ヤフオクに出品されているニセモノ漆芸作品の見分け方
ヤフオクに関しては、僕も以前
自作でない作品が僕の名前で出品され→違反対応を行い→無事出品取り消し
という出来事があり、少々警戒気味です。
詳しくは過去記事
改めてヤフオクの漆芸作家作品を見ていると
絵画などに比べ少ないけどニセモノが出品されています。
漆芸作家だから解説できる注意ポイントをお知らせします。
◇ポイント1◇
まず作風が全く違う
「人間国宝 〇〇作! 秀作棗」
などで出品されている場合、例えば塗りの人間国宝なのに
なぜか蒔絵の作品が出ていることがあります。
1分間ネットで調べてもらえば、どの分野の人間国宝かわかります
分野外のものだとしたら95パーセントニセモノです。
◇ポイント2◇
銘がおかしい
ツイッターにもアップしましたが
銘がそもそもおかしいです。
【ヤフオク漆芸作品の偽物見分け方】
◯作品の裏の銘をみてください。
ヤフオクに出ている偽物でよく見るのは漆で書くのではなく銘を彫ってあるもの。
「針描」といって彫り込む銘もありますが針や刃物で彫るので細いです。
偽物はルーターで無理やり削っているからブレて太い。
— 浅井康宏 (@YasuhiroAsai69) May 6, 2019
上の画像は実際に出品されていた棗の裏側の銘の画像です。
よく見ていただくと、もともとあった金の銘の上から別物の銘が彫り込まれているのがわかります。
漆の作品の場合、銘を書くときの頻度として
1、漆で書く(落款、花押のみの場合もあり)
2、蒔絵で書く
3、銘を入れない
4、針描きする
上記の頻度です。
つまり、彫り込んだ銘を入れるのは、沈金や彫漆など、彫をメインにした漆芸作家が多く、
蒔絵や塗りの作家ではあまり見られない銘の書き方です。
◇ポイント3◇
箱書きがおかしい
ニセモノは箱書きがおかしいです。
誰かの筆致を真似て書いているので、矛盾が出てきます。
わかりやすい注意点は2点
1、そもそも墨汁で書いていない
筆ペンで書いた抑揚のない線で、サラサラとしたインク特有の色の薄さがあります。
2、落款が雑
ニセモノは一応落款が押してあることが多いですが、
消しゴムハンコ的なものや手で書いたものが多いです。
上画像を見てもらえばわかりますが、
落款が明らかにペンで描いた手描きですね。
ニセモノです。
以上のように漆芸技術以外にも違和感が多数あるものがヤフオクにはあふれています。
僕としてはセカンダリー市場(作品の二次販売経路)としてのヤフオクは現在適切ではないと思っています。
とは言っても
ヤフオクにもびっくりするような本物の名品が出ることもあるので、
今後日本におけるセカンダリーの市場が成熟発展して美術作品の評価を定められるようになってほしいと願っています。
箱書きや桐箱の様式はそこまで多くありません。
桐箱の様式を調べるならこの一冊で十分です。
また、有名漆芸作家の銘を調べるなら
「漆芸辞典」という本の巻末索引に載っています。
最後に
ヤフオクで本物か偽物かわからないものを落札するより
若手の新作をリサーチしてギャラリーや画廊で購入することをお勧めしたいです。
卒業してすぐの作家の作品は質に対して価格も抑えられています。
大家のニセモノを持つより、将来の大家の初期作をリサーチしてみてください。
美術が100倍楽しくなります。