漆器の扱いで絶対やってはダメな事3つ

漆器はあつかいが難しいというイメージをもたれます。
たしかに、陶器や磁器、ガラスの食器よりある面では弱いかもしれません。

ただ、作っている側からすると「思ったより丈夫だな」と感じる事が多いです。
正しい使い方をすれば何世代も使える良さがあります。
良いものを長く使うために扱いの中で絶対やってはならない事をまとめてみます。


ダメ絶対その1

漆器にフォークやナイフはNGです!
少し考えてみたら解りますが、漆の塗膜にフォークやナイフでガリガリとやれば傷がつきます。
以前ある作家さんが、レストランとのコラボレーション企画で自作の漆器を貸したところ、傷だらけになって帰ってきたという話を聞きました。
その作家さんの気持ちになると、胸が締め付けられるような思いがしました。
おいしい料理を作る想像力があるなら、食器を扱う場合の想像力も働かせてもらいたいものです。

いちばん漆器×フォークをやってしまうパターンは和菓子のときだと思います。
漆の小皿にのせたようかんなんてとてもおいしそうでしょ?このときついついフォークを出してしまうのです。
あとは、漆器の小鉢に入れたアイスクリームです。考えただけでおいしそうです。朱の器に入ったバニラアイス。。いいね!
このときついつい金属のスプーンを使ってしまいがちです。
木製の菓子切りやスプーンの準備が必要となりますが、漆器を傷つけないで長く使うためには必要となってきます。


ダメ絶対その2

直射日光あてっぱなしはNG
漆はとても優秀な塗料です。どれくらい優秀かと言えば。1度固まった漆はどんなに強い酸をかけても溶けません。
地球上で1度固まった漆を溶かす事ができる物質はまだ存在していないと思います。
ただ、天然の樹液なので、自然に戻ろうともします。紫外線によって分解してゆきます。
といっても数年単位数十年単位の分解なので、物がなくなるといった事はありません。
紫外線の影響で艶が無くなってしまった古い漆器をよく見かけます。
白っぽくなってしまうので、日差しが強い場所に置きっぱなしにするのは良くないです。

屋外にある寺社仏閣の朱塗りや黒い漆が白っぽくなって艶が無くなっているのをご覧になった事があると思います。
そのような場合は塗り直しが前提となっており、定期的に塗り直しがおこなわれています。

食器は外に置きっぱなしという事は無いと思いますが、保管場所について気を使っていただけるといつまでもしっとりとした艶のある漆器を楽しめます。


ダメ絶対その3
 
冷蔵庫と電子レンジ

恥ずかしい話なのですが、以前木製の食器を冷蔵庫にいれて割ってしまった事があります。
冷蔵庫の中は温度が低い事はもちろんですが、湿度もとても低いようです。
漆器のボディーは多くの場合、木でできています。その木にストレスを与えてしまうと割れが生じてきます。
電子レンジも漆器の中に含まれている水分が反応して壊れてしまうでしょう。顔料の変色も考えられますので電子レンジはだめです。
食器洗浄機も良くないと言われています。たぶん乾燥の段階で熱風をあてられると思うので漆器には適さないでしょう。


以上3つのダメ絶対を守れば長い間漆器を使い続ける事ができます。
美しい漆器を大切に使って次の世代に、物を大切にできる日本の精神を器と一緒に手渡して下さい。