一流の人たち
最近美術分野ではない人の本をたくさん読んでいます。
美術に直接関係なくても、一流の人たちの考え方からはたくさん学ぶ事があります。
例えば。
為末さんの「諦める力」この本は名著だと思います。
夢をがむしゃらに追いかけるのではなく、自分の限界を認識しながら、適切な道を選ぶ事を「諦める」と説いてます。
日本的な努力をすれば必ず報われる!という神話を否定して、自分の能力を最大化させられる努力の大切さを冷静に語ってくれます。
スポーツ選手が日本的努力論に異論を打ち立ててくれているところに説得力があります。
棋士の羽生善治さんの本。
羽生さんは思っていた以上にたくさん本が出ています。
何冊か読みましたが、正直、内容がかぶっている本が多い印象です。
なじみの無い業界なので、いろいろと驚きがあります。棋士の世界ではプロの活動がかなり小さい頃からはじまるようです。
とにかく、小学生の低学年から頭角を表さなければならないような険しい道のりです。
さて、将棋の世界って保守的な世界かと思っていましたが、そうでもなくて、日夜新たな定石が開発されているようです。
つまり、古いやり方をずっと守っていたらすぐに勝てなくなるということ。
そんな動きの速い将棋界で不動の地位にいる羽生さんはやはりすごいんだと思います。
梅原大吾さんをご存知でしょうか。プロゲーマーという職業があって、そこの第一線で活躍しているトッププロです。
ゲームというと海外が強そうな印象ですが、格闘ゲームは日本が強いらしいのです。
読んでみて、やはりトップで活躍し続ける人は、集中力が半端では無いという印象を強く受けました。
梅原さんはゲームで世界制覇をした後に、ゲーム界を去り介護士になっています。そこでも持ち前の集中力を発揮しているんです。
後は麻雀のプロを目指したり。なんかいろいろ挑戦しています。
不思議な思考パターンですが、各分野のトップになろうとして、一定の結果を得た後、プロゲーマーの世界へ戻ってきました。
以前と違って格闘ゲームもオンラインで世界中の人と対戦できるようになっていますので、これからも梅原さんの活躍が楽しみです。
「ジョジョ」の荒木飛呂彦さん。
「ドラゴン桜」の三田紀房さん。
この2冊はとても参考になりました。
日本のマンガ文化はかなり成熟しています。
読者としてただ単純に楽しんでいたマンガですが、これだけ業界が成熟していると面白い作品を描くプロセスもかなり研究されているんです。
もちろん才能や直感も必要なのですが、それ以上に仕組化されている作業がとても勉強になります。
長年トップであり続けるにはどの分野にもしっかりとした理由があります。
サッカー日本代表の長谷部誠さんの「心を整える」
この本を読んで、あまりに長谷部さんが人間的にすばらしいので、ちょっと動揺しました。
サッカーというチームスポーツの中で活躍している人だけあって、「和」を大切にします。
すごく憧れる部分がある一方で、僕のような個人的な活動をしている人間にとっては少し危険な気がしました。
人を大切にする事は絶対に大切なのですが、自分の仕事を全面に押し出す活動をする場合、「和」を壊してでも押し通さなければならない事が美術にあると思うからです。
現代を生きているトップランナーの考え方は参考になる面が多くあります。
それぞれの人が、それぞれの戦略でその世界の頂点を目指していて、絶対的な方法が無い事がわかります。
ただ、ほとばしる情熱で夢へ駆け上がってゆく姿は共通しています。