失敗をどう見つめるか

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こんにちは漆芸作家の浅井康宏です。
今日は失敗について書こうと思います。

失敗、したくないですよね。
僕もしたくありません。

とはいえ、最近大きな失敗がありました。
10年以上出品を続けていた日本伝統工芸展の締め切り数日前に蒔絵を失敗してしまい出品できず。
しばらくはショックでした。
もうすぐ伝統工芸展の展示が始まり、やっぱり情報が入ってくるので、耳に入るたび苦しくなると思います。

でも、この失敗って自分の限界を越えようとして起こったことなので、
長い目で見れば悪いことばかりではないと思っています。
20年以上漆を続けていたら、失敗しない表現のストックをたくさん持っているのです。

でもあえて失敗の可能性があることに挑戦するのは、そのさきにもっと理想的な状態があると分かっているから
そこにリスクがあってもいい。


ここまでは自分の作業の失敗について書いてきましたが、
現在チームで制作しているので、チーム内での失敗も起こってきます。
その場合、自分でもびっくりするくらい怒らないし、狼狽なくなりました。
「失敗はあり得ることだ」と思っているので、
起こってしまっている現実の失敗にあまり怒りの感情がおきません。

経験から失敗しやすい場所を共有して、初めての作業を任せるときの失敗を最小限にしようと心がけています。


最初の話に戻りますが、失敗があり得る状況にいる限り、作品は前進し続けると確信しています。
昨日やっていたことの先に行く姿勢が、技術や美意識には必要です。

失敗は苦しいけど、10年後に安全な同じようなことをしているより、
挑戦し続ける方がいい。

美術作家としも人間としても。