒に参加させていただきました。

浅井康宏 蒔絵高坏 「光華」
浅井康宏 蒔絵高坏 「光華」

経緯
このイベントの10ヶ月ほど前に
キュレーターの方にお話をいただきました。
でも、
最初ちょっと戸惑ったんです。
「六本木の野外イベントに何を作ろうか、そもそも蒔絵が合うのか?」と
キュレーターさんから
中田さんがこのイベントへかける情熱と
「ライフスタイルを変えるような酒器があってもいいのではないか」
という提案をもらって
「よし!作ろう」と決めました。


日本酒で僕が提案したい新しいイメージって
「圧倒的な美」としての器でした。
具体的に言うと、正倉院御物のような
幾年も伝わる祭器のような、
日本酒のイメージをどこまでも高めてくれる物を作りたかったんです。

そこから8ヶ月間かけて2つの酒器を作りました。

それまで僕が作ってきた酒器の価格は最高13万円代で、
「この作品を作ったら100万円を超えてしまう」という覚悟が必要でした。
何しろ最高の素材を使って8ヶ月間かけての制作だったから、
「売れなくてもいい!!とにかく最高の作品を作るんだ!!」と思い切って
制作に飛び込みました。


結果的に根付作家の万征さんとの共同制作も成功し、
自分の制作を前進させてくれるような作品が完成しました。
あの時、思い切って飛び込まなければこの作品はありませんでした。

人生において成長の機会はたくさんあるけど、
迷った時に「えいや!!」と歩み出す勇気が自分を成長させてくれることがある。
そんな大切な作品になりました。

ちなみに、この作品は無事、所有者が決まり
今は手元にありません。

中田さんからは
「技術力ありすぎですよ!今度は浅井さんのもうちょっと日常使いの作品やドロドロした側面が見たいですね」という感想をもらいました。
それ以外に話したことは機会があれば書きますね。

これからもいい意味で期待を裏切るような作品を作って行こうと思います。

浅井作品の価格

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よく「作品価格はどのくらいですか?」と聞かれることがあります。
確かに、個展やグループ展以外では価格が出てないので、謎ですよね。
そもそも蒔絵の相場観も分かりにくいものがあります。
今回の記事では僕の作品価格の目安を書いてゆこうと思います。
ちなみに、今回書くのは個展やグループ展で販売された作品の価格を基準に書きますが、
作品によって仕事内容が異なるので、あくまで目安と思ってもらえれば嬉しいです。



まず、
今後あまり作らないと宣言した
酒器について、次の個展に向けて少量制作しようと思います。
今までの価格帯は、8万円から14万円でした。
新作はまだ構想中ですが、15万円くらいになるかと思います。

次に棗や中次などの茶道具です。
このあたりの作品は貝を貼り詰めた作品は
160万円代で中次は120万円から160万円です。平棗は少し大きいのでもう少し高いです。

最後に箱物です。
箱物は形状によって様々ですが、伝統工芸展に出品した作品は
現在300万円から400万円です。
小さい箱は120万円代で制作しました。
来年に向けて制作している作品の価格はまだ未定ですが、2年間ずっと蒔絵し続ける予定なので、きっと高くなります。

 

素材に関してはこだわっていて
漆は自家製の日本産を使い
蒔絵には全て金粉を使っています。銀粉は錆びるのでほぼ使いません。
銀色が欲しい時はプラチナ粉を使います。
僕の作品は立体なので、それぞれの素材の持つ美しさが見る角度によってきらめきます!


最後に作品ではありませんが、
2017年の個展の時に出版した作品集は3360円(送料こみ)で発売しております。
お問い合わせは メール yasu69689@hotmail.com
タイトル「図録希望」でお問い合わせください。A4サイズ58ページ

本気の作品を実際に見ていただけたら嬉しいです。
現在作品販売はしておらず、個展まで作りためてゆきます。

蒔絵玳瑁宝石箱 「刻」

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僕の出世作とも言える作品
蒔絵玳瑁宝石箱 「刻(とき)」
この作品は僕が31歳くらいの時作った作品で、
日本伝統漆芸展で賞をいただきました。


さて、刻というタイトルですが、
光が刻む記憶や、人間の鼓動の記憶みたいなものを描く作品を作りたいと思いつけました。
中央に刻々と連なる光は、宇宙の光、そして人間の鼓動を表して、
一点の出発点からどこまでも続く光のイメージが箱に表されています。


宇宙には長い時間を経て僕たちの目に入ってくる光があって、
何万光年の旅を経て僕たちが目にする時、その光を発した星は存在していないということもあるでしょう。
それって少し不思議じゃないですか、
タイムラグがあるにしても、単位が大きすぎてよくわかりません。

でも、そのタイムラグの中間地点には確かに光として
その光を発した光景が残っているわけです。
そして終わってゆく様も。
それって少し不思議。
光源はすでにないのに、光は残っていて、旅をし続けている。


僕たち生きている人間にも、
伝えきれない気持ちや、言えなかった思いをそっと抱えながら、
長くても100年くらいの命を生きてゆきます。
誰にも見えないかもしれないけど確かにある気持ち。


光や想いに形はないけど、
確かにそこにあって、
刻々と時間の中に消え去ってゆきます。
いや、消え去ったように見える。

もしそれらに形を与えることができるならば、
「ああ、僕は漆でできるかもしれない」
そう思って作りました。

作品紹介 蒔絵螺鈿六角香合「雫」

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蓋の中心にある金具(上原万征さん作)の中に水晶が一つ。
水晶を雫に見立てて、そこから広がる波紋や、集う蝶を光をテーマに制作しました。
技法、素材が多様な表情を見せてくれる、造形的な作品に仕上がりました。

実は、撮影時作品は完成していませんでした。
今日も蒔絵を続けております。

蝶の翅の横に「毛うち」とか「上絵」という蒔絵の細い線を描いているところです。
蝶が飛ぶ時の空気の動きや、水面を揺らす波紋を表現しました。
この後、磨いて完成します。
完成作品はぜひ展覧会場でご覧ください。

◆展覧会詳細
【会期・会場】
日本橋展=2019年3月6日(水)→12日(火)6階美術画廊(A・B)
大 阪展=2019年3月27日(水)→4月1日(火)6階美術画廊(A・B)
京 都展=2019年5月8日(水)→14日(火)6階美術画廊(東・西)
名古屋展=2019年5月29日(水)→6月4日(火)10階美術画廊

【出品作家】
浅井康宏(漆)佐々木類(ガラス)染谷聡(漆)高橋賢悟(鋳金)
丹羽シゲユキ(陶)津守愛香(陶)前田恭兵(七宝)山本優美(陶)
(五十音順、敬称略)

サイト
https://www.takashimaya.co.jp/nihombashi/departmentstore/topics/detail.html?category=art&id=7261#contents

作品紹介 「午前6時」「午後6時」

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日本橋高島屋からスタートする「美の予感2019 -∞ directions -」
来月の6日から始まるので、出品作品をご紹介して行きます。

金彩螺鈿平棗の2作品
「午前6時」「午後6時」というタイトルをつけました。
まず画像をご覧ください。

金彩螺鈿平棗「午前6時」

スライドショーには JavaScript が必要です。

◆金彩螺鈿平棗「午前6時」
朝の柔らかい光が広がってゆく情景をイメージして制作した作品。
貝を色分けして使っていますが、求める色が一枚の貝のうち少量しか取れないので、小さな作品ながら100枚以上の貝を使用して作りました。
全て手作業で作るので、およそ1000時間の時間をかけて光を表現しました。
「光の造形化」というコンセプトの作品です。


金彩螺鈿平棗「午後6時」

スライドショーには JavaScript が必要です。

◆金彩螺鈿平棗「午後6時」
太陽の光から、人類が生み出した街の輝きに移り変わる時間
微妙なグラデーションで、夜の闇と幾何学的な光の対比を描きました。
素材それぞれの特徴をぜひ会場でご覧いただきたいです。


◆展覧会詳細
【会期・会場】
日本橋展=2019年3月6日(水)→12日(火)6階美術画廊(A・B)
大 阪展=2019年3月27日(水)→4月1日(火)6階美術画廊(A・B)
京 都展=2019年5月8日(水)→14日(火)6階美術画廊(東・西)
名古屋展=2019年5月29日(水)→6月4日(火)10階美術画廊
【出品作家】
浅井康宏(漆)佐々木類(ガラス)染谷聡(漆)高橋賢悟(鋳金)
丹羽シゲユキ(陶)津守愛香(陶)前田恭兵(七宝)山本優美(陶)
(五十音順、敬称略)

絶賛制作中!

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張り切って作品を作っています。
何に向かって作っているかというと

○今月末に日本伝統工芸展の近畿展
○来月初めに日本橋高島屋 「美の予感」展

近畿展には2作品
「美の予感」には6作品を出品予定にしいます。
月末に向けて作品も完成に向かって、作業を連日続けております。

SNSで作品の部分をアップしていますが、
ブログでも紹介します。

こちらは「美の予感」に出品する香合の加飾

こちらは近畿展に出品する高杯の部分

平棗が2作品

あと、アートマレーシアから蒔絵高杯「光華」という作品が帰ってきたので
この作品も「美の予感」に出品することができます。
ツイッターやFacebookに画像を何度もアップしていますが、
実は日本の展覧会に出すのは初めての作品です。
もともと、クラフトサケウィークというイベント用に制作をして、その後マレーシアのアートフェアに出品した作品でした。

制作ラッシュもそろそろ山場を迎えますが、撮影を終えたら全体の写真をアップして行きます。

進まない作業をアップし続ける

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ここ最近
あまり変化はないけど、作品の進み方とか作業手順が見られるように
棗の作業をツイッターでよくアップしていました。
この作品はスタッフと常に二人で作業に当たっていたので、これでも早く進んだ方です。

もっと劇的な、アーティスティックな作業内容があればいいのですが、
僕の作業とは、一年の大半このような地味な作業です。

たくさんアップしたのには理由があって、
この作品は公募展にしないため、途中経過をアップしました。
普段は公募展作品だと、出来るだけ未発表のまま
ジャーン!と発表したいので、途中アップしないんです。


今後の作業としては
金と貝が貼り終わったので、
「固め」という上から漆をかけて、貼ったものを固定して
上塗りを入れます。
その後研ぎあげて、磨き完成となります。
二月中に完成予定です。

発表は3月から始まる
「美の予感展」です。

最近の制作コンセプト

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最近の制作のコンセプトは
「光の造形化」です。

スライドショーには JavaScript が必要です。


前回の個展が「光をめぐる」というタイトルで、
「どうやら自分は蒔絵と螺鈿表現のについて執着しているな」という気づきがありました。
「では、光に形を与えるならばどんな形で色なのだろう。」という単純な発想です。
ただ、この光の造形化、コンセプトはシンプルなのですが、作業量がとんでもないことになります。
実労時間計算で一日8時間、専属でやっても半年近くかかります。
それも棗という小さな茶器のサイズで。

なぜこんなに時間がかかるかといえば、
精度の追求をして正確なものを作ろうとしているからです。
人間が極限まで精度を追求した先にある揺らぎに美があるので、
今ある限りの精度で作業にあたります。

それと、単純にパーツを置くのも作るのも時間かかります。
貝のパーツは一枚の薄いシート状のものから、ほしい色だけを切りだします。
全体の5パーセントほどしか得られません。
貼ってゆくのもだいたい、一日で親指の爪ほどの面積しか貼れません。

結果的に半年近く時間がかかるシリーズとなりました。


このシリーズは僕一人で作業をしているわけではありません。
デザインと造形は全て僕が行いますが、貝の色選別や貼る作業はチームで行います。
一人で制作していたら年間棗が2点しか制作できないのと、体調とか気分によってクオリティにムラが出てしまうからです。
チームで作ることによって、それらの人間的な弱点が平均化されて結果的にクオリティを上げることができました。

さて、このシリーズ
サイズの割に制作費が高くスタッフから「作る前にちゃんと考えてください」と言われます。
でも、僕に色彩表現の扉を開いてくれた表現だし、今後も展開してゆきたいシリーズです。
利益はないけど。。作りたいんです。

<歓喜♫>酒器2点完成!

久しぶりの酒器が完成しました!
前年の個展の時に作った「夜の海」という海をモチーフにしたシリーズ新作です。
前作はこちら

この作品は計7作作りました。
夜のゆったりとした深い青を表現した作品です。

新作は、時間軸を少し早めて
夕方の海をイメージして作りました。
作品名は「夕刻の海」 
貝のグラデーションに赤い部分をより分けて使用しています。
この赤い色味の部分は少し不思議な発色をします。
見る角度によって、赤⇄緑と大胆に発色します。
酒器という立体物に貼ってあるので、それがとても効果的に目に入ります。

これは僕の他の作品をツイートしてくれた画像ですが、
同じ作品だけど、見る角度で色味が変わって見えるのがわかります。

新作もこのような視覚的な効果があります。

この酒器にお酒を注いだらきっと魅力的な輝きを放ってくれるはずです。
12月になったら発表します!