人が物を買うのはなぜか

最近思うのです。
人が物を買う理由は大きく二つしかないと。
食欲や排泄欲のような生理的欲求に対する購買、
例えば食品やトイレットペーパーなどの日用品を除くと、
僕たちが何かを買う理由はこの二つ。

自分をより好きになれるため
恐怖や不安を排除するため

一つずつ考えてみます。
まず、自分をより好きになるための買い物
例えば、服とか、ジュエリーってそれを付けているときの自分を想像して買いますよね。
より良くなっている自分のための買い物です。
他にも車や家など。
その物体というよりは、それをを手にした後の自分の気持ちが重要なのではないでしょう。
誰かへのプレゼントもその行為や相手の反応を通して充実感を得られます。

次に、恐怖や不安の排除のためにも人はお金を使います。
わかりやすいのが保険です。
あとは、薬や健康診断。
最悪の事態を回避したり、これ以上悪い状況を引き起こさないためにも人はお金を払います。
全く、ポジティブな要素はありませんが、
恐怖を回避するということも本能的に欲しています。
「どうしても薬が欲しい!」ってる人や「今日病院だ♪」なんて思ってお金出してる人いませんよね。
クスリ、、、違う意味としてならまあ、、


実は、美術について考えると
この二つの要素が切っても切れない関係があると思うのです。
まず、美術作品を入手するのは100パーセントポジティブな発想だと思っていて
テーマが暗く楽しくない作品だって、それを手に入れることでなんらかの喜びを得ます。
僕はドクロの作品を2点購入したことがありますが
はっきり言って楽しいモチーフじゃないけど、単純にかっこいいと思ったし
「これはハロウィンの時期に飾るとクールだぜ」という楽しみがあるわけです。
このように美術にはすごくポジティブな感情をもらえます。

そして、ある一定の作品には
恐怖を回避する要素もあるように思えます。
それは資産価値としての美術です。
物価や為替価値は変化しますが、評価の高い美術品には現物資産としての価値があります。
資産は分散して保有されますが、
分散させる理由はリスクの回避です。
例えば、現金だけ1箇所の銀行に預けていると銀行が潰れるリスクがあるので
あらゆるリスクを分散させるため複数の銀行に預けたり、現物資産を保有したりします。

自分をより好きになれるため
恐怖や不安を排除するため
この二つの要素を兼ね備えた商品って他にあるでしょうか。
宝石とか高級車か、何れにしても世の中に数が少ないのは確かで
そのためにときに美術品に驚くような価格がつくのもうなずけます。