カテゴリー別アーカイブ: 作品紹介

蒔絵玳瑁宝石箱 「刻」

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僕の出世作とも言える作品
蒔絵玳瑁宝石箱 「刻(とき)」
この作品は僕が31歳くらいの時作った作品で、
日本伝統漆芸展で賞をいただきました。


さて、刻というタイトルですが、
光が刻む記憶や、人間の鼓動の記憶みたいなものを描く作品を作りたいと思いつけました。
中央に刻々と連なる光は、宇宙の光、そして人間の鼓動を表して、
一点の出発点からどこまでも続く光のイメージが箱に表されています。


宇宙には長い時間を経て僕たちの目に入ってくる光があって、
何万光年の旅を経て僕たちが目にする時、その光を発した星は存在していないということもあるでしょう。
それって少し不思議じゃないですか、
タイムラグがあるにしても、単位が大きすぎてよくわかりません。

でも、そのタイムラグの中間地点には確かに光として
その光を発した光景が残っているわけです。
そして終わってゆく様も。
それって少し不思議。
光源はすでにないのに、光は残っていて、旅をし続けている。


僕たち生きている人間にも、
伝えきれない気持ちや、言えなかった思いをそっと抱えながら、
長くても100年くらいの命を生きてゆきます。
誰にも見えないかもしれないけど確かにある気持ち。


光や想いに形はないけど、
確かにそこにあって、
刻々と時間の中に消え去ってゆきます。
いや、消え去ったように見える。

もしそれらに形を与えることができるならば、
「ああ、僕は漆でできるかもしれない」
そう思って作りました。

作品紹介 蒔絵螺鈿六角香合「雫」

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蓋の中心にある金具(上原万征さん作)の中に水晶が一つ。
水晶を雫に見立てて、そこから広がる波紋や、集う蝶を光をテーマに制作しました。
技法、素材が多様な表情を見せてくれる、造形的な作品に仕上がりました。

実は、撮影時作品は完成していませんでした。
今日も蒔絵を続けております。

蝶の翅の横に「毛うち」とか「上絵」という蒔絵の細い線を描いているところです。
蝶が飛ぶ時の空気の動きや、水面を揺らす波紋を表現しました。
この後、磨いて完成します。
完成作品はぜひ展覧会場でご覧ください。

◆展覧会詳細
【会期・会場】
日本橋展=2019年3月6日(水)→12日(火)6階美術画廊(A・B)
大 阪展=2019年3月27日(水)→4月1日(火)6階美術画廊(A・B)
京 都展=2019年5月8日(水)→14日(火)6階美術画廊(東・西)
名古屋展=2019年5月29日(水)→6月4日(火)10階美術画廊

【出品作家】
浅井康宏(漆)佐々木類(ガラス)染谷聡(漆)高橋賢悟(鋳金)
丹羽シゲユキ(陶)津守愛香(陶)前田恭兵(七宝)山本優美(陶)
(五十音順、敬称略)

サイト
https://www.takashimaya.co.jp/nihombashi/departmentstore/topics/detail.html?category=art&id=7261#contents

作品紹介 「午前6時」「午後6時」

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日本橋高島屋からスタートする「美の予感2019 -∞ directions -」
来月の6日から始まるので、出品作品をご紹介して行きます。

金彩螺鈿平棗の2作品
「午前6時」「午後6時」というタイトルをつけました。
まず画像をご覧ください。

金彩螺鈿平棗「午前6時」

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◆金彩螺鈿平棗「午前6時」
朝の柔らかい光が広がってゆく情景をイメージして制作した作品。
貝を色分けして使っていますが、求める色が一枚の貝のうち少量しか取れないので、小さな作品ながら100枚以上の貝を使用して作りました。
全て手作業で作るので、およそ1000時間の時間をかけて光を表現しました。
「光の造形化」というコンセプトの作品です。


金彩螺鈿平棗「午後6時」

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◆金彩螺鈿平棗「午後6時」
太陽の光から、人類が生み出した街の輝きに移り変わる時間
微妙なグラデーションで、夜の闇と幾何学的な光の対比を描きました。
素材それぞれの特徴をぜひ会場でご覧いただきたいです。


◆展覧会詳細
【会期・会場】
日本橋展=2019年3月6日(水)→12日(火)6階美術画廊(A・B)
大 阪展=2019年3月27日(水)→4月1日(火)6階美術画廊(A・B)
京 都展=2019年5月8日(水)→14日(火)6階美術画廊(東・西)
名古屋展=2019年5月29日(水)→6月4日(火)10階美術画廊
【出品作家】
浅井康宏(漆)佐々木類(ガラス)染谷聡(漆)高橋賢悟(鋳金)
丹羽シゲユキ(陶)津守愛香(陶)前田恭兵(七宝)山本優美(陶)
(五十音順、敬称略)

絶賛制作中!

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張り切って作品を作っています。
何に向かって作っているかというと

○今月末に日本伝統工芸展の近畿展
○来月初めに日本橋高島屋 「美の予感」展

近畿展には2作品
「美の予感」には6作品を出品予定にしいます。
月末に向けて作品も完成に向かって、作業を連日続けております。

SNSで作品の部分をアップしていますが、
ブログでも紹介します。

こちらは「美の予感」に出品する香合の加飾

こちらは近畿展に出品する高杯の部分

平棗が2作品

あと、アートマレーシアから蒔絵高杯「光華」という作品が帰ってきたので
この作品も「美の予感」に出品することができます。
ツイッターやFacebookに画像を何度もアップしていますが、
実は日本の展覧会に出すのは初めての作品です。
もともと、クラフトサケウィークというイベント用に制作をして、その後マレーシアのアートフェアに出品した作品でした。

制作ラッシュもそろそろ山場を迎えますが、撮影を終えたら全体の写真をアップして行きます。

進まない作業をアップし続ける

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ここ最近
あまり変化はないけど、作品の進み方とか作業手順が見られるように
棗の作業をツイッターでよくアップしていました。
この作品はスタッフと常に二人で作業に当たっていたので、これでも早く進んだ方です。

もっと劇的な、アーティスティックな作業内容があればいいのですが、
僕の作業とは、一年の大半このような地味な作業です。

たくさんアップしたのには理由があって、
この作品は公募展にしないため、途中経過をアップしました。
普段は公募展作品だと、出来るだけ未発表のまま
ジャーン!と発表したいので、途中アップしないんです。


今後の作業としては
金と貝が貼り終わったので、
「固め」という上から漆をかけて、貼ったものを固定して
上塗りを入れます。
その後研ぎあげて、磨き完成となります。
二月中に完成予定です。

発表は3月から始まる
「美の予感展」です。

最近の制作コンセプト

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最近の制作のコンセプトは
「光の造形化」です。

スライドショーには JavaScript が必要です。


前回の個展が「光をめぐる」というタイトルで、
「どうやら自分は蒔絵と螺鈿表現のについて執着しているな」という気づきがありました。
「では、光に形を与えるならばどんな形で色なのだろう。」という単純な発想です。
ただ、この光の造形化、コンセプトはシンプルなのですが、作業量がとんでもないことになります。
実労時間計算で一日8時間、専属でやっても半年近くかかります。
それも棗という小さな茶器のサイズで。

なぜこんなに時間がかかるかといえば、
精度の追求をして正確なものを作ろうとしているからです。
人間が極限まで精度を追求した先にある揺らぎに美があるので、
今ある限りの精度で作業にあたります。

それと、単純にパーツを置くのも作るのも時間かかります。
貝のパーツは一枚の薄いシート状のものから、ほしい色だけを切りだします。
全体の5パーセントほどしか得られません。
貼ってゆくのもだいたい、一日で親指の爪ほどの面積しか貼れません。

結果的に半年近く時間がかかるシリーズとなりました。


このシリーズは僕一人で作業をしているわけではありません。
デザインと造形は全て僕が行いますが、貝の色選別や貼る作業はチームで行います。
一人で制作していたら年間棗が2点しか制作できないのと、体調とか気分によってクオリティにムラが出てしまうからです。
チームで作ることによって、それらの人間的な弱点が平均化されて結果的にクオリティを上げることができました。

さて、このシリーズ
サイズの割に制作費が高くスタッフから「作る前にちゃんと考えてください」と言われます。
でも、僕に色彩表現の扉を開いてくれた表現だし、今後も展開してゆきたいシリーズです。
利益はないけど。。作りたいんです。

<歓喜♫>酒器2点完成!

久しぶりの酒器が完成しました!
前年の個展の時に作った「夜の海」という海をモチーフにしたシリーズ新作です。
前作はこちら

この作品は計7作作りました。
夜のゆったりとした深い青を表現した作品です。

新作は、時間軸を少し早めて
夕方の海をイメージして作りました。
作品名は「夕刻の海」 
貝のグラデーションに赤い部分をより分けて使用しています。
この赤い色味の部分は少し不思議な発色をします。
見る角度によって、赤⇄緑と大胆に発色します。
酒器という立体物に貼ってあるので、それがとても効果的に目に入ります。

これは僕の他の作品をツイートしてくれた画像ですが、
同じ作品だけど、見る角度で色味が変わって見えるのがわかります。

新作もこのような視覚的な効果があります。

この酒器にお酒を注いだらきっと魅力的な輝きを放ってくれるはずです。
12月になったら発表します!

ふりそそぐ青い光

今年の本展の作品

ふたを開けると三段の飾り箱になっています。

僕の作品にしては珍しく
具象的なテーマです。
花のスケッチはずっと続けていて、とくに藤は毎年のようにシーズンになるとスケッチをしていました。
藤って光みたい見えます。
上から降ってくるように咲いているからなのか
木漏れ日が黄緑と紫に目に入ってくるからなのか、
他の花とは違う、物体としての花というより、藤棚から溢れる光そのものに見えます。

さて、制作を開始する前、さらにスケッチを重ねました。
花の作品を作るときは、その花を見ないでも描けるくらいになるまでスケッチを重ねます。
おおよそ一週間くらい色々な場所へスケッチブックを持って出かけました。


加飾の過程も、時間がかかりました。
始めてすぐに、貝の色分け作業と貼り付け作業に膨大な時間がかかることがわかったのです。
一日におよそ三枚の花びらしか進めることができませんでした。

完成が見えてくるようになると、
作品が色々な表情を見せ始めます。
雨の日の雨粒の光
月明かりや星屑
どこまでも続く藤棚の情景

結局のところ、素材と表現が自己主張し始めて
僕の想像が追いつかない作品になりました。
伝統工芸展のようなたくさんの作品が並ぶ環境よりも
一点を見つめる場所にあると、また違った表情を見せてくれる作品です。

表現的にも、技法的にも新しい発見と気づきのあった大切な作品となりました。

「月刊美術」 今月は工芸特集

月刊美術6月号に紹介していただきました。
今月の特集は、、
「「用の美」× 超・工芸」

現代の使える工芸ってどんなアプローチなのか?
というテーマで、若手作家の作品が紹介されています。
僕の作品は二点が紹介されています。

その1点が万征さんとのコラボ作品
蒔絵酒器「徳倶利伽羅龍」

脚部分の龍が万征作
上部の器が浅井作


この作品は、二人で打ち合わせで作り上げました
「何作りましょっか?」
「実際の使用より、美意識を優先した攻めの作品を作りましょう」
「攻めましょう!」

みたいなノリから
万征「人が酒器を持ってるみたいなのどうでしょう」
浅井「ほうほう、以前作ってた力士の作品みたいな」
万征「そうそう」
浅井「面白そうですね」

少し沈黙

万征「龍ってのもいいかもしれませんね」
浅井「あ、前作の倶利伽羅銃の作品みたいな?」


万征「倶利伽羅龍・・・あ、トックリカラ龍って面白くないですか?」
浅井「とっくりからりゅう??」
万征「倶利伽羅龍と徳利をかけて」
浅井「徳利から龍が出てくるってこと?」
万征「そうそう、ニョキっと龍が出てきて酒器を支えてる感じ」
浅井「なるほど、酒器のイメージとぴったり」


というわけでテーマが決まって行きました。

さて、万征さんと僕は東京と京都で活動しているので、
お互い作品を持ち合って、途中確認することができません。
僕の作品の接合部分を形どって送り、そこに合わせて脚を作ってもらう。
僕は僕で器部分を進めてゆく。

そんなある日、、、
届いた小包を開けてみると、
入っているんですよ、龍が。。。
「スゴすぎる」「完全に器が食われた。。。」
という絶望。

合わないんです。酒器と脚が。。
しばらく冷静になってお互いの長所を生かす対策を考えた後、
器の側面に雲形の模様を蒔絵することにしました。
そして完成した
万征×浅井
蒔絵酒器「徳利伽羅龍」!!

徳利から龍が生まれて、
雲を突き抜けて、宇宙に届き、漆黒の中のきらめきにお酒が満ちてゆく。
緊張感のあるコラボ作品でした。
いや、寿命が縮まる思いでした。

作品の発表は月刊美術6月号で

作品は誌上販売されています。
合わせて、もう一作品
蒔絵酒器「夜の海」も発表しています。
この作品は8点作ったうちの最後の一個です。
誌上でご覧いただけましたら幸いです。

伝統漆芸展に入選しました!

第35回日本伝統漆芸展に新作
青貝棗が入選しました!

内心不安だったんです。だって、小さい作品だったから「今回は落ちるかも」という気持ちも少しだけありました。
今回は入選ハガキが届く前にネットで確認することができたので、入落通知が届くまでのドキドキ期間も短くすみました。

さて、この青貝棗ですが、実は僕の作品の中で最も時間とお金がかかった作品であります。
なぜ?と思われるでしょうが、この作品は去年の年末から制作(加飾)をスタートさせていました。
では、なぜそれほど時間がかかってしまったかというと、ランダムな小さい貝のかけらを貼っていく作業が
とても非効率で単純作業なのだけど、技術的な熟練度に合わせた効率がはかれないのです。

指の爪くらいの大きさの面積の作業が8時間とか平気でかかって来ました。
で、それに作業をスタートした段階では気づかなかったのです。
数日作業してみて
「これは、、、、まずいな」と気がつきました。
そこで、個展に間に合わせるために夜勤スタッフをお願いして、完成を目指すかという危険な賭けに出ようかと考えたほどでした。
でもやめた。
さすがに体調を崩してしまいそうだから、長期的な取り組みとして、この作品に挑戦することにしたのです。

幸いなことに、蓋と身に分かれているので、同時に二人が作業できることが後々助かりました。
最終的に、実際に貼る作業を手伝ってくれたスタッフは3人、貝のパーツの加工の手伝いを含めるとさらに3人
そして僕。
多くの人の手伝いのおかげで完成した思い出深い作品となりました。
青い棗、全面に貝が貼ってある。というと黒田辰秋の耀貝の茶器をイメージされると思いますが、
僕の頭の中にも当然そのイメージがあります。で、そのイメージに近いものをなぜ今作らなければならないのか?
という葛藤もありました。でも蒔絵的なアプローチとしての青い立体を作りたいと考えたのです。

とにかく、この作品完成してよかったです。
このアプローチは次にも繋がるし、何より、愚直に漆に向き合うという宣言のようなものです。
棗