「0か100だけじゃないんだよ」と先輩は言った。

今日は先輩が仕事の手伝いにきてくれる日でした。
ある会話の中で僕がこう言いました。
漆に関して
「中途半端なやり方で続けるくらいなら、僕はやめてしまいますね」
すると先輩はこう言った。
「浅井君、0か100だけじゃないんだよ」

なるほど。
人生の中で何かをするとき、いつも100%ではなくても良かったのかもしれません。
いや、僕の常識の中では人生の大部分を使って達成したいことも、
全ての人に当てはまるわけではないのです。

わかっていたつもりですが、漆に関することだと
つい他人にも厳しくなっている自分がいたのです。
特に後輩やスタッフにはかなり厳しかったように思います。

続けて先輩は言いました
「人生の中で20%の割合だって、いや、5%だってそれを続けてればいいんじゃないかな」

例えば、美大を卒業して自分の時間のほんの数%でも
美術を忘れないために使っていればそれでいいのではなないか。
先輩はそう言いました。

その考えに納得できました。
この考えを実践すると、
絵に描いたような
自分に厳しく他人に優しい上司が出来上がるかもしれません。

しかし、

いままでの厳しさや姿勢が今の自分をつくって来たのも確か。
それには正しいところもたくさんあったはず。
他人に優しいのはいい事だけど、
仕事で妥協はできないから、どうしても厳しくなる。
チームで制作する場合、仕事の質を上げ続けなければならないから
鬼のような上司と化してしまう可能性もある。

僕の弱点は「厳しい生き方で洗練された作品を作る」が基本スタンスなところかもしれません。
「ゆったりした生き方で洗練された作品を作る」事が可能ならば、そう生きた方が良いにきまっていますからね。

チームリーダーとしての僕のレベルは全然低いです。
1番大切なのは最終的な美意識の共有であって
厳しさではないですからね。

それでも、大切な人生のうちの時間で作品制作を手伝ってくれている多くの人にすごく感謝してるんです。
これは紛れも無い本心です。
たとえ、道を分かつことになっても、心のそこでは感謝し続けているのです。