工芸界の若返りをはかるには何をする必要があるか。
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こんにちは漆芸作家の浅井康宏です。
今日は「工芸界で若者が減ってるけど、どうすればいいんだろうか」というのを考えてゆきます。
あらかじめ言っておくと答えは出てませんし、明確な答えはないと思いますが、
考えてゆくことが大切だと思うので僕が今のところ思うこと、僕の周辺で変えられることを書きます。
最近工房内で、工芸制作者の年齢比率が高くて、それをどうしたらい良いかという話をしています。
発端は僕が所属している日本工芸会の会報誌に載っていた、作家の年齢比率表。
60代以上が大半を占めており、39歳までが非常に少ない比率でした。
この比率はかなりやばい感じがします。
このグラフをそのまま20年後に移したら、会の存続問題に関わるくらい厳しい状態になると思います。
若い作り手がいなくなる理由はわりと簡単で
○食えない
○夢がない
上記の二つでしょう。
「生活様式が変わった」とか「不景気だから」というのはよく聞くことだけど、
それは検討外れだと思っています。
生活様式が変わっても良いものは流通するし、不景気でも売れるものはあります。
しかし、若いうちは食べてゆくのが大変です。
工芸って作るのに時間がかかるものが多くて、
技術の習得もやはり時間がかります。
その時間のかかり方が相対的に工芸家を貧しい立場にしてしまうことが多い。
「真面目な物づくりがバカを見る」状況なのは否めません。
ほんの一握りの価格を上られる作家は食べて行けるけど
そうでなかったら状況はかなり厳しい。
このような状況を変える方法の答えはありません。
だけど、改善できる糸口はある気がします。
日本の美術支援は大きく二つ
1、国立大学による学生の教育機会
2、人間国宝の指定による最高峰の支援
があると思いますが、
この二つ、「卵」と「評価の定まった作家」の支援で間の支援がありません。
かと言って、中堅作家の支援となると選定が難しくなりすぎるので現実的ではありません。
そこでポイントになるのが
売れている中堅作家の支援という形が面白いと思います。
売れていると助手が必要になるので若手の雇用に繋がります。
その雇用へ援助があれば若手の生活を守りながら技術を学べる機会にもなります。
売れているので経済も回すこともできます。
(ちなみに僕は自分で売れてる作家だと思ってないので、これから頑張ります)
「僕に支援してもらえたら若手を育てるし
状況は変えられる」と思いますが、国に「助けてーーー」と言っても意味がないので
勝手に経済圏を作ってゆくしかありません。
売れているかそうでないかなんて下世話な話で美術や工芸にお金の話を持ち出すのを嫌う人がいるかもしれないけど。
「しっかりいいものを作っていたらいつか認められる」という考え方で進んだ未来が現在なのではないでしょうか。
今は綺麗な言葉より力ずくで経済をぶん回す腕力が必要です。
京都の小さな工房からなぜか若手が続々と輩出される未来を作ってゆかなければ。
稼げて夢がある工房に向かって走ります。