質と量どっちが大切か。

作品制作で大切なのは、質なのか、量なのか。
もちろん両方大切だけど、何方かと言えば量が大切でしょう。

ピカソの生涯作品数は10万点を越えています。
実はゴッホも活動期間が短いわりに多作の作家です。
日本でいうと北斎も超多作作家です。

逆に作品が少ない作家の代表は
ダ・ヴィンチとフェルメール

現代ではどちらの戦略が正しいかと考えると、絶対多作作家です。
理由は簡単。
現代で多作作家じゃないと、市場が作れません。

市場が加熱する理由はほしい人が作品より多い事です。
もちろん作品の少ない歴史的な作家はほしい人がいくらでもいるので、市場に出たらとんでもない事になります。
でも、ほぼ美術館に入っているので、作品が動く事はありません。
「モナリザ」がルーブル美術館から放出されることはまずありませんからね。

市場の加熱は、作品が動く事により生まれますので
一定数の作品が存在しないとなりません。

では、漆芸家の生涯制作数はどれくらいでしょうか。
蒔絵だと多くて200〜500ではないでしょうか。
少なすぎますね。

世界で活躍している蒔絵の先生と話していて
「世界で市場を確立するためには、約1000点の作品が必要だと思ってる。今のところ300点くらいつくったから、これからが勝負だね。」
という事を聞きました。
かっこいいビジョンですね。
憧れます!

蒔絵の世界市場はアジア美術の中の日本美術の中の蒔絵好きという事になります。
市場は狭くて小さい。
その中で現代蒔絵を紹介してゆかないといけないんです。
僕は今33歳なので、実質活動期間は体力面と精神面が充実しているのはあと30年くらいで、その後はより組織化して発表してゆく事になります。
長生きして後50年の活動期間の中でより多くの作品を作りたい。
もちろんそれ以上生きるつもりでいますが、心技体全てが完全な状態で戦える期間はいくらか短く見積もっています。

「量!量!」と叫んでいても、もちろん質を世界トップレベルにするつもりです。
そのために、早いうちに工房制作しています。
1人の人間の時間は決まっていますが、多くの人の力を借りると、より多くの時間を作品にかけることができます。

工芸が世界に向かって花開いた時代はいつも工房制作が基本でした。
現代は個人作家制作全盛の時代ですが、作家制作の良さと、工房制作の良さをあわせた新しい体制で世界に挑戦してゆきます。
圧倒的な作品をたくさん作りますよ。