人類共通のイメージ

作品のモチーフで意識している事が二つあります。
それは「人類共通のイメージ」と「上をむく」です。

人類共通のイメージとは、太陽や月、海や山、人物など
世界中の誰が見ても、そこに神聖なものを感じるようなモチーフです。
これは狙っているわけではなく、自分が美しいと感じる物を選んで
漆で表現するとしたらどうするだろう、という問いの答です。
長い月日をかけて制作するので、自分を納得させるためにも
そこに神聖なイメージを必要とするのかもしれません。
とにかく、モチーフやテーマには人類共通の物を選ぶことが多いです。

もう1つ「上をむく」というのは
身近にある美しい草花を描かないということです。
目線を上げたモチーフを選ぼうと思っています。
毎日散歩をしていると、足下にたくさんの可愛い草花が咲いていることに気がつきます。
それをスケッチしたりもしますが、どうも作品にならないんです。

今の僕には、身近にある美しさを表現する余裕がないんです。
今のテーマは「人生に対する最大の肯定」と日常の美が結びつかなくて、、、
生きるのは難しいと思うんです。
死には直面していないけど、膨大な情報の中で自分に価値を持とうとしても
どうも上手く行かなくて、それでも生きてゆかなければならない。

そんな時に美術は何ができるだろう。

美に対峙した時人は少しだけ自由になれます。全ての人が平等になれます。
一瞬でも何かに美を感じたとき人は少しだけ強くなれると思うのです。
だから、そのとき僕の作品は上を向いていたいと思うんですよね。