機械と手仕事

今日から3日間は工房体制の制作です。
先輩と話している会話の内容。
先輩「機械と人間の手技だと、機械の方が優位な分野もあるよね。工芸でも」
浅井「そうですね。切削機械使ってしまうと、造形制作は人間の圧倒的不利ですね」

ちなみに、先輩は3Dで造形データを作って、切削機械で加工する事ができるのです。
わが家にも切削機械を導入して、造形の一部を機械化しています。

浅井「機械は寝ないし、文句も言わないですからね」
先輩「完璧な正確さもある」

では、今後も手技は必要なのだろうか?

浅井「機械では絶対できない分野もありますよね。逆に機械でできてしまう分野もある」
先輩「そうだよね。機械で作ったものを伝統工芸展にだしたらどうなるんだろう」

浅井「かなり難しい問題ですね。」
先輩「でも分野によっては、そうなってもおかしくないよね」

特に木工の加工は自動の切削機を使うと、人間にはできないような事が正確にできてしまうのです。
ちなみに僕と先輩の共通の恩師は、この切削機を積極的に取り入れて、理想の造形を作っている先駆者です。

浅井「漆の場合それをボディーとして機械で製作した後、塗るから漆の技術と言い切る事ができると思うんですよね」
先輩「木工の場合、そのままだ木地を見せるからどうなるんだろう。でも、かならず出てくるよね」
浅井「そうなったらどうしましょうか?」
先輩「どう評価されるんだろう」

結局、明確な答えは出せませんでした。
技術の進歩に表現が重なってゆくと、もしかしたら手の技術の多くが意味をなくしてしまうのかもしれません。
それにあらがう事はできないでしょう。
じゃあ、伝統工芸はどうなるのか。

どうしても人間にしかできない表現とは何なんだろう。