日本伝統工芸展はかっこいい!!
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僕の漆芸活動は公益社団法人日本工芸会、文化庁等が主催している日本伝統工芸展への出品を軸にしています。
伝統工芸展に出会ったのは
高校時代に工芸コースで岡山に巡回してきた49回展をみたことでした。
それまで漆や蒔絵の作品を見る機会は、図書室にあった数冊の図録と
卒業生が制作した作品(学校が新しく9年の歴史しか無かったため作品は少なめ)
だけだったため、
現役作家の作品を見て、驚いた記憶があります。
驚いたというより
熱狂しました。
その時から自分の中での大きな目標の1つが
伝統工芸展へ出品することになりました。
なぜ、高校生の僕を伝統工芸展にそんなに熱狂したのか
それは、単純に作品がかっこ良く見えたからです
高校生にとってかっこよさとは絶大な力を持っていて
高校球児がプロ野球に憧れるように
また、メジャーリーグに憧れるように
僕は伝統工芸展の漆芸に憧れまし。
今では、伝統工芸展に出品という目標が叶い
新しいステージの目標ができましたから
伝統工芸展がすべて!
という考え方とは少し変化してきたように思えます。
しかし、今でも伝統工芸展は最高にかっこいい発表の場だと思っていますし、
ここで活動できることや、多くの先生や先輩方と同じ会場に自分の作品が
陳列されることはとても嬉しいことです。
高校生のときは知らなかったのですが、
伝統工芸展の趣旨も僕はとても共感します。
手に入れることができた第2回展(昭和30年発行:定価 金八百円!)の趣旨(あとがき)と
今年の第62回展の趣旨を紹介します。
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第二回展
あとがき
我が国の工芸が最近世界各地で大きな注目を受けていることは
周知の事ですが、その根本は日本ならでは表現し得ない一種独特の持味が他邦の人々を引きつけているからとも言えます。
無論新時代の息吹に即応して新味と時代的に発明された色々の新しい材料をも活用し生活に即した、
それぞれの用具や装飾品を生み出すことは大切なことでありますが、
徒に欧米の新傾向に支配を受けて、
我が国の持つ特色を忘却するような結果になっては行けないと思うのです。
本会はこの点に特に意を払い日本独自の伝統に基礎ををき、
そこに新時代のあらゆる要素を加味して、
各方面から日本の工芸家ならでは制作する事のできない、
優れた技術と堅実な行程に新しさを加えて、
世界の工芸会にその覇を争うように進む可きだと思ひます。
本会は単に伝統の二字に束縛され単なる古典の粋を礼賛するものではなく、
国枠の美点と他邦の調書を活用し優れた作品を世に問ふ事が大きな目的であることは云ふ迄もありません。
この意味からも本会の使命は重大であり今後に於ける責任の並々ならぬことを痛感すると共に
関係各氏の此上ともよりよきご協力を望む次第です、
尚、国内には工芸に関する優れた集まりが数多くありまして、
それぞれの進路に良き開拓をされておられますが本会としては今後できる限り、
海外に向かって日本工芸の進出と紹介に力を致したい存念であります。
社団法人 日本工藝會 (引用基 第二回日本伝統工芸展図録 「あとがき」原文)
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第62回展
趣旨
我が国には、世界に卓絶する工芸の伝統があります。
伝統は、生きて流れているもので、
永遠に変わらない本質をもちながら、
一瞬もとどまることの無いのが本来の姿であります。
伝統工芸は、単に古いものを模倣し、
従来の技法を墨守することではありません。
伝統こそ工芸の基礎になるもので、
これをしっかりと把握し、
祖父から受け継いだ優れた技術を一層錬磨するとともに、
今日の生活に即した新しいものを築き上げることが、
我々に課せられた責務であると信じます。
昭和25年以来陶芸、染色、漆芸、金工、木竹工、人形、諸工芸の7部門にわたり、各作家の作品を厳重監査し、
入選作品によって日本伝統工芸展を開催してきました。
このたび、第62回展を開催し、
広く人々の御清鑑を仰ぎ、我が国工芸技術の健全なる発展に寄与しようとするものであります。
(引用もと 第62回日本伝統工芸展図録)
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僕は伝統の本質とは常に新しい作品を作ってゆく情熱であり
それを伝えてゆくことだと思っています。
展覧会の趣旨や制作者を全く知らない高校生の僕は
伝統工芸展が生まれたときから続く、
先進的で情熱的な制作に生きる作品に
強く憧れたんだと思います。
世界は広く、たくさんアプローチがあって
一方向的に工芸を見つめることはなくなりましたが、
今でも、
伝統工芸展は最高にかっこいいです!!
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