売れる作家と売れない作家
実力が同じくらいでも、売れてる作家と、そうでない作家がいる場合、
その理由はなんなのか。
「そんなことがわかれば、誰も悩まない」と言われそうです。
確かに、そうですよね。
でも、実際に美術の世界は、いつの時代も二極化していて
一方は大家
一方は食えない業界というイメージ。
違いがあるとしたらきっと、
「今買わなければならない作品」もしくは
「今買わなければならない作家」であり続けることができるか、ということだと思います。
完売作家だと、もちろん「今買わなければ」となるのですが、
皆が、最初からそうではないので、ある時期から「今しかない」と思わせる雰囲気を
作品や作家から感じられるようになるはずです。
僕は以前作品から「今買わなければ」と思うものがあって買った作品があったのだけど
その作家は過去の人になってしまいました。
あの時は輝いているとおもったのに、時の流れは残酷です。
きっと彼は再度浮上してくることなく、僕の持っている絵の評価も買った時以上に上がることはないでしょう。
何が言いたいかというと、
作品には確かに「今買わなければ」と思わせるものはあったのです。
ただ、作家活動を通して、強い前進や人生を貫くようなビジョンがなかった。
いや、伝えきれなかっただけかもしれない。
売れるというのは、作品の良さというのは前提で、
さらに作家の活動や、ビジョンがあって成り立つものです。
誰かのストーリーを楽しむなら、
その主人公は魅力的なほうがいい。いつも新しい戦いに進んで飛び込んで欲しい。
作品は短編かもしれないけど、人生は長編の物語です。
その時々の「今」があって、
その「今」を共有できる力こそ
売れる作家に必要な力でしょう。
小手先でコントロールできない、
生身の人間の「今」が作品になるから
「今買わなければ」と思わせてくれる、何かが作れるはずです。