自分の周囲には自分に似た人しか集まらない。

少し印象深いことがありました。
僕はブログで何度も書いて来ていますが、
「売れている作家は必ず他の作家の作品を買っている」という事実。
この作家がなぜ誰かの作品を買わなければならないかというのは
常々、手伝いに来てくれているスタッフにも話しています。
別に自分がものすごく売れているから、これが正しいというのではなく
事実として、今まで出会って来た一流の作家は例外なく良質なコレクターでもありました。
そのことについて、話し合い、なぜコレクションが必要なのか意見を交換して来たつもりです。

最近手伝いに来てくれている男子スタッフは
先日大学院を卒業したばかりで、その次の日に
恩師の個展に足を運び作品を買ったそうです。

「良い買い物をしたね!これで学生から芸術家になった!」と言いました。
恩師の作品を入手するというのはとても良いことで、その後の人生の指針になるものが
身近にあるという以上に精神的な宣言としても彼を作家にしてくれると思いました。

「お金ができたら、、、」という作家は多いけど
では、いくらお金があったら美術にお金を使うのか。
お金がないときに、どうしても欲しいと思って購入した作品が
作家の人生にどれほど影響してくるか僕は知っています。
美術がどのように人生に関わってくるかを体験するには
やはり、積極的に飛び込んでみるしかないのではないかと思うのです。

僕はその男子スタッフが初めて美術作品を購入するときの光景が
リアルに想像できました。
作家に「ありがとうございます」と言って
作家も所蔵家である彼に「ありがとう」と言ったはずです。

きっと、彼が作る作品も誰かに
「作ってくれてありがとうございます」と言われながら収蔵されると思います。
けっきょく、自分の周囲には自分に似た人しか集まらないのです。
美を目の前にして不幸になる方が難しいですからね。