好きなことをして生きてゆく方法

先日パリから工房見学にいらっしゃいました(素敵な日本人女性!)
ジュエリー関係で漆に興味を持っていただいているということで、
僕もたくさんの人をご紹介しようと思い、群馬に住んでいる先輩と
たまたま上京していた高岡時代の同級生を呼んでご紹介することができました。

ここに揃った3人の漆芸家ですが、
ふと気づくことがありました。
全くの同門である3人なのですが、
全く違う種類の仕事をしています。

僕は蒔絵の作品制作
先輩は塗りの食器制作
同級生は蒔絵のアクセサリー制作

そしてそれに徹していることに気がつきました。
ほとんど他のことをしていない。
それで3人とも食えているんですね。
食べてゆくのが難しいと言われる漆の世界で食えている共通点はなんだろう?


別の日

お世話になっている税理士さんと打ち合わせがありました。
本題が終わって雑談しててふと聞いて見ました。
「成功する社長さんと、失敗する社長さんの特徴ってありますか」
すると
「そうですね、成功する社長さんていうのはなんていうか、芯が一本通っていて
ぶれずに一つのことをしますね。逆に色々なことに手を出してしまって失敗する人もいます。」
なるほど。


つまり、個人単位でも企業単位でも成功するパターンは似ているようです。
初期段階では活動を徹底的に絞ること。
でも、これがすごく難しいんです。
考えて見てください、一つのことをしていて、うまくいかなかったら。。。
他の方法や方向性を試して見たくなりませんか?
僕は一応蒔絵作品制作に絞って活動して来ましたが、やっぱり不安で
色々なことをして見た時期もあります。
就職活動や他の職業。まあ、全てを無駄だとは思いませんが
悪いスパイラルにいたのは確かです。
たまたま就職できなかったり他のビジネスをしている時に
蒔絵が忙しくなって一本に絞らざるを得なくなって来たとも言えますが、
現状の蒔絵一本に絞っている状態というのは楽しくて、作品の質も上がっているのも確かです。

これは企業のブランド戦略にも似ていますね。
例えば
フェラーリと言えば高級スポーツカー
ベンツと言えば頑丈な高級セダン
このようにブランドイメージが簡単な言葉で言い表せます。
ちなみに、、
浅井康宏と言えば蒔絵作家
というイメージになるのではないでしょうか。
なので、僕は漆でも他の技法で作品発表することはありません。多分これからも。

つまり
フェラーリはファミリーカーを作りたいという欲望を捨てて
スポーツカーというイメージを作りました。
ベンツはいろんなラインナップが出て来てますが、それはブランドイメージががっちり固定されてからの話です。

ある特定の職業で生きてゆこうとした場合
何かを捨ててでも何かに特化することが、0を1にする方法なのです。
その恐怖に勝てるかが勝負どころとも言えますね。