短大時代の卒業制作 海月蒔絵硯箱
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およそ16年前に作った卒業制作
20歳の時に作った
海月蒔絵硯箱形も模様もカタイですね。
2枚目がボツ図案なんですが「こっちの方がいいだろ!」と過去の自分に言いたいです。経験を積んで自由になれるのかもしれません。 pic.twitter.com/ShWQv2FjN3
— 浅井康宏 漆芸作家 (@Yasuhiro_Asai) March 15, 2020
クラゲをモチーフに硯箱をつくりました。
今から思うと形もデザインもどことなく無難で、こじんまりしてる。
ただ、技術習得と挑戦を感じられます。
高校時代に出会った蒔絵をさらに学びたいと思い富山県へ行って
短大という短い時間が漆に集中できる充実した時間でした
その時に現在表現の幅を与えてくれる富山の技法である杣田と青貝螺鈿との出会いがあったので
なんとなく一本の道でつながっているようにも思えます。
この作品にもいくつかこだわりがあって
○蒔絵と塗りは日本さん漆を使う
○錆びない材料を使う
○貝には徹底的にこだわる
という今と変わらない制作の基準を設けていました。
この時点で塗りに使う漆は日本産にこだわっていて、
クラゲの表現は通常銀を使いたいところだけど、その当時金粉の三倍の価格だったプラチナ粉を蒔絵に使っています。
青貝も鳥取の漁港を巡って特に色の良い貝を見つけ出して自ら薄貝に加工した思い出があります。
今見ても色の良い貝を使っています。
その時から明確に
「歴史的名作を作る」という意識があって
自分の回顧展の最初の部屋にある作品を作る意図というのは強く持っていたから
自ずと使用する材料にこだわっていたのだと思います。
今から見ると作品のクオリティで追及するべきところはたくさんあるけど
やろうとしていることは見えます。
それに「漆が好き」というのが滲みてている作品でもあります。
見えない未来に向かってがむしゃらに突き進んでいるスタートの作品に
海上に光るきらめきを求めて上昇する自分の姿を少しだけ重ね合わせたりします。