クリエイターに無料で仕事を依頼するなんて!と憤る前に

僕は長年美術に携わってきました。
知り合いも美術関係が多くて、Facebookの友達もクリエイティブな面々がそろっています。
自然とフィードには共通の投稿が増えてゆくのです。

以前このような話題でフィードがにぎわった事があります。


http://d.hatena.ne.jp/goto-ahiru/20130207/1360241556

「どうしてプロに無償で仕事依頼しちゃダメなのか 原価のある、時間」

簡単に説明すると、クリエイターは友達や知り合いなどから無償の仕事を頼まれる事が多くて困っている。
例えば、イラストレーターに「簡単なイラスト描いて、無料で」
美容師に「軽く切って、無料で」

これらの技術は長い時間をかけて手に入れたプロの技術で、それには原価がある。
それを無料で提供すると言うのは、八百屋に行って「りんごをください、無料で」というようなものである。
という内容です。


僕の知り合いもクリエイターが多いから、わりと同意見の人が多く
FBのフィードがこの内容でにぎわったと言うわけです。

さて、僕の意見は
「え?知り合いならちょっとした作業やアドバイスはタダでいいんじゃない?」という感じです。
プロ意識が低いと思われるかもしれませんが、人を喜ばせる事が僕の仕事だと思っているので
隙間時間のスキルで友人が喜んでくれるなら良しと思うのです。
「今度食事おごってね!」とかね。

当然、会話の流れなどその場になって、臨機応変に対応すると思いますが、
「プロだから、タダとかありえない!」とムキになる事はないと思います。
「材料代がかかるからだいたい◯◯円くらいだと引き受けられるよ。」とか「その内容だと専門の◯◯さんを紹介できるよ」
という会話の流れになると思います。

ちなみに今まで「無料でやって」という依頼を受けた事はありません。
「手間賃払うよ」といわれて無料でやってあげる事はあります。

漆芸という伝統文化の中にいるから、簡単に「無料でやって」と言われる事が少ないのかもしれません。
しかし、重要なのは周りにどう見られているかではないかと思うんです。

「無料でやって」という依頼には
親しい間柄であるとは別に、プロだと思われていない怒りがあると思われます。

例えば、世界的な音楽家に「ちょっとこの音符の読み方を教えてよ」とは絶対に聞けませんが、
近所のピアノ教室の友達に同じ事は聞けるのではないでしょうか。
この辺りの線引きは難しいですが、クリエイティブな仕事、特に形のない技術だと
あなどられたくないという思いは多少なりともありますからね。

この問題の僕なりの答えは
プロ意識をどこに持ってゆくかと言う事です。
僕の意識しているところは
人に喜んでもらうことです。
お金は後からついてきますし、しっかりとした作品をしっかり所蔵してもらうことで活動が成り立ちます。
だから、友達から「ちょっとこれやって」と言われて、ムキになる必要がないんです。

それにこのようなスタンスで活動していると
「タダでやって」なんて言う人はいません。
しっかりとした作品、しっかりとした言葉遣い、しっかりとした服装を心がけて、社会人として社会に接していると、
不必要なストレスは減ります。

適当な時間に生活して、適当な言葉遣いで、適当な服装をしていると、適当に扱われるのは当然です。

お金の事は大きなストレスになりますが、心を込めて喜びを送っていると、必ず理解してくれる人がいます。
美術の場合結果が出るまで時間がかかります。しかし、それは自分がもっと誰かに貢献できる成長のチャンスだと捉えて前進できる機会ですからね。